ロシア軍がウクライナ侵攻を開始して、8ヵ月(原稿執筆時点)が経った。これまでの主要な出来事を振り返りながら、ウクライナ侵攻が起きた理由やロシアの思惑、戦況についてまとめた。
目次
そもそものロシアとウクライナの関係性は?
ロシアがウクライナを侵攻した理由を知るには、両国の歴史的背景を理解することが不可欠だ。
歴史は中世にさかのぼる。東ヨーロッパ地域には「キエフ・ルーシ大公国」という大国家があった。その中心として繁栄した都市が、現在のウクライナ首都・キーウだ。そして、キーウで生まれた文化や宗教は東方へ拡大し、現在のロシアを形作った。
つまり、キーウは現在ウクライナが所有する都市でありながら、ロシア発祥の地でもある。このことからは、両国は「兄弟国」と呼ばれることがある。ウクライナは1991年のソ連崩壊によって独立したが、現在も人口の2割がロシア系だ。
ロシアのプーチン大統領は就任後、旧ソ連の勢力権を取り戻す「大国復活」を掲げて、これまで他の旧ソ連諸国に軍事介入を繰り返してきた。特にウクライナへの執着は顕著で、2014年にウクライナ南部のクリミア半島を武力で一方的に併合し、2021年7月に発表した自身の論文で「ロシア人とウクライナ人は同一の民族であり、一体不可分」と持論を展開している。