ソーシャルグッドはなぜ注目されているのか?

ソーシャルグッドが注目されているのは、SDGsが世界的な共通目標となって企業活動の指針になっているのが最大の理由である。

環境問題などの課題解決に個人レベルでも取り組める

特に地球環境については、地球温暖化やマイクロプラスチックによる海洋汚染など、さまざまな問題を抱えている。SDGsへの取り組みとして、カーボンニュートラルやクリーンエネルギーの開発などの大きな技術革新テーマが掲げられてはいるが、それだけでは問題の根本解決は難しい。

地球規模の問題解決には、地域社会や個人などの小さな組織の貢献が不可欠だ。そのため、どんな小さなことであっても、社会に良い影響を与えるために行動するソーシャルグッドが注目されている。

ソーシャルグッドの有名な取り組み例

ソーシャルグッドの取り組み例として有名な事例がある。それは、「アイスバケツチャレンジ」と「ゴミ諸島を本当の国に」という2つのキャンペーンだ。

アイスバケツチャレンジ:難病の認知度を世界的に高めるキャンペーン

アイスバケツチャレンジは、指定難病2に該当する「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」を世界中の人に広く認知してもらうために行われたキャンペーンである。バケツに入った氷と水を浴びる動画をSNSで拡散するか100ドルを寄付するかを選ぶというもので、2014年にFacebookを中心として広まり、3週間で1,330万ドルの寄付が集まったという。

アイスバケツチャレンジで集まった寄付金や助成金を原資として開発されたALSの治療薬である「AMX0035」は、アメリカ食品医薬品局(FDA)に認可されることとなった。ソーシャルグッドへの個人の取り組みが、治療薬の開発という社会問題解決の糸口となった代表的な事例である。

ゴミ諸島を本当の国に:環境問題への関心を高めるキャンペーン

「ゴミ諸島を本当の国に」キャンペーンは、ゴミによる海洋汚染の問題への関心を高めるために行われたものである。

太平洋上に集積されたプラスチックゴミの面積が、フランスの国土と同じレベルまで積み上がっている。それにもかかわらず、海洋ゴミの増加という環境問題解決に取り組む国がいないという状況に一石を投じるために企画された。

2017年6月8日の「ワールドオーシャンズデイ」に、海洋保護団体がゴミの島を本当の国として認めてもらおうと、国旗や通貨などを準備した上で国民の募集まで行った。

結果的に22万人もの人が国民として立候補する事態となった。そして、キャンペーン動画は世界中で拡散され、「いいね!」の数は70万に上った。

世界的な社会問題に目を向けてもらうために、広告とはいえ国まで作ろうとしたソーシャルグッドの取り組みとして影響力の高いキャンペーン事例である。