本記事は、泉野晶代氏の著書『これで人づきあいは楽になる』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

人間関係,思いやり
(画像=takasu/stock.adobe.com)

人間関係の悩みは、どうして起こるの?

あなたの悩みをつくっている原因は大きく3つあります。

1)あなたを取り巻く環境
2)身についた習慣
3)セルフイメージの影響(自己嫌悪に襲われる)

1. あなたを取り巻く環境 ~今いる環境や場所の影響

人間関係,環境
(画像=Andrii Yalanskyi/stock.adobe.com)

人は住んでいる土地によって、食べるものも違えば、着ている服も違い、言葉も違います。

そしてあなたの居心地は住む地域以外にも、家族や友人知人などとの交流や職場や学校など、置かれた環境によっても違ってきます。あなたが今いる環境が心地良ければ快適でしょう。でももし、不快を感じているなら環境や場所を変えていくことをおすすめします。

大前研一さんも、人が変わるには「1つ目は時間配分を変える、2つ目はつきあう人を変える、3つ目は住む場所を変える」(『時間とムダの科学』プレジデント社)ことと書いています。

どんな時間をどこで過ごすか、どんな人たちと過ごすのか、そして、どんな場所で過ごすのか、という、あなたがいる環境の影響は大きいということですね。

今のあなたは主体的に環境を選んでいますか?

「はい」と答えた人も「いいえ」と答えた人も、親や友人知人、または会社や学校が決めたことであっても、結果、その環境にいるならば、あなたが決めていることになるのです。

でも、あなたが現状に満足していないなら、あなたの決心次第でより良い環境へ変えることができます。

あなたの周りの人たちは、否定的な言葉を使う人が多いでしょうか?

肯定的な言葉を話す人が多いでしょうか?

身近にいる友人、知人の名前を書き出して、どちらの人が多いのか、確認してみて下さい。

それが、あなたのいる環境です。その影響を受けていることになります。

たとえば、1クラス40人の教室があります。そこであなたは前向きな性格でしたが、あなた以外の39人が無気力だったり、人の言うことにダメ出しをしたり、文句ばっかり言っているような人たちだったら、1年後のあなたはどうなっていると思いますか?

逆に、あなたが無気力だったとしても、周りの39人が前向きな人たちで、何があっても応援してくれ、助けてくれたら、1年後、あなたはどうなると思いますか?

カウンセリングで、ある女性の方から「友人といるととてもストレスになります」という相談がありました。彼女の友人は仕事や人間関係の悩みを持っていて、一緒にいるとネガティブな話題が多く、気持ちが滅入ってしまうというものでした。

インターネットでも紹介されていますが「メトロノームの同期」という現象があります。複数あるメトロノームをバラバラに動かしたとしても、ある一定の時間ですべて揃っていきます。

私はこの動画を初めて見たとき、ハッとしました。同じ場所にあるだけで、いつのまにか周りに影響されて、同調してしまうということは人間関係でも起きているからです。

嫌なことばかり考えていると嫌なことに同調していくようになり、ストレスになってしまうのです。良いことを考えていると良いことと同調していくようになっていきます。

プロのカウンセラーでも、日常から自分が良いものと同調するように心がけています。そうでないと、逆にネガティブな状態に影響されてしまうことを知っているからです。

コラム 薬物依存症になったアメリカ兵
ベトナム戦争中、アメリカ兵はヘロインを使うことを許可されていました。その結果、彼らの多くはヘロイン依存症になってしまったそうです。その後帰還した兵士の90%はヘロインをやめて立ち直りましたが、残りの兵士たちはやめられず、苦しみ続けました。調査をすると、彼らには薬物中毒の仲間との関わりが常にあったことが後で判明しました。

見て、聞いて、感じたことは無意識に心に影響します。

あなたが関わる人や環境によって考えや生き方も変わります。今いる環境を自力で何とかしようとすることは困難ですが、あなた自身が環境を選んでいくことは可能です。

より良い環境に自分自身を置くことを大切にしましょう。

幸福な人は、自分が心で望むことについていつも考え、口にして、行動する。
不幸な人は、自分が心で望んでいないことについていつも考え、口にし、行動する。