脱炭素社会を実現する必要性とは

CO2の排出量が増えると、世界には次のような弊害が生じると言われている。

○CO2排出による主な弊害
・異常気象による健康被害
・インフラ機能の停止
・生態系への影響
・高潮リスクや洪水リスクの上昇
・化学燃料の枯渇

いずれも日常生活を脅かす脅威だが、世界各国はどのような状況にあるのだろうか。ここからは日本と海外に分けて、脱炭素社会の現状を紹介する。

日本は人口あたりのCO2排出量が多い

2006年の時点で、日本のCO2排出量は世界5位であった。これはアフリカ全体の排出量と同等であり、国内人口(世界全体の約2%)を考えると日本の責任は大きいと言える。

日本のCO2排出量が多いのは、企業の事業活動だけが要因ではない。石炭火力発電所の増加や自家用車の高い普及率に加えて、家電の大型化・多様化による家庭からの排出も問題視されている。

つまり、日本はCO2排出量が増えやすい社会構造であり、無理に排出を抑えると経済活動が停滞し、生活水準も大きく下がってしまう。そのため、政府や自治体は企業とも協力しながら、さまざまな角度から施策を講じている。

平均気温の上昇により、国土消失や農作物被害が懸念される国も

18世紀後半に起こった産業革命から、世界の技術や産業はハイスピードで進歩している。その影響で、世界のいたる地域でCO2排出量が増加し、その結果として年平均気温が0.73℃上昇(100年あたり)したと言われている。

特に近年は上昇幅が大きく、永久凍土の融解によってすでに国土消失が懸念されている国も多い。そのほか、降雨パターンの変化による農作物被害や、マラリアの感染範囲が拡大するなど、多くのリスクが目の前に迫ってきている。

このような状況下で採択されたものが、環境問題の世界的なルールブックであるパリ協定や、持続可能な開発目標であるSDGsだ。現在ではこれらの協定をベースとして、欧米を中心にさまざまな取り組みが進められている。

脱炭素社会に向けた取り組み事例

では、日本や海外はどのような施策を講じているのだろうか。ここからは「日本・海外・企業」に分けて、脱炭素社会に向けた取り組み事例を紹介する。

日本の取り組み事例

日本政府の取り組みとしては、金融・税金・規制改革など多角的な政策である「グリーン成長戦略」が有名である。この成長戦略では、CO2排出と関連のある産業を3つに分けて、各分野で以下のような施策が行われている。

○グリーン成長戦略の施策例
・省エネ技術などへの民間投資を促進
・新技術普及を目的とした規制緩和または強化
・グリーンイノベーション基金を創設

上記のほか、企業の電力をすべて再生可能エネルギーで賄うことを目的とした「RE100」や、炭素税課税をはじめとした「カーボンプライシング」も代表的な政策だ。現時点では課題もあるが、環境省などの関係省庁がそれぞれ連携しながら、脱炭素社会実現に向けた制度が実施されてきている。

海外の取り組み事例

世界トップの経済大国であるアメリカでは、バイデン政権の発足をきっかけとして環境政策が転換した。トランプ政権時に離脱したパリ協定に復帰し、以下のような方向性で政策が進められている。

○アメリカの主な環境政策
・2035年までに発電部門の脱炭素化を公約
・洋上風力における発電量の倍増計画
・1.2兆ドルの予算を確保したインフラ法案

一方で、温室効果ガス総排出量の30%を占める中国も、2060年までのカーボンニュートラル実現を表明している。国内最大の繁華街である上海市では、重点業界のエネルギー効率の向上や、エネルギー構造の最適化が政策として打ち出された。

ほかにも省エネルギーや炭素削減などを含めた「カーボンピークアウト10大行動」が提唱されており、単位GDPあたりのCO2排出量を70%削減(2005年比)することが目指されている。

企業の取り組み事例

大企業の取り組み事例についても、いくつか例を紹介しよう。

脱炭素社会とは? 実現に向けた取り組み例や課題、対策を紹介

企業活動はCO2の大きな排出源であるため、大手を中心に各企業がカーボンニュートラルを目指している。近年ではESG投資(※)の市場も拡大しており、環境対策を進める企業が投資家からも評価されつつある。

(※)「環境・社会・ガバナンス」の観点で投資先を選ぶ手法。

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