毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか、迷ってしまう方も多くいるのではないかと思います。このコーナーでは、ビジネス書を1冊10分で読める「本の要約サービスflier(フライヤー)」がフローチャートでおすすめの書籍を紹介します。
世界的な経済不安、物価の上昇、いまだ続くコロナ禍……不安定な世の中で、不安をひとつも抱えていない人のほうが少なくないはずです。それに加えて、仕事やプライベートでの人間関係など、生きているだけで悩みのタネは尽きません。そこで今回はflierでも配信中の「疲れた心を癒す本」をご紹介します。
心の疲れを感じている方は要約診断でその理由を確かめつつ、現状に合った本を見つけてみてください。疲れを実感していない方も、隠れている心の悩みが見えてくるかもしれません。
【お疲れの心とさようなら! 心が軽くなるflierのおすすめ7選】
A:「燃え尽きさん」の本(池井佑丞、かんき出版)
B:心はどこへ消えた?(東畑開人、文藝春秋)
C:すりへらない心のつくり方(保坂隆、大和書房)
D:職場の「しんどい」がスーッと消え去る大全(井上智介、大和出版)
E:職場の問題地図(沢渡あまね、技術評論社)
F:不安に負けない気持ちの整理術 ハンディ版(特装版)(和田秀樹、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
G:我慢して生きるほど人生は長くない(鈴木裕介、アスコム)
「好きなことをしなくなった」は、黄色信号?
なにもかもどうでもいい。そんな感覚が続いているとしたら『「燃え尽きさん」の本』を読んでみてはいかがでしょうか。最近増えているという「燃え尽き症候群」は、仕事などを頑張ってきた人が、仕事への意欲・関心を失ってしまう状態のことを指しています。
「燃え尽き症候群」には大きく分けて3つのタイプがあります。
(1)「燃えすぎ」さん
(2)「燃え切らない」さん
(3)「燃えない」さん
どのタイプも放ってしまうと、深刻なメンタル疾患へとつながる可能性があります。
身近に「燃え尽きさんかも?」と思う人がいたら、「よく眠れている?」、「休みはどんなことをしていた?」という2つの質問が役に立ちます。メンタル不調者の90%は睡眠障害を伴っていると言われています。睡眠不足は重要な指標の1つです。
また、好きなことに対しても興味をなくしてしまう場合も多いです。「好きなことをしなくなった」と話していたら、黄色信号です。
当事者だけでなく、組織としての対処法も詳しく紹介されているので、マネジメントに携わる人にとっても参考になる1冊です。
一人ひとりの心はどこへ消えたのか?
自分の心と向き合えていないという方におすすめしたい書籍は『心はどこへ消えた?』です。
臨床心理士である著者による、数多くのクライアントの臨床エピソードが綴られていますが、どのエピソードの中にも「心」が存在していることがわかります。
例えば、「エリート」と呼ばれている女性は、定期的に人間関係をリセットしてしまうという特徴がありました。著者がカウンセリングを続けることで見えてきたのは、幼い頃の家庭環境の複雑さです。精神の病を抱えた母親の気分を損ねてしまうと、攻撃されてしまう。そのため、彼女にとって、コミュニケーションは命がけのものになってしまいました。関係が社交を超えてしまいそうになると、それを拒絶するのです。そのことこそが、彼女が抱えていた「心」の問題だったのです。
執筆が始まった2020年はコロナが始まったことにより、世界規模の大きな物語に取り巻かれ、一人ひとりの心は埋もれて見えなくなってしまいました。しかし、自分と向き合う余裕がないときでも、心は存在し続けています。いつのまにか消えてしまっているかもしれない心と向き合ってみてはいかがでしょうか?
大丈夫なフリをしていませんか?
