本記事は、泉野晶代氏の著書『これで人づきあいは楽になる』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

強い,メンタル
(画像=kieferpix/stock.adobe.com)

あなたが強くなれる方法

1. 不安感はあなたの味方!

不安感は「危険」を察知するために重要なアラートです。

ここに、アメリカインディアンのチェロキー族の老人の話があります。

人との問題や葛藤、争いが起こることについてアメリカインディアンの老人は子供たちに次のように教えていました。


人の中には必ず2匹の狼がいる。

1匹は「恐れ、怒り、妬み、悲しみ、不安や恐怖の狼」。
そしてもう1匹は、「安らかさ、穏やかさ、平和、勇気、愛と信頼の狼」。

不安や恐怖の狼は、私たちに危険を知らせてくれる必要な狼。
もし、不安や恐怖が一切人の中になかったら、平気で高いところに登り、飛び降りて命を落としてしまう。ゆえに、「不安」は危険を知らせてくれる大切な役割があるのだ。

そして、もう1匹は、愛と信頼の狼。
この狼は勇敢であり、愛や優しさ、信頼を常に保ち仲間も大切にするという狼である。

生きるためには両方必要なのだが、どちらの狼を自分のボスにしたいか、と子供たちに聞いた。
子供たちは、「愛と信頼の狼」と答えた。
子供たちは、どうすれば、愛と信頼の狼を自分の中のボスにできるか老人に聞いた。
老人は子供たちに、「ボスにしたいほうにエサを多く与え、強くすることだ」と答えた。

不安や恐怖の狼をボスにしたいなら、不安や恐怖になる不平不満を考え、口にし、行動して、愛と信頼の狼をボスにしたいなら、愛と信頼を深めることを考え、口にし、行動することだ、と教えた。

ここで大切なことは、不安に支配されてしまうのは良くありませんが、不安は必要だということです。身体の中に、ばい菌が入ると体調の異変が起こり気づかせてくれます。同じように不安は外から入ってきた情報が「危険」なものかを見定めてくれるアラートの役割を果たしており、あなたの味方と言えます。

不安が大きくなる前に、小さな不安を感じたら、そのことについて自分を信頼して対処できる「今、すぐできること」を考え、早速動いてみましょう。

2. 受け入れる強さを持つと強くなる

ガッツポーズ
(画像=PIXTA)

人との別れや、病気や取り返しのつかないことに対して苦しくて仕方ないときは、どうすれば良いのでしょうか?

そんなときは、次の言葉を思い出して下さい。

「経霜楓葉紅(ふうようは、しもをへてくれないなり)」

これは、京都のお寺で聞いた説法です。

楓は霜の厳しい寒さを経過して美しく紅葉していくように、人も苦しいときを経て大成し、美しくなっていくという意味です。

つまり、苦しい出来事は、あなたをさらに美しく成長させてくれるという教訓です。

起こってしまったことに対して、自分に責任を感じ、自分を責め、焦りや不安を覚え、恐怖し、自己否定してしまうことがあります。

目の前で起こった出来事を拒否したり、湧き上がってくる感情を否定したりすると、皮肉なことにさらに苦しくなります。自分を責めたり、焦ったり、不安や恐怖を感じたり、自己否定してしまうこともあるでしょう。そんなときは、矛盾しているようですが、あなたの状態を「あるがまま」受け入れていくことで、苦しい状態から抜け出すことができます。


焦っているときなら → 「今、自分は焦っているんだ」
不安や恐怖を感じているときなら → 「今、不安や恐怖を感じているんだ」
緊張しているときなら → 「今、緊張しているんだ」

自然に湧き上がってくる感情や感覚を、何とかしようとするのではなくて、ゆっくりと呼吸とともに受け入れていくのです。

ただでさえ苦しいのに、受け入れるのは二重に苦しいように思うかもしれませんが、起こってしまったことに対して抵抗していると、さらにエネルギーを使い状況が悪化してしまうこともあります。

どんな感情も必然な状態のときに自然に起こります。天気で言うと、自然に起きる嵐のようなものです。「今は、そういう気持ちなんだ」と受け入れていきましょう。

変えられるものを変える勇気を、
変えられないものを受け入れる大きさを、
そして両者を識別する知恵を与えたまえ。

ラインホールド・ニーバーの祈りの言葉
(『イラッとしない思考術「怒りの感情」が“スッ”と消える』安藤俊介著/KKベストセラーズより)

3. 少なくても「ある」という感覚を持つ

ひらめき,思考
(画像=PIXTA)

「強く願えば叶う」
「願い続ければ叶う」
「あきらめなければ夢は叶う」

このような言葉を、あなたは信じていますか?

