電気やガスなどのエネルギーは、日常生活や企業活動に欠かせないものである。しかし、化石燃料の枯渇や温暖化など、近年では多くの問題が多方面から指摘されている。ここでは日本・世界のエネルギー問題や、中小企業が考えたい対策などを紹介する。

目次

  1. 日本と世界のエネルギー事情
    1. 日本のエネルギー自給率は12.1%
    2. エネルギー自給率のトップはノルウェー
  2. エネルギー問題はなぜ深刻?事業活動との関係性
  3. 日本が抱える5つのエネルギー問題
    1. 1.化石燃料への依存
    2. 2.エネルギー自給率の低さ
    3. 3.原子力発電所の稼働問題
    4. 4.電気系統の障害
    5. 5.環境問題への対応
  4. さらなる省エネルギーに向けた課題や取り組み
    1. 一般家庭や企業のエネルギー効率化
    2. 建築物の省エネ効果をアップさせる
  5. 中小企業が考えたいエネルギー対策
    1. エネルギー問題による自社への影響を考える
    2. 再生可能エネルギー分野への参入を検討する
    3. 国や自治体のエネルギー対策を注視する
  6. エネルギー問題のよくある質問集
    1. Q1.エネルギー問題とは?どんな弊害が起こる?
    2. Q2.エネルギー問題の例を知りたい
    3. Q3.日本のエネルギーの現状や課題は?
    4. Q4.日本はなぜエネルギーが不足している?
    5. Q5.国内の原油埋蔵量、ガス埋蔵量は?
  7. エネルギー対策への中長期的なプランが必須
日本のエネルギー自給率はたったの〇%!? 世界のエネルギー問題で日本はどうなる?
(画像=lovelyday12/stock.adobe.com)

日本と世界のエネルギー事情

ほかの先進国や欧米諸国に比べると、日本のエネルギー事情は厳しい局面に立たされている。実際にはどのような状況なのか、まずは日本と世界のエネルギー事情を整理していこう。

日本のエネルギー自給率は12.1%

日本のエネルギー自給率は、OECD(経済協力開発機構)諸国の中では低い水準にある。

一次エネルギーとは、石油や石炭、天然ガスなどの加工されていないエネルギーだ。2019年時点の自給率が12.1%であることから、日本はエネルギーの大半を輸入に頼っていることが分かる。

次は、2020年9月に資源エネルギー庁が公表した、発電電力量の構成比率を見てみよう。

2011~2018年度にかけて再生可能エネルギーが増えているものの、日本は発電エネルギーの7割以上を天然ガス・石炭・石油などに頼っている。また、2011年3月に発生した東日本大震災の影響で、原子力発電の比率が減少している点も押さえておきたい。

エネルギー自給率のトップはノルウェー

次はエネルギー自給率の世界ランキングと、原油生産量・天然ガス生産量の上位5ヵ国を紹介しよう。

日本や世界が抱えるエネルギー問題とは? 国内企業が知っておきたい課題や現状
(※エネルギー自給率は、国際エネルギー機関の2019年のデータを参照)
(※原油生産量は、国際エネルギー機関の2021年のデータを参照)
(※天然ガス生産量は、イギリスBP社の2020年のデータを参照)

エネルギー自給率でトップを誇るノルウェーは、国内エネルギーの6~7倍にあたる量を輸出している。原油生産量・天然ガス生産量ではランク外だが、いずれのエネルギーも輸出量では世界トップレベルだ。

生産量ではアメリカ・ロシアが上位につけているものの、これらの国は自国での消費量が多いため、エネルギー自給率はやや低い傾向にある。石炭生産量で世界トップを走る中国も、同様の理由でエネルギー自給率は第12位に留まっている。

一方で、日本はエネルギー資源が限られており、さらに自国での消費量も多いため、いずれのランキングでも下位に沈んでいる。