本記事は、荒木杏奈氏、木下勇人氏の著書『安定した資産運用を実現する はじめての海外不動産投資』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています

「投資家1年目」が知っておきたい3つのポイント

POINT,ポイント
(画像=yumeyume/stock.adobe.com)

投資初心者が必ずぶつかる壁は、「何に投資していいかわからない」ということです。

初心者向きとされている投資信託だけでも5,000種類以上あると言われています。

株式投資をやるにも投資する個別株はたくさんあり、不動産への投資、金などの貴金属への投資、海外通貨への投資など、ここで紹介しただけでも頭の中が混乱するばかりです。

投資手法についても長期投資、デイトレードなどを含めると、投資の選択肢は無数に存在します。

とはいえ、わからないからと諦めてしまっては先には進めませんし、適当に選んでしまっては思わぬ怪我(損失)をしてしまいます。

ここでは、これから投資を始めてみようという人が、自分にはどういう投資方法が合うのかを考えるうえで知っておきたいポイントを3つ紹介します。これらを学ぶことで、投資への視野を広げていきましょう。

ポイント(1)自分に合った投資法はそれぞれ違う

あなたが投資を始めようと考えた時に重要になるのが、自分に合った投資商品を選ぶことです。

ここで選択の物差しになるのが、投資に回せる資金がいくらなのかどれくらいのリターンを得たいのか。そして意外に見落としがちなのが、自分の性格です。

「え!? 投資商品を選ぶときに性格って関係あるの?」

と疑問に思う方もいるかもしれません。投資は市場の動向によって値上がりしたり、値下がりしたりするため、そのときにどういう行動に出るかというその人の性格は非常に重要な要素と言えます。

では、これから性格別に見ていきましょう。

・おおらかな性格の人……長期投資に向いている

物事にあまり動じないおおらかな人は、長期的な投資に向いている傾向があります。

自分でしっかりと考えて長期的に見て、値上がりが期待できると判断した商品を、長い期間にわたって保有しつづけることができ、結果としてきちんと利益が出ているというような投資のやり方です。

結果が出るまでには時間がかかってしまうこともあるかもしれませんが、日々変わる市場の値動きを見て一喜一憂して市場に振り回されてしまい、思わぬ損失を出したり、大きな利益を逃したりするようなことも少ないでしょう。

・せっかちな性格の人……短期投資に向いている

投資を始めたら早く結果を出したい、日々の値動きが気になって仕方がないというせっかちな人は、短期投資が向いています。

投資手法もデイトレードのような、分単位で変わる値動きを見ながら売買を繰り返す投資のやり方は、せっかちな人にはピッタリと言えるでしょう。さまざまなものに興味を持ち、重要な場面で迷わず決断を下すことのできるせっかちな性格は短期投資にぴったりなのです。

・面倒くさがり屋な性格の人……積立式の投資が向いている

投資を始めたいけど、情報を集めたり・投資の勉強をしたりするのは面倒くさいという人におすすめなのは、長期積立投資です。

積立投資は、毎月決まった日に口座からお金が引かれて、株や投資信託、金などの貴金属に投資していくという仕組みです。口座にお金を入れておけば、自動的に投資を行ってくれるので、面倒くさがり屋の人にはピッタリの投資ではないでしょうか。

まずは、自分の性格がこれら3つのうちどのタイプかを知ることが、投資を始める足がかりになります。この機会に一度、自分の性格を考えてみましょう。

また、自分の性格について迷ったときは、自分のことをよく知る周りの人に聞いてみるのも良いでしょう。自分からは見えないあなたの性格を教えてくれるかもしれません。

落ち着いて投資に取り組める人と、即断即決で投資に取り組める人では、向いている投資商品はもちろん、投資手法も異なります。

例えば心配性の人が値動きの激しい投資商品に手を出したら、投資のことが頭から離れなくなり、他のことが一切手に付かないという事態にもなりかねません。サラリーマンをはじめ他に仕事を持っている人は本業の仕事ができなくなります。

ここは、しっかりと自分の性格を把握して、自分に合った投資を実践すべきです。

また、投資の前提として、どんな性格であってもやってはいけないことがあります。

それは、余剰資産以上のお金を投資に回してはいけないということです。

生活に必要なお金に手に付けない。このことは忘れないようにしましょう。

一発儲けようなどと考えて、生活に必要なお金まで投資に回してしまうようなやり方は、もはやギャンブルと変わりません。そうなると、どんな性格であっても判断を見誤り、身を滅ぼすことにつながります。

投資は必ず余剰資産の中で行う。

特に、これから投資を始めようという人は徹底するようにしましょう。

ポイント(2)国内投資と国外投資、どちらに比重を置く?