ついつい大丈夫なふりをしてしまうあなたにおすすめしたい書籍が『すりへらない心のつくり方』です。
本書は、真面目であるからこそストレスをためてしまう人に向けて、医学的な根拠を示しながら、視点の変え方やポジティブな気持ちになれる習慣を教えてくれる1冊です。
例えば、後ろ向きな考えの人と会話をしていると、自分も後ろ向きな感情が強くなってしまう。そんな経験はありませんか?これは「感情感染」と呼ばれる現象で、人は知らず知らずのうちに会話相手の感情や態度に同調してしまう傾向があるのです。
相手の後ろ向きな感情に引っ張られてしまいそうだと感じたとき、そういう人とは距離を置き、自分の心を守ることを優先するという選択も大切です。
本書では、ポジティブな気持ちになれる習慣以外に、心をリフレッシュする秘訣も紹介しています。仕事や人間関係の中で、我慢していることが多いなと感じる人は、ぜひ手に取ってみてください。
理想の60点でも合格
「しんどい職場から自分の心を守る方法を知りたい!」 ―― そう思ったら、産業医で精神科医の著者による『職場の「しんどい」がスーッと消え去る大全』がおすすめです。
本書では、「働くのがつらい」「もう頑張れない」「人間関係がつらい」「自信が持てない」「仕事が終わらない」といった悩みごとに章が設けられ、それぞれ解決策を提示してくれています。
例えば、悪いことが1つあるとずっと引きずってしまい「人生がまったくうまくいかない」と思い込んでしまうことはありませんか?友人や家族などの身近な人に話したり、産業医や心理カウンセラーを活用するのもいいですが、自分の考え方を変えていくことも効果があります。うまくいかない人生を丸ごと受け入れ、十分頑張っている今の自分を認めてあげましょう。「100点満点の理想」になることが、全てではありません。60点でも合格だという気持ちで、今の自分を受け入れてあげることが大切です。
本書を読むと、自分でも気づいていなかった心のSOSに気づくことができるかもしれません。
この1冊で解決!「職場の問題」あるある
働く上でのしんどさが、職場環境に原因がある人も多いはずです。残業、上司と部下の意識のズレ、仕事が属人化している――。多くの企業で見られるあらゆる「あるある」な問題を「職場の問題地図」にして、その改善策を提案しているのが『職場の問題地図』です。
「上司と部下の意識のズレ」があると、やり直しや過剰な対応の原因となり、仕事の効率を悪くします。
仕事を依頼するとき・受けるときは「目的・インプット・成果物・関係者・効率」のポイントで確認しておくことが大切です。
5つのポイントのうち「成果物」では、「生み出すべき完成物はどんなものか?何をもって完了とするか?」を確認することを指します。例えば、「データを説明できる資料作っておいて」と依頼されたとしましょう。この言葉だけではデータを読み取りやすいように整えれば良いのか、テキストで要点が書かれた報告書を作成すれば良いのか、聞く人によってズレが生じてしまいます。そうならないように、「完成物が何を想定しているのか」きちんと確認をすることが大事なポイントとなります。
本書は、日々悩まされていて、解決を求められているものの、どのように改善すればいいのかわからない管理職の方はもちろん、生産性を上げることで、仕事もプライベートも充実させたいすべての方に、ぜひ読んでいただきたい1冊です。
不安との上手い付き合い方
不安に押しつぶされそうだという方におすすめの書籍が『不安に負けない気持ちの整理術 ハンディ版(特装版)』です。本書は、精神科医である著者の視点で、「不安」への対処法を紹介しています。
ネガティブなニュースが常に世間を騒がしている中、いっさい不安を感じない人はいないのではないでしょうか?
中には不安に押しつぶされてしまう人がいます。そうならないためにはどうしたら良いのでしょうか。不安に押しつぶされる人とそうでない人の差は、不安を「受け入れて」いるかどうかだと著者は言います。「受け入れる」とは、最初から気にしていないのではなく、自分が感じた不安を素直に受け止めた上で、解消することに集中をすることを指しています。
例えば、友人にDVDを返し忘れていたことを思い出したとします。「怒っているかもしれない」と気分が落ち込むかもしれませんが、「返す」という行動を起こしてしまえば、事態は解消します。例え怒られてしまったとしても、それ以降、「返していないDVDのこと」で頭を悩ますことはないはずです。
本書では不安への具体的な対処法が多数紹介されており、不安なことばかりの時代を生き抜かなければならない現代人にとって実用的な1冊です。
発売日:2022年3月25日
ジャンル:自己啓発・マインド 健康・フィットネス
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「我慢は美徳」をアンインストールする
「明日のため」「将来のため」と、子どもの頃からたくさんの我慢をしてきたのではないでしょうか。我慢することに疲れ、生きづらさを感じているとしたら、ぜひ『我慢して生きるほど人生は長くない』を一読してみてください。本書は、我慢せずに「自分らしい人生」を送るために、重要なことを紹介しています。
「自分らしい人生」を送る方法のひとつとして、「人間関係のあり方を見つめ直す」ことがあげられています。
あなたから時間やエネルギーを奪い続けるような人との関わりは、日常の喜びを奪うだけではなく、「自分は何をやってもダメだ」と絶望感や虚無感を与えかねません。そのような関係は我慢してまで続けなくてもいいのです。
タイトルの通り、人生は我慢して生きるほど長くありません。「我慢は美徳」という古い言葉はアンインストールして、自分らしい生き方を目指してみませんか。
周りの反応を伺ったり、我慢をしたりしてしまいがちな人には特に、「自分らしい人生」を追求する後押しとなってくれるでしょう。
いかがでしたか?
まずはあなたに合いそうな1冊からお手にとっていただければ幸いです。
flier編集部
本の要約サイト「flier(フライヤー)」は、「書店に並ぶ本の数が多すぎて、何を読めば良いか分からない」「立ち読みをしたり、書評を読んだりしただけでは、どんな内容の本なのか十分につかめない」というビジネスパーソンの悩みに答え、ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されているほか、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。
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