本記事は、荒木杏奈氏、木下勇人氏の著書『安定した資産運用を実現する はじめての海外不動産投資』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています
不動産投資の勝ち組と負け組
安定資産の不動産なら、みんな資産形成ができるかと言えば、もちろんそんなことはありません。「勝ち組」と「負け組」が存在します。
不動産投資にもきちんと収益を上げられる人もいれば、そうでない人もいます。その違いは、どこにあるのでしょうか。
ここでは「負け組」から失敗の原因を、そして「勝ち組」からは成功の秘訣を紹介し、不動産投資で勝ち組になるための条件を整理していきましょう。
不動産投資は「成功率5%」とは言われるけど……
国内、海外を含め不動産投資の成功率は5%前後と言われています。
成功率5%と低くなる原因は、「多くの投資家が投資しやすい商品に食いつく」ことが大きな要因です。
資産運用会社が別の投資信託に投資をする「ファンドオブファンズ」もその1つです。これも運用報告を見れば経費ばかりが多く、利益はほんの少し、場合によってはマイナスだったりしています。そうした理由で成功率が5%なのです。
では実際に、海外に物件を買った場合でお話しします。手持ち1,000万円のうち500万円で新興国の物件を買ったとします(海外不動産は現金でないと買えません)。500万円の物件と言うと、そこに住む人は比較的生活レベルの低い人たちになります。そうすると、賃貸が付かないなど物件の中で問題が発生します。
このように安い物件を買ってしまうと、家賃の回収がうまくいかない、近隣の住人ともめて逃げられてしまうなど、後のトラブルにつながるリスクが大きいと言えます。これらも成功率が5%の要因になっています。
それ以外にも、家賃保証がついていないなど、他社の物件でそれも価格が安いケースでは、この5%というのは決して嘘ではありません。
この例のように、500万円というお手頃ですぐに手の届きそうな物件を購入すると、失敗するケースはたくさん見てきました。
500万なら自分の手の届く範囲だから…… 利回りが良さそうだから……
こんな気持ちで不動産投資に手を出すと、思わぬ落とし穴があるかもしれないのです。
不動産投資で成功している人たちの特徴の1つは、できるだけ大きな物件・価格の高い物件を購入されています。参考として、100平米以上の3ベッド(スリー・ベッド)、価格が5,000万円から1億円くらいの物件を買っている方は、コロナ禍の影響もなく、入居者の属性も良く何のトラブルも起きることはありません。
こうした物件は管理会社もラクで、その先のオーナーさんの負担も少なくなります。ただ価格が高い分、多くは出回りません。業者としても売れる安い物件をたくさん用意して売り出すので、それも成功率5%につながってしまっていると言えます。
結論をいうと、もちろんエリアの調査・考慮は必要ですが、売り出されている数が少ない物件のほうがいい、と私は思います。
基本的な収益の仕組みを理解しよう
ここからさらに勝ち組、負け組の話をする前に、不動産投資の基本的な収益の仕組みについて理解しておきましょう。
不動産投資で収益をあげる方法は、2つあります。
1つは、不動産を購入時より高い値段で売却し、売却益を得る方法です。これをキャピタルゲインと言います。
もう1つは、購入した不動産を賃貸として貸し出し、毎月家賃収入を得る方法です。これをインカムゲイン言います。
一般的に言う不動産投資の負け組とは、後者のインカムゲインを狙って投資をしたのに、結果的に家賃収入で入ってきた金額よりも出ていくお金のほうが多かったというケースです。つまり、トータルで収支がマイナスになってしまうケースを指します。
では、なぜこういう状況に陥ってしまうのでしょうか? 負け組になるパターンもいくつか見ていきましょう。
負け組のパターン
(1)営業マンの言うことを鵜呑みにしてしまう
トータルで収支がマイナスになってしまう要因にはさまざまあります。
例えば、不動産投資で一番避けたいのは空室です。
インカムゲインを狙った不動産投資では、基本的にローンを組んで物件を購入するため、家賃で得た収入の中からローンを返済していける状態が理想です。
しかし、借り手がつかず、空室状態が続くと収入が入らないため、持ち出しでローンを返済しなければなりません。
失敗談の多くは、不動産会社にすすめられ、言われるがまま中古物件を購入し、借り手がなかなか決まらない状況が続き、あっという間に収支がマイナスになってしまうというケースです。
プロとはいえ、不動産会社の言うことがすべて正しいとは限りません。なかには良い情報だけを伝えて購入に結び付けようとしたり、経験が浅く不動産投資の知識が少ない営業マンもいます。
