XRの市場動向と今後の予測

XR市場は、今後も急激な規模の拡大が予測されている。2022年5月に株式会社矢野経済研究所が公表している「XR(VR/AR/MR)360°動画対応HMD市場に関する調査」によると特にHMD(ヘッドマウントディスプレイ)の普及が市場をけん引。2021年国内出荷台数約72万台が2027年には約386万台と5倍以上の拡大が予測される。

XRは、ゲームや動画視聴を中心に教育・研修分野や販売分野などビジネス導入が急拡大しているのが現状だ。一方、ARは建築・建設現場や物流など企業向けが主体だ。2022年度に5G環境の整備が加速しXRの導入を後押しする要因となっている。さらに2024年の官民連携によるプラットホーム、スマートシティの運用本格化がXRへの大きな波及効果が見込まれる。

XRの活用事例

すでに多くの分野でXRの実用的な活用が始まっているが、ここでは具体的な活用事例を紹介していく。

コンビニエンスストアにおける社員研修

大手コンビニエンスストアチェーンでは、教育担当者の負担を軽減するためにXRによる研修システムを導入。XRが提供する仮想空間において具体性のあるさまざまな場面を通じて現実的な接客経験が体験可能だ。近年増加する外国人従業員に向けて多言語自動翻訳機能を活用しながら業務スキルの向上を図っている。

不動産会社のオンライン内見会

不動産業界では、XRを活用したオンライン内見会で時間や交通費の削減効果を上げている。希望者を現地に案内する前に、XR内見することで実際の内見とのイメージのギャップを回避。効率的な成約につなげられる。近年は、VR内見のみでの成約も見られるといい、再現精度、利用者満足度の高さがうかがえるだろう。

バーチャル会議

コロナ禍を契機にVRを活用したバーチャル会議を取り入れる企業も増加している。遠隔地の人員も柔軟にワークショップや会議に参加可能となり全社的な意識の統一や社内統制にも貢献。一般的なオンライン会議と比べても現実世界と同様の共有体験ができるXRでは、よりコミュニケーションの活発化が期待できる。

ショッピング

XRを使った進化形サービスでは、バーチャル空間のショップ内で購入・決済まで完結することが可能となった。これまでもVRショッピングは提供されていたものの、新しいサービスでは他サイトへ遷移せずに決済でき深い没入感とスムーズな決済体験が提供されている。ユーザーの高揚感を損なわずに買い物体験が完了するため、リピートへの強力なアピール要因となっている。