3. セルフイメージの影響 ~自己嫌悪に襲われたらどうする?
あなたは、自分に対してどんなイメージを持っていますか?
セルフイメージとは、セルフ=『自己』に対するイメージ『印象』です。
子供の頃、身近にいた人から言われた「あなたはこういう人」だという言葉が、自己認識になっていることがあります。
大好きなお母さんに、「あなたは落ち着きのない子だ」と言われたら、子供はすんなりと、その言葉を受け取り、「私は落ち着きのない子なんだ」と思い込んでしまいます。
実際に幼い頃、お父さんに「お前は家族で1番出来が悪い」と言われた男性がいました。
その言葉を聞いた彼は、それ以来、家族の中で過ごす資格がないと思い、素直な気持ちを言えなくなったそうです。
この自己イメージは、友人関係、人間関係にも影響していきます。彼は自分の価値を見出せないために、対人関係でも、同じように自分の気持ちが言えず、常に他人に迎合していくようになります。自分の気持ちを言えない子は、自己肯定感が低く、自分と他人との境界線を引けなくしてしまうのです。言った親はすっかり忘れてしまっていますが、子供はいつまでも覚えて苦しんでいるのです。本人もそれが影響して、今の自分のイメージとなっていることに気づいていないことがあります。
今のあなたは、誰かによってつくられたセルフイメージの結果です。自分が望んでいないセルフイメージに気づいたら、自己イメージを変えていきましょう。
今、ネガティブなセルフイメージなら、真逆のセルフイメージがピッタリなのかもしれません。ネガティブなセルフイメージを書き出して、ひっくり返していきましょう。
CASE 「すみません」が口癖になっている女性
ある女性が仕事が続かないというお悩みで相談に来ました。
入社した最初の頃はいい感じで仕事ができるのですが、人から注意されたり、些細なミスを重ねるうちに自己否定が始まり、人から嫌われたらどうしようと、びくびくしてしまうということでした。また、周りの人たちが話をしていると、自分のことを悪く言っていると思ってしまい、結果、人間関係がうまくいかず退職するといったことが続いているのだそうです。
私と話している最中でも、「私がダメなんです」「私は役に立たないんです」という自己否定の言葉と、「すみません」という言葉を頻繁に出していました。
私は彼女に、自己否定の言葉と、相手に必要以上に「すみません」を連発することをやめるように伝えました。
自分自身のことを悪く言う人は、他の人からも雑に扱われ、攻撃されやすくもなります。
あなたがもし今、自己否定しているのなら、一旦やめましょう。何か人にしてもらったら、「すみません」ではなくて、「ありがとう」と返すようにして下さい。
「誰かが、誰かをSNSで攻撃していると、全く関係のない人までがコメントするのはどうしてですか?」という質問を受けたことがあります。
道端にゴミを捨てる人がいると、他の人もその場にゴミを捨ててしまい、ゴミ溜めになってしまっている風景を見たことはありませんか? 同じように、SNSなどで、複数の人が特定の人を誹謗中傷していると、皆がしているなら、「非難してもいいや」と、関係のない人までもが攻撃を始め、社会問題にもなっていきます。これは「割れ窓理論」と呼ばれています。
意外なことに、実は攻撃している本人自身もダメージを受けています。人はネガティブなことを考えているだけで心にダメージを負ってしまうのです。
そして、セルフイメージで説明したように、同じく、自分で自分のことを「出来が悪い」と思い、「雑」に扱うと、周りもあなたを「雑」に扱うようになります。
大切なことは、自分のことを「大切」に思うことです。そうすると、周りもあなたを「大切」に扱っていくようになるのです。
- コラム ポジティブな気持ちになれる方法
「ピグマリオン効果」というものがあります。言葉の由来は、ギリシャ神話でキプロス王ピグマリオンが、自らが彫刻した女性像を愛し続けた結果、その彫刻像が人間の女性になったという話からきています。これは、「人は期待されると、その気持ちに応えるような状態になっていく」というものです。
信頼して期待されたとき、成果を出そうと努力したり頑張ったりした経験は、スポーツや勉強でもあるのではないでしょうか? 同様に穏やかに応援し信じてくれる人たちと会ったり過ごしたりすると自分のパフォーマンスが高くなっていきます。
それとは逆の「ゴーレム効果」というものもあります。
ユダヤに伝わる泥でできた人形の名前で、ゴーレムには意思がなく、主人の操るままに動くことから、「能力のある人が、他人からの言葉や態度によってその力を発揮できなくなること」が由来となっています。
あなたに対して、「お前はダメだ」「やっぱり無理ね」など、ネガテイブな批判が多い人の場にいると、どんどんとパフォーマンスが下がっていきます。周りに言われることで、もともと持っているネガティブなセルフイメージがあると、その考え方が強固になってしまい、さらに悪循環にはまります。
そんなときは自分を理解してくれる人、応援してくれる人、優しい人や楽しく過ごせる仲間と過ごすようにし、悪循環を断ち切って気分を切り替えましょう。
人は自分にとってマイナスな言葉を言う人の声を聞いてしまいがちですが、そういうときこそ、あなたを信じてくれる人や応援してくれる人の声を意識して聞くようにしましょう。
「運の良い人は、自分たちが幸運と思える証拠を集め、思い込み(信念)を強化している」
(『運のいい人の法則』リチャード・ワイズマン著/角川文庫より)
オフィス イズ代表。
父亡き後、多額の借金を引き継ぐ。返済の最中に親子問題や人間関係などの悩みを抱えるが、そのときに出会った心理学により克服。この経験を活かし、2011年に「自然の中にある静かな場所で人の可能性を引き出す」を理念としたオフィス イズを高知県香南市に設立。
NLP心理学を中心にカウンセリング、コーチング、セミナー講師として活動中。
発達障がい、愛着障がい、離婚、引きこもりなど相談件数は1万件以上にのぼる。
NLP(TM)協会公認トレーナー
NLP(TM)協会認定コーチ
ソーシャルパノラマプラクティショナー
社団法人日本学習事業会認定メンタル心理士※画像をクリックするとAmazonに飛びます