情報を聞いた上できちんと自分自身で精査し、判断をすることが大切です。
(2)不動産投資の収益は利回りだけと思い込んでいる
物件の購入を決める際に、利回りばかりを重視して失敗してしまう人もいます。
たしかに利回りが高いというのは収益を決める1つの要素ではありますが、不動産投資の収益は利回りだけでは決まりません。
不動産会社にすすめられて中古物件を購入したものの、築年数が経ちしばらく運用していると修繕費用がかさんで、まったく利益が出なかったというケースもあります。
収益とは収入から費用を差し引いた額ですから、利回りだけではなく、費用のほうにもきちんと目を向けることが大切です。
また、利回りが高く設定されている物件は空室率が高い可能性が高いため、その点にも注意が必要です。
これ以外にも、不動産投資には自然災害や家賃滞納などのリスクもあります。
「負け組」になってしまう理由の多くは、不動産投資に関する知識不足が招いていると言っても過言ではありません。まずは、自分自身で良い物件かどうかを判断できるだけの最低限の知識を身に付けることが、失敗しないための第一歩です。
「勝ち組」がやっている2つの法則
法則(1) シミュレーションをしてみる
自分の大切なお金を使って投資するのですから、そこには目標や目的が必要です。例えば、「老後の資金を貯める」など、しっかり目的を持つようにしましょう。
目的からさらに掘り下げて、例えば「20年後に毎月15万円の収入を得る」といった具体的な目標に落とし込むと、必然とそれを達成するために逆算して計画を立てなければいけません。
目標を達成するためには、どんな物件をいくつ運用すればいいのか、いつから始めればいいのか、頭金はどれくらい必要になるのかなども考えていきます。
そこで是非、シミュレーションをやっていただきたいのです。
不動産投資で「勝ち組」になる人は、必ずと言っていいほどしっかりとシミュレーションをしています。その際に行うのは、購入から10年、20年、30年後の収益がどうなっているかの算出です。
先ほど収益とは、収入から費用を引いて算出するという話をしましたが、不動産投資における収益というのは家賃収入です。
ただし、不動産は有形資産なので、経年劣化をしていきます。家賃は年数が経てば下がっていきますから、それも折り込んだ形でシミュレーションします。どのくらい家賃が下がるのかは、近辺の似たような間取りの物件を参考にするといいでしょう。
そのほか、費用はさまざまなものがあります。
ローン返済費、管理委託費、修繕費に加えて固定資産税や所得税などの税金、そして経年劣化した物件のリフォームなども折り込んでより精度の高いシミュレーションをします。
きちんとしたシミュレーションをするためには、それなりに知識が必要になります。自分でシミュレーションをするのが難しいと思ったら、専門家やアドバイザーに相談して下さい。そこまでやって初めて、「勝ち組」への道が開けていくのです。
法則(2) 決断力と行動力
不動産投資の知識を身につけ、目的と目標を定め、シミュレーションができたら、後は決断力と行動力が欠かせません。
投資では、素早く決断して行動することがとても大切です。
「良い物件を見つけて、うまくいきそうだけどなかなか決められない」といつまでも悩んでいると、他の人に良い物件を取られて、大きなチャンスを逃しかねません。
知識を身につけ、本当に良い物件なのかを素早く判断し、「これだ」という物件が出てきたら思い切って投資をする。この決断力と行動力が投資にも必要です。
誰もが欲しがるような良い物件はそうそう転がっていませんし、チャンスが巡ってきたときにそれを掴まなければ、投資の勝ち組にはなれないのです。
「勝ち組」になるための5つのポイント
いかがでしたでしょうか。たった5%と言われる不動産投資で勝ち組になるためには、ここでお話ししてきたことを実践すれば、実はそんなに難しいことではないのです。
多くの人の失敗は、やるべきことをやらずに投資を始めてしまうことに集約されます。
最後に前項でお話しした法則を含め、まとめとして5つポイントを挙げておきます。
ポイント(1) 不動産投資の知識を身に付ける ポイント(2) 運用のゴール、目的と目標を決める ポイント(3) しっかりシミュレーションする ポイント(4) 信頼できるパートナーを選ぶ ポイント(5) 決断力と行動力を磨く
これができれば、不動産投資における「勝ち組」への道は自然と開けてきます。
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