SDGsへの取り組みが一般的になる中で、「ソーシャルグッド」が注目を浴びている。ソーシャルグッドは、社会問題や環境問題の解決など社会貢献につながる取り組み全般を指し、ソーシャルグッドを意識した取り組みを行う企業も増えている。本記事では、ソーシャルグッドの意味や代表的な事例、企業が取り組むメリットなどについて解説する。

目次

  1. ソーシャルグッドとは
    1. ソーシャルグッド・サミットにUNDPがパートナーとして参加
    2. ソーシャルグッドとSDGsの関連性
    3. ソーシャルグッドと似た概念「CSV」
    4. ソーシャルグッドに対する共感意識の現状
  2. ソーシャルグッドはなぜ注目されているのか?
    1. 環境問題などの課題解決に個人レベルでも取り組める
  3. ソーシャルグッドの有名な取り組み例
    1. アイスバケツチャレンジ:難病の認知度を世界的に高めるキャンペーン
    2. ゴミ諸島を本当の国に:環境問題への関心を高めるキャンペーン
  4. ソーシャルグッドのメリット5つ
    1. 1.企業のブランドイメージ向上につながる
    2. 2.企業の認知度が向上する
    3. 3.従業員のモチベーションが高まる
    4. 4.新しいビジネスモデルに挑戦できる
    5. 5.環境や社会の問題解決に直接関わることができる
  5. ソーシャルグッドの注意点
    1. ソーシャルグッドの取り組みが炎上につながることもある
  6. ソーシャルグッドの企業の取り組み事例
    1. トヨタ
    2. 無印良品
    3. パタゴニア
    4. NIKE
    5. スターバックス
  7. ソーシャルグッドについてのQ&A
    1. ソーシャルグッドの意味は?
    2. ソーシャルグッドの例は?
  8. ソーシャルグッドは期待効果を意識し過ぎずに社会貢献を優先しよう
  9. 事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ
NIKEにスタバにトヨタも? ソーシャルグッドって何?
(画像=Tarokmew/stock.adobe.com)

ソーシャルグッドとは

「ソーシャルグッド:Social Good」とは、自社を取り巻く身近な地域コミュニティだけでなく、地球環境などの幅広い定義においての「社会」に対して良い影響を与え、社会貢献につながる活動や商品、サービスなどの展開を指す言葉である。

ソーシャルグッドの取り組みには明確な基準や評価項目があるわけではなく、地域社会のボランティア活動への参加や植林活動、難民問題に取り組む団体への寄付、フェアトレード商品の販売などさまざまだ。

ソーシャルグッドの取り組みは、SNSなどのソーシャルメディアを通して拡散されることもあり、SNSの投稿者が仲介役となって広く認知されるようになっている。

ソーシャルグッド・サミットにUNDPがパートナーとして参加

ソーシャルグッドへの取り組みは世界的に意識されるようになっており、定期的にカンファレンスも開催されている。

ソーシャルグッドについての議論が行われる「ソーシャルグッド・サミット」の東京イベントでは、国連開発計画(UNDP)がパートナーとして参加するなど、SDGsが意識されている世の中でソーシャルグッドへの注目が高まっている。

ソーシャルグッドとSDGsの関連性

「SDGs」とは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」のことであり、2015年の国連サミットで世界共通の目標として採択された。

SDGsでは、2030年までに達成すべき17の目標と169の具体的なターゲットが定めている。17の目標の中には、「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「住み続けられるまちづくりを」「気候変動に具体的な対策を」など、社会問題や環境問題に関わるテーマも掲げられている。

ソーシャルグッドは、SDGsで掲げられている開発目標の達成につながる活動の一つであるのと同時に、SDGsへの取り組み自体がソーシャルグッド活動につながるとも言えるだろう。

ソーシャルグッドと似た概念「CSV」

「CSV:Creating Shared Value」は、日本語で「共通価値の創造」という意味の経営戦略に関する概念だ。CSVは、社会的な課題やニーズに取り組むことで社会的価値を創造し、それによって企業価値を高めて利益を得るという考え方である。

事業として社会的な課題に取り組むという点と、ソーシャルグッドの社会に良いインパクトを与えるための活動という点が類似している。

CSVと類似した概念に「CSR:Corporate Social Responsibility」がある。これは企業が社会的責任を果たすことを重要視する概念であり、社会的な課題への対応という責任は果たすとしても、経済的な利益を得るわけではない。

ソーシャルグッドに対する共感意識の現状

電通と電通総研による日本を含めた5ヵ国(英、米、中、印)を対象とした『ソーシャルグッド意識調査』によると、日本はソーシャルグッドに対する共感意識が最も低いという結果が出ている。

意識調査の項目の中でも、特に「環境負荷が低い商品や、フェアトレードの商品は多少高くても選ぶ」では、他国が60%〜80%という中で39%の共感率であった。

日本では、まだソーシャルグッドに対する意識が低いということがわかる。