2. 身についた習慣 ~育った環境があなたの行動のもとになっている
人は才能で生きているわけではなく、習慣化された、思考や言動で生きています。
あなたの周りに、とても歌がうまい人はいませんか?
絵を描くのがとてもうまい人はいませんか?
でも、きっと、その人は歌手でも、画家でもないはずです。
『一流の人に学ぶ 自分の磨き方』(スティーブ・シーボルト著/かんき出版)では、今のあなたになった「5段階の過程」が書かれてあります。
あなたが生まれた頃から想像しながら読んでみて下さい。
<第1段階>
親や教師、兄弟、友人などの影響力のある人たちが子供に信念を植えつけます。
<第2段階>
たとえその信念が間違っていても、子供はそれを事実として受け取ります。
<第3段階>
子供はその信念を潜在意識に組み入れ、それをもとに習慣を形成します。
<第4段階>
子供は間違った信念を持ったまま大人になるが、それに気づきません。
<第5段階>
大人は潜在意識の中で壁をつくり、自分を限定する信念をもとに行動しています。
このような過程を経て成長したあなたは、それが自分の常識となって行動し、自分と同じ考えの人には共感・賛同し、それ以外を非難・拒否するようになります。
アインシュタインも「常識とは、18歳までに得た偏見のコレクションである」と語っています。(『アインシュタイン150の言葉 新装版』ディスカヴァー・トゥエンティワン)
CASE モラハラにより家族が離散してしまった男性
ある男性が「家族が全員出て行ってしまった。原因は私のモラハラです」と相談に来ました。話を聞いていると、男性のお父さんはちゃぶ台をひっくり返すような暴力的なお父さんだったそうです。お母さんはお父さんに口答えをしません。そんな両親を毎日のように見て育った彼には、暴力的な言動は普通なことで、相手を傷つけているとは思っていなかったそうです。
親が行っていた言動を子供は疑わずに同じようにしていくのです。親の考え方や行動によって習慣化されたものは、ある一定期間生きるためには必要かもしれませんが、あなたが成長し、生き辛さを感じるのなら、考えに疑問を持ち、変化を起こさなければなりません。
自分が父親にされたことが嫌だったのに、同じことを家族にしてしまったことを客観視できたとき、この男性は家族の気持ちの痛みを知り、改善しようとし始めました。
あなたがもし、誰かを傷つけてしまったとしたら、呵責に耐えきれず自己否定するのはやめましょう。あなたが良かれと思ってやったことだったが、その方法ではなかったんだという事実だけを受け止め、次回から改善すればいいのです。
あなたの考えや習慣は成長の過程で身についたもの。それがもとで自分自身が傷ついたり他人を傷つけたりした場合は、自分を責めたりせず、他人と比べたりせず、その事実を受け止め、自分をまず理解することから始めましょう。