吉田 謙太郎
吉田 謙太郎
宅建士・不動産投資家・ライター|筑波大学卒業後、大手不動産会社にて投資用不動産の売買および賃貸営業・投資家へのコンサルティング・自社メディアでの記事執筆などを行う。自身でも社会人1年目(22歳)から不動産投資をしており、横浜市・大阪市・神戸市に区分マンションを4戸運用中。保有資格は宅地建物取引士、マンション管理士、管理業務主任者、3級ファイナンシャル・プランニング技能士。

相続で土地を取得したり住み替えで住んでいた土地を離れたりしたときに「その土地をどうするか?」という土地活用の問題に悩むことがあるかもしれません。土地活用には、幅広い専門知識が求められます。そのためまずは、プロに相談するのが合理的です。しかし「土地活用の相談は誰にすればいいのか?」が分からない人もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、土地活用の相談先6つと相談先を選ぶ際の注意点4つを紹介します。

【前提知識】土地活用の3つの方法とは?

土地活用の相談は誰にする?相談先を選ぶ際の4つの注意点
(画像=oka/stock.adobe.com)

前提知識として土地活用の方法は、大きく以下の3つに分けられます。

・土地として売却する
・土地として運用する
・建物を建てて運用する

売却して現金化するだけではなく「資産として運用することでお金を生む」という選択肢も検討できます。

土地として売却する

土地を売却して現金化することも選択肢の一つです。生活資金や住み替え先の物件を購入する際の費用に充てたり、土地を運用する手間や時間をかけたくなかったりする場合などは、運用するよりも売却するほうが合理的なケースもあるでしょう。

土地として運用する

土地として運用する場合の具体的な選択肢には、以下のようなものがあります。

  • 駐車場にする(コインパーキング、月極駐車場)
  • 第三者が建物を建築するための借地 など

土地を貸し出して運用する場合、イニシャルコスト(建物の建築費等)やランニングコスト(建物や設備のメンテナンス費用など)を抑えることができます。そのためリスクを抑えて土地活用をしたい場合に適した選択といえるでしょう。

建物を建築して運用する

具体的に以下のような建物を建築して賃貸する選択肢があります。

  • 賃貸住宅(アパート、マンション、戸建)
  • テナントビル
  • 商業施設
  • トランクルームやコインランドリー など

建物建設や運営のためのイニシャルコスト(建物の建築費等)、ランニングコスト(建物や設備のメンテナンス費用など)がかかります。しかし用途が広くなるため、収益を上げるチャンスを大きく広げることが期待できるでしょう。

6つの相談先!目的に応じて土地活用の相談先を分けよう

土地活用の相談先は、主に以下6つに分けられます。

・建築会社
・ハウスメーカー・工務店
・金融機関
・FP(ファイナンシャルプランナー)
・税理士
・不動産会社

目的に応じて相談先を分けましょう。

建築会社

賃貸住宅やテナントビル、商業施設など建物建築を幅広く検討している場合は、建築会社に相談するのが適切でしょう。広い土地や人通りが多く交通利便性の高い場所にある土地は、多様なニーズに応えることが期待できるため、建築を検討できる建物の選択肢が増えます。ただし何を建てるかによって建物の収益性が大きく変わることも忘れてはいけません。

該当する土地の立地や面積などに応じて幅広い選択肢を検討できる建築会社に相談しましょう。ただし、建築会社の場合は中規模から大規模での土地活用に優位性があると考えられます。小規模での土地活用の場合は、柔軟に対応できる相談先がよいケースもあるでしょう。

ハウスメーカー・工務店

アパートや戸建など比較的小規模な賃貸住宅を建築して運用することが決まっている場合は、ハウスメーカーや工務店に相談するのが適切でしょう。会社規模の大きいハウスメーカーは、自社グループ内に賃貸管理会社や仲介会社などを擁している場合もあるため、土地活用や賃貸経営の相談をワンストップで行える可能性があります。

工務店の場合は、建築に特化しているため、建築後の賃貸経営の相談ができないケースも少なくありません。一方、コスト面では工務店のほうがハウスメーカーよりも建築費を安く抑えられる可能性があります。そのためサービスの幅の広さとコストのいずれを重視するかで相談先を検討することが大切です。

金融機関

第三者的立場から土地活用の方法について調査し「具体的にどのような方法が最適か」を相談したい場合は、金融機関が適切です。銀行や信託銀行などの金融機関は、業務の幅が広く土地活用に関するコンサルティングを行っているところもあります。また土地の活用方法を相談したうえで金融機関が提携している関連会社を紹介してもらえることもあるでしょう。

さらに土地活用にあたって必要な融資の相談もあわせてできるため、対応の幅が広いのが金融機関の特徴です。

FP(ファイナンシャルプランナー)

