本記事は、藤本梨恵子氏の著書『いつもよりラクに生きられる50の習慣』(かんき出版)の中から一部を抜粋・編集しています
パフォーマンスを引き出す質問
質の高い質問が、質の高い人生を作る(アンソニー・ロビンズ自己啓発書作家)
コーチングは、質問によって相手の内面にある答えを引き出すコミュニケーション法です。クライエントはコーチから質問されることで、新たな視点を得て、自ら考えて答えを出します。自身の思考が整理され、目標達成までの具体的な手段や行動が明確になるのが特徴です。
コーチングでは、「質問の質が人生の質になる」と言われています。例えば、あなたが一人で乗った船が嵐で遭難し、無人島に辿り着いたとします。携帯電話は圏外。そんなとき自分の頭に次のどちらの質問をするでしょうか?
A「なぜ、こんなことになってしまったのか?」 B「どうしたら、ここから抜け出せるのか?」
Aの質問は、自分の現状を嘆き、海に出かけたという過去を後悔しはじめます。下手をすると「船遊びなんかをすすめたアイツが悪い!」と、誰かのせいにするかもしれません。これでは自ら不安を煽っているのと同じです。
「火事になったら、原因を考える前に火を消せ」と言っている方がいました。原因追求は、あとから再発防止などの目的で行うのはいいですが、今行うことではありません。
一方、Bの質問をした人は、火を焚いて誰かに気づいてもらう方法を考えたり、食料がないか島を回ったりして、なんとか生き延びるために前向きな行動をします。
このように、同じ状況でも、自分にどんな質問をするかでモチベーションや行動が大きく変わります。脳は質問されると答えを探すようにできています。
仕事でミスした場合でも、質問によってパフォーマンスが変わってきます。
A「なぜ、ミスを犯したのか?」 B「どうしたら、今度はうまくできるか?」
Aの場合、原因はわかるかもしれませんが、解決策が思いつくとは限りません。また、「こんなミスをするなんて自分はダメだ」と自責の念に駆られるかもしれません。
心理学のセルフコンパッション(自分自身に対する思いやり)の実験では、自責の念が強い人のほうが、次もミスする可能性が大きいことが証明されています。
Bの「どうしたら、今度はうまくできるか?」という質問は、問題ではなく、解決に焦点が当てられています。だから自分を責めることなく、解決策を考えることに集中できます。
「人間だもの、こんなミスすることもあるよね。だからこそ、同じミスをしない仕組みを考えよう」とムダに自分を責めません。どんな自分も一旦受け入れて、対処策を考える人のほうが、次にミスする確率が減ります。
何かをはじめるときに、「できなかったらどうしよう?」と自分に質問すると、失敗したときの最悪なイメージが湧き上がってきます。すると人は、不可能感に包まれ、行動することができません。
反対に「もし、できたとしたら、どんな良いことがある?」と質問すれば、達成したときのメリットや良い気分などが全部集まってきて、やる気が出ます。
「もしできたとしたら?」という質問は、NLP心理学では「AS IFフレーム」と言って、「やればできるかもしれない」という可能感を抱かせ、人を行動へと導くとされています。
行動しなければ、どんな目標も達成することはできません。モチベーションが上がり、可能感が高まるようなポジティブな質問を自分にすることが大切です。
それが、もし、できたとしたら、どんないいことがありますか?
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