強く願えば叶うというのは、心理学的に言うとNGなんです。

人の脳は、過去と未来を理解できず、「今」しか理解できないという特質があります。

「強く願えば叶う」という言葉は、いろいろな成功者が言っているので、正解な部分もありますが、不正解でもあるのです。

まず、強く願っているということは、それは「今」はないということです。

たとえば、「食べたい」というのは、「今」はお腹が空いているから。

たとえば、「お金がほしい」というのは、「今」はお金がないから。

「今」しか、理解できない「脳」は、お金がないという「今」を認識しています。

もっと言えば、「私は人前で話すのが苦手」と確信している人は周りの人はそうは思っていなくても、脳は「私は人前で話すのが苦手」を認識し、実行させていきます。

つまり、今のあなたの状態や起きている結果は、あなたの脳が「思い込んでいること」の結果になっているということです。自分の「欠けている」部分を補おうとしている人がいると思います。

誰かに愛されたいという「愛情欲求」
人に認めてもらいたいという「承認欲求」

カウンセリングでも、自分のダメなところを「直そう」とする人が多いですが、これらも強く求めれば求めるほど、遠のいていきます。欠落部分に意識を向ければ、向けるほど、苦手意識が増幅するだけなのです。「脳」は「持っている」状態でないと、認識・実行できないのです。

ないからほしいのに、「あるって思え」ってどういうことかって思いますよね? 矛盾しているように思えます。

では、どうしたら、愛情欲求や承認欲求が満たされるかというと、「確かに今」私は誰かに愛されているんだ、「確かに今」私は誰かに認められているんだという「確信」を持つことなのです。

今まで生きてきて、あなたを「愛してくれた人」「信じてくれた人」「応援してくれた人」「認めてくれた人」は必ずいると思います。そういう人を、「今」思い出して、心で、身体で、感じて満たしていくのです。

そして大切なことは思い出すだけでなく、人に認められたい人は、まず、自分から人を「認めていく」こと。人に愛されたい人は、まず自分から人を「愛していく」ことなんです。

求める人にはなかなか得られません。与える人のほうが心を満たしています。与えることができるのは、「持っている」からなのです。

よく「人の良いところを褒めましょう」「相手を祝福してあげましょう」という言葉を聞きますよね?

成功したら、「おめでとう」と言ってあげたいと思っても、それができず、妬んだり、嫉んだり、してしまう人がいますよね。これもまた「自分が持っていない」ことを確信することになってしまうのです。

漫才コンビのサンドウィッチマンは、自分たちがどん底のときでも、オーディションでライバルが東京に進出できたり、成果が出ると、まっさきに「おめでとう」を言い、自分たちのことのように喜んでいたそうです。

自分たちが苦しいときに、ライバルの成功を心から喜び、応援していた彼らは常日頃から、第1のフィールドを、嫉妬ではなく、すでに「自分たちは必ず成功する」という気持ちで満たしていたのでしょう。彼らは結果、明石家さんまさんを超える好感度ナンバーワンになりました。まず、自分を満たすことというのは、自分自身が「ある(有る・在る)」ということを実感することから始まるのです。

実感するためにすべきことは、「足りていること」「今、あなたがあ(有・在)ること」、感謝・賞賛できることでパーソナルフィールドを満たすことです。

感謝できること、賞賛できること、それらをたくさん書き出してみて下さい。
すると脳が「ある」と思い始めますので、自分自身が満たされていきます。
さらに周りにあふれ出し、第2フィールド以降へと拡がり、どんどん幸福感で満たされていきます。

(「足ることを知ることは富めり」老子の言葉より)
これで人づきあいは楽になる
泉野晶代
高知県生まれ。
オフィス イズ代表。
父亡き後、多額の借金を引き継ぐ。返済の最中に親子問題や人間関係などの悩みを抱えるが、そのときに出会った心理学により克服。この経験を活かし、2011年に「自然の中にある静かな場所で人の可能性を引き出す」を理念としたオフィス イズを高知県香南市に設立。
NLP心理学を中心にカウンセリング、コーチング、セミナー講師として活動中。
発達障がい、愛着障がい、離婚、引きこもりなど相談件数は1万件以上にのぼる。

NLP(TM)協会公認トレーナー
NLP(TM)協会認定コーチ
ソーシャルパノラマプラクティショナー
社団法人日本学習事業会認定メンタル心理士

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