本記事は、藤本梨恵子氏の著書『いつもよりラクに生きられる50の習慣』(かんき出版)の中から一部を抜粋・編集しています

粗食は身を助け、美食は身を滅ぼす

粗食
(画像=ohayou!/stock.adobe.com)

粗食、正直、日湯、だらり、ときおり下風あそばされかし(南光坊天海天台宗の僧侶)

天台宗僧侶にして、徳川家の宗教顧問。家康、秀忠、家光の三代に仕え108歳まで生きたと言われている天海和尚。江戸時代の人々の平均寿命が30代であった当時、かなりの長寿です。長寿の秘訣を家康に問われた天海和尚は、「粗食、正直、日湯、だらり、ときおり下風あそばされかし」と答えたと言われています。

「粗食」とは、粗末な食事という意味ではありません。お漬物とお味噌汁にご飯という一汁一菜のことです。

天海和尚自身、納豆が大好きで、家康にも大豆食品をすすめていたと言います。

粗食は身を助け、美食は身を滅ぼすと言われますが、飽食の時代の今、日本の伝統的な粗食は、バランスのとれたシンプルな食事として見直され、健康に良いとされています。

昔は何を食べるかではなく、何がとれるかによって、食べるものが決まっていました。今は、何でも食べられる時代です。ハンバーグにスパゲティーなどカタカナ食も豊富ですが、そればかり食べていては脂肪分や塩分をとり過ぎてしまいます。日本でとれる旬の食材で、伝統的な和食を腹八分でいただくのが美味しく、体に良いというのは、江戸時代も現代も変わりません。

「正直」とは、嘘をつかないことです。

人はうまく嘘をつこうとすると緊張します。嘘発見機で調べているものは嘘をついているときの人のストレスです。例えば、「盗んではいけない」と考えているのに、実際の行動として「盗んでしまった」場合、考えと行動が矛盾し、ストレスを生みます。それが嘘発見機にひっかかるのです。

同様に、ダイエットするためには夜中に食べるべきではないと考えているのに、深夜にラーメンを食べてしまうと不快感をおぼえます。これを心理学では、「認知的不協和」と言います。考えや行動に矛盾があると、人はストレスを感じてしまうのです。

嘘をつくことのストレスが健康に良くないので、天海和尚は「正直」をあげたのです。

「日湯」は、毎日入浴することです。

最近は、忙しさや光熱費の節約のためにシャワーだけで済ませる「お風呂離れ」が進んでいます。しかし、シャワーだけでは体の表面しか温度が上がらず、疲れがとれません。湯船にしっかり浸かることで血流が増え、酸素や栄養が細胞の隅々まで行き渡り、老廃物を回収します。すると新陳代謝が活発になり、リフレッシュできるのです。

千葉大学の研究で全国18市町村に居住する高齢者約1万4,000人を対象に、約3年間の追跡調査を行ったところ、週7回以上入浴する人は、週2回以下しか入浴しない人と比較して、要介護認定のリスクが約3割減少したという結果が出ています。

入浴はリラックスでき、メンタル面にも良く、脳の血行が促進され認知症予防効果が期待できると言われています。

「だらり」とは、緊張せずにいつも心穏やかにすごしなさいという意味です。

人には、積極的な活動をとるときにアクセルのように働く交感神経と、リラックスして体の修復を促すときにブレーキの役目を果たす副交感神経があります。昔なら戦など命の危険から身を守るときに交感神経が活性化されました。現代でも勉強や仕事に集中しているときは、交感神経が優位になります。しかし、ギターでも張りっぱなしの弦が切れやすいように、人間も副交感神経を優位にして、だらりとリラックスして自分を休ませることが大切です。

「ときおり下風あそばされかし」は、たまにはオナラでもしなさいという意味です。それくらいのんびりと穏やかな時間を持つことが、長寿の秘訣だと天海和尚は伝えたのです。

あなたは心と身体に良い習慣をいくつ持っていますか?

いつもよりラクに生きられる50の習慣
藤本梨恵子(ふじもと・りえこ)
ファイン・メンタルカラー研究所代表/米国NLP協会認定NLPマスタープラクティショナー/国家資格キャリアコンサルタント/産業カウンセラー/パーソナルカラーアナリスト/カラーセラピスト。愛知県生まれ。10年以上デザイナーを経験。当時月130時間を超える残業のストレスで前歯が折れる。この時期に友人の死も重なり、「幸せな生き方とはなにか?」を考え、本格的にキャリアカウンセリングや心理学を学ぶ。NLP心理学を中心にコーチング、カウンセリング、マインドフル瞑想などの手法を習得し統合。その手法を生かし、キャリアカウンセラー・講師として独立。各企業・大学・公共機関の講演の登壇数は2,000回を超え、婚活から就活まで相談者数は1万人を超えている。コーチング、パーソナルカラー、カラーセラピスト、骨格診断ファッションアナリスト等のプロ養成講座の卒業生は500人を超え、個人診断においては1,000人を超える。癌を経験したことをきっかけに、マクロビオテック、ヨガなどをはじめ、保護猫との穏やかな生活を大切にしている。主な著書に『なぜか好かれる人がやっている100の習慣』『なぜかうまくいく人の気遣い100の習慣』(共に明日香出版社)がある。

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