FPは、土地活用の目的や具体的な方法が定まっておらず、第三者的な立場の専門家に広く浅く相談したいときに適しています。FPとは「家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度など幅広い知識を備え、相談者の夢や目標がかなうように一緒に考え、サポートする専門家」です。

FP資格を保有した担当者は、金融機関や不動産会社などに在籍していることもありますが「日本FP協会」で直接探すこともできます。FPに相談する際は、土地活用や不動産分野に強い担当者を選びましょう。

税理士

土地活用に関する税務や税制の観点から最も合理的な土地活用の方法を相談したい場合は、税理士が適切です。不動産会社やハウスメーカーの担当者は、必ずしも税務の専門家とは限りません。そのため土地活用における税制についてのアドバイスは、税金の専門家となる税理士に相談をするのが最適といえます。

不動産会社

土地活用をお考えの場合、まずはいろいろな土地活用のやり方を想定することが可能な不動産会社に相談するのがおすすめです。ただし、一口に不動産会社といっても以下のような業務に強みを持つ会社があります。

・デベロッパー:マンションやオフィスビル、商業地などの開発や大規模宅地の造成
・仲介(販売・賃貸):物件の売買や賃貸の契約を仲介する
・管理:賃貸物件の建物管理と賃貸管理を行う
・土地活用:土地を仕入れ、その土地を有効活用する方法を提案してくれる
など

そのため、目的に応じて相談する不動産会社を分けることが土地活用の成否を左右します。さらに、土地活用に強い不動産会社に相談するケースでも、方法によって相談先が異なります。

・賃貸物件(アパート・マンション・戸建て)
・賃貸併用住宅
・商業施設
・福祉施設
・医療系施設
・教育施設
など

土地の広さや立地によって適した活用方法があるため、その分野に特化した不動産会社に相談するのが適切です。

土地活用の相談先を選ぶ際の4つの注意点

土地活用の相談先を選ぶ際の主な注意点は、以下の4つです。

・目的に合致した相談先か
・その会社の実績や評判
・アフターメンテナンスの対応品質
・相談可能な範囲の広さ

目的に合致した相談先か

土地活用について相談する目的や具体的な運用方法がある程度定まっている場合、相談するべき相手は以下のようにある程度絞られます。

売却したい場合不動産会社
小規模なアパートを建てたい場合ハウスメーカーまたは工務店
税金について相談したい場合税理士

まずは、対象となる相手に相談することで自分の目的を達成できるかを考えましょう。

その会社の実績や評判

相談先が土地活用の分野でどのような実績を持っているかは「相談先として適切か否か」を判断する材料の一つです。具体的には、以下のような情報をその会社のHPや担当者へのヒアリングによって調べてみましょう。

  • 年間取引件数
  • 施工件数
  • 入居率
  • 管理戸数
  • ユーザーからの口コミ など

土地や建物という大きな資産を託す相手は、慎重に吟味する必要があるため、事前のリサーチを入念にしておくのが得策です。

アフターメンテナンスの対応品質

建物を建築して賃貸する場合、設備の不具合や施工不良、入居者からのクレームといったトラブルが発生することもあります。しかしトラブルが発生した際のアフターメンテナンスの対応品質が悪いと土地活用のパフォーマンスが下がってしまいかねません。そのため建築を依頼する前に対象となる会社がアフターメンテナンスをどの程度行ってくれるのかを細かく確認しておきましょう。

相談可能な範囲の広さ

土地活用においては、プランの企画・建築・建物管理・入居者募集・家賃回収・入居者対応・税務相談・売却といった多方面の実務が伴います。各業務をそれぞれに別の会社に依頼する場合、オーナーの手間や時間がかかるだけでなく各社間での連携がうまく取れなくなる懸念があるでしょう。そのため土地活用における各業務は、一つの窓口でワンストップ対応できるのが理想的です。

自社グループで各専門の会社を擁していたり密に提携している会社があったりするほうがスピーディかつスムーズに対応してくれる可能性が高いでしょう。前述したように、いろいろな方法を想定できるのが不動産会社の強みでもあります。その中でも、土地活用に強い不動産会社に相談するのがいいのではないでしょうか。

土地活用の相談をする際は、まず「その土地で何ができるか?」を考えよう

土地活用の相談をするにあたっては、まず対象となる土地の立地や面積、周辺環境などの要素を勘案して「その土地で何ができるか?」を考えることが重要です。賃貸住宅の需要がありそうな土地と駐車場の需要がありそうな土地では、相談先が異なってきます。

土地活用の具体的な方法をイメージが全く湧かない場合は、幅広く相談ができて、土地活用に強い不動産会社にざっくりとした相談をしてみるのも選択肢の一つです。

(提供:YANUSY

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