温暖化問題が深刻化した影響で、最近では「脱炭素」や「カーボンニュートラル」の文字を目にする機会が増えた。「カーボンオフセット」もよく見られるが、これらの用語はどう使い分けるのだろうか。ここでは温暖化問題の関連用語や世界の実情を解説する。

脱炭素とカーボンニュートラルの違いは? 日本と世界の実情や取り組み事例
(画像=doidam10/stock.adobe.com)

目次

  1. 脱炭素とカーボンニュートラルの違いは?関連用語もチェック
    1. 低炭素とは?
    2. ゼロカーボンとは?
    3. カーボンオフセットとは?
  2. カーボンニュートラルの歴史や世界の実情
    1. カーボンニュートラルはSDGs達成の手段に
    2. カーボンニュートラルが投資家から評価される時代へ
  3. カーボンニュートラル実現に向けた「脱炭素ドミノ」とは?
  4. 日本が行っているカーボンニュートラルの取り組み事例
    1. グリーン成長戦略
    2. RE100
    3. カーボンプライシング
  5. 脱炭素やカーボンニュートラルに関するQ&A
    1. Q1.カーボンニュートラルの意味や具体例とは?
    2. Q2.カーボンニュートラルの弊害は?
    3. Q3.脱炭素の具体例は?
    4. Q4.カーボンニュートラルの成功例はある?
    5. Q5.カーボンニュートラルはなぜ難しい?
  6. 脱炭素とカーボンニュートラルは社会評価にもつながる重要ワード

脱炭素とカーボンニュートラルの違いは?関連用語もチェック

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスであるCO2(二酸化炭素)の排出量を実質ゼロにすることである。単に排出量を抑えるだけではなく、植物や土壌などへの吸収・除去も活用されており、カーボンニュートラルを実現した社会は「脱炭素社会」と呼ばれている。

つまり、脱炭素とカーボンニュートラルは同義語だが、脱炭素については「完全に炭素を抜く」といった意味で使われる場合もある。では、ほかにはどのような関連用語があるのか、以下で簡単にチェックしていこう。

低炭素とは?

低炭素とは、CO2の排出量をできる限り抑えることである。京都議定書が採択された1997年頃に誕生した考え方であり、2008年には基本的な方針を定めた「低炭素社会づくり行動計画」が閣議決定された。

温暖化問題が深刻化した影響で、現在では脱炭素やカーボンニュートラルの必要性が高まっているため、「低炭素社会」という言葉は徐々に使われなくなってきている。

ゼロカーボンとは?

ゼロカーボンは、CO2排出量を全体としてゼロにすることである。脱炭素やカーボンニュートラルの同義語であり、明確な使い分けについては定義されていない。

なお、カーボンニュートラルやゼロカーボンのように「カーボン」を含む場合は、温室効果ガス全体(CO2やメタン、フロンなど)の削減を意味することもある。

カーボンオフセットとは?

カーボンオフセットとは、吸収・除去の努力だけでは削減しきれない温室効果ガスを、次のような方法で埋め合わせる考え方である。

○カーボンオフセットの主な手法
・CO2削減に関する団体や活動への投資
・ほかの場所のCO2削減量をクレジットとして購入
・環境保護や保全活動への参加

一見すると便利な方法に見えるが、カーボンオフセットは温室効果ガスの削減努力が前提となる。つまり、排出量を抑える努力をしない場合は、上記の手法を用いてもカーボンオフセットには該当しない。