投資初心者の方の中には、日本は安全な投資先と考えている方がいるかもしれません。

たしかに、海外に投資すると為替や投資先国の情報など、余計な知識や判断も必要になってくるので、心理的ハードルが高くなると言えます。

ですが、私は資産を国内だけにまとめて持っておくのはあまりおすすめしません。

・日本にもカントリーリスクはある

日本国内での投資だと、海外と違ってニュースや新聞などで簡単に情報収集ができます。また、日本は先進国ということもあり、政治面、経済面で安定しているというのは大きなメリットと感じるかもしれません。しかし、日本に投資をすることは本当にリスクが小さいのでしょうか。

例えば、日本は地震大国と言われるほど頻繁に地震が起こります。地震のリスクを考え、国内の不動産投資を躊躇してしまう人がいるほどです。

また、少子高齢化が進んでいるため、今後日本のGDPは低下していくと見ている専門家も多くいます。安全保障面での地政学リスクを懸念する専門家も出ています。

そういう意味では、日本へ投資することが必ずしもリスクが小さいとは言えないということは、しっかり考えたうえで資産を運用していくようにしましょう。日本にもカントリーリスクはあるのです。

国内だけに資産を置いておくのではなく、「居住」と「財産」を切り分けて、それぞれ最適な国に移していく、という戦略も必要です。

・国ごとに異なる海外投資

続いては、海外投資に目を向けてみましょう。

これまで外国企業への投資や外国通貨の保有には、さまざまな規制がありました。しかし近年では規制緩和が進み、海外への投資がしやすくなってきています。

海外投資をする上でまず考えるのは、どこの国の商品に投資するかということです。投資先の国は大きく、先進国と新興国に分けられます。

安定した投資をしたいなら、先進国への投資を検討しましょう。

先進国の多くは政治的に安定しており、金融システムや法制も整備されています。そのため、急激な経済成長は見込めないものの、堅実な伸びは期待できるのです。

これに対して多少リスクを取ってでもリターンの大きな投資をしたいと考えている方は、新興国への投資を検討しましょう。

新興国とは、これからの経済発展が期待されている国のことです。インフラ整備などへの投資が盛んで、多くの国が若年層の人口比率が高く、内需の拡大も期待できます。

こうした強みを背景に、新興国が成長し続ければ、投資した商品が大幅に値上がりすることも期待できます。

ただし、一方で政治面の安定が乏しかったり、法制面の整備が遅れていることは懸念材料になります。万が一、クーデターや内戦などの政変が起これば、経済が成長するどころか、急落してしまう可能性も十分考えられます。

このように、海外への投資では、国ごとの特徴をつかんだ上で、自分の考え方に合った国に投資をすること、これが重要になってきます。

しかしこの場合、どうしても自分で判断ができない、判断するための知識や情報が足りないと感じたら、一人で決めず、金融機関や専門家のアドバイスを受けて、その上で総合的に判断することをおすすめします。

ポイント(3)考えすぎない

「投資は簡単ではない」「いろいろ勉強や情報収集をしても、結局は難しいじゃないか」。ここまで読んでいただいた方の中には、そういった方もいるでしょう。

特に投資初心者の人の中には心配で、投資について完璧に理解しないと始められないという人もたしかにいます。

しかし、その考えは間違いとは言わずとも、正しいとも言えません。

例えばクルマを運転するために、クルマのシステムをすべて知らなくても運転できるように、投資も経済の見方や商品の特性、さまざまな投資手法など、すべてを学ぶ必要はありません。経済や政治、投資の専門家になる必要は必ずしもないのです。

とはいえ、クルマを運転するときは「信号を確認する」「一時停車する」などの最低限のルールを守らなければ、事故につながってしまいます。

投資も同じように、始めるにあたってはどんな投資商品があるのかを調べ、それぞれの投資商品に関する最低限必要な知識やルールは備えておく必要はあります。

投資は、実際に運用していく過程で多くのことが学べます。あまり深く考えすぎずに始めてみるというのも、投資を成功させる重要な要素です。

たとえ、投資商品に関する知識を完璧に身につけたからといって、必ずしも投資が成功するとは限らないからです。

図表1-2の「投資するために最低限必要な知識」をしっかり頭に入れて、はじめの一歩は小さくても構いませんから、まずは投資を始めてみてはいかがでしょうか。

1-1
(画像=『安定した資産運用を実現する はじめての海外不動産投資』より)
安定した資産運用を実現する はじめての海外不動産投資
荒木杏奈(あらき・あんな)
アンナアドバイザーズ株式会社代表取締役、宅地建物取引士。1984年生まれ、東京都出身。大手広告代理店セプテーニ(株)入社、その後SBIグループを経て2012年よりカンボジアの首都プノンペンの金融機関に勤務。2013年に独立し日本とカンボジアに拠点を持ち、国内・海外の国際不動産サービスを展開。自身でも投資を積極的に続けている。YouTubeチャンネル 『アンナ社長』カンボジアンナを運営。関連会社のアセットオーシャン株式会社代表取締役では、「海外不動産投資・賃貸・移住をもっと身近に」をテーマに、海外不動産のポータルサイト 『Asset Ocean』を運営。著書に『東南アジア投資のラストリゾート カンボジア』(幻冬舎)
木下勇人(きのした・はやと)
愛知県津島市出身。税理士法人トーマツにて非上場会社オーナーファミリーの事業承継対策に従事。2009年、名古屋で相続専門税理士法人を設立し、富裕層に対する不動産・財産コンサルティング、オーナー社長への事業承継コンサルティングを中心に業務を展開。税理士向けに年間100回以上の研修講師を担当している。2017年9月に東京事務所、2021年6月につくば事務所開設。東京税理士会 麹町支部所属。公認会計士・税理士。 主な著書に、「新版 相続・事業承継に役立つ生命保険活用術(清文社:単著)」「複眼的視点を養おう! 税理士が身につけるべきコーディネート力(清文社:単著)」、「ホントは怖い 相続の話 単行本(ぱる出版:単著)」、「新しい常識 家族間契約の知識と実践(日本法令:共著))がある。

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