この記事は2022年12月20日に「月刊暗号資産」で公開された「日銀、事実上の利上げで異次元の金融緩和を修正 ビットコインなどは乱高下 」を一部編集し、転載したものです。
日本時間19日夜の米株式市場は、金融引き締めの長期化への懸念から下落した。
19日ダウ平均は4日続落となった。利上げの継続が景気を冷やすとの見方が強まり、売り圧力が高まった形だ。また、米長期金利の上昇が重荷となり、ハイテク株中心のナスダック総合も下落した。
最終的に、NYダウ平均は前日比162.92ドル(0.49%)安の32,757.54ドル、ナスダックは前日比159.38(1.49%)安の10,546.03、S&P500は前日比34.70(0.90%)安の3,817.66で終えている。
これを受け、暗号資産(仮想通貨)市場においても売り方が優勢した。ビットコイン(BTC)は日本時間20日朝に1万7000ドル(約227万円)を下回り、イーサリアム(ETH)など主要アルトコインにも波及した。
中でも売り圧が高まったのはドージコイン(DOGE)だ。米電気自動車大手テスラ(Tesla)のCEOでTwitterを買収したイーロン・マスク(Elon Musk)氏の動向が大きく影響した格好と言える。
マスク氏はTwitterで、自身がTwitterのCEOを辞任すべきかについてアンケートを実施。その結果、投票総数は1700万票を超え、「辞任すべき」が57.5%、「辞任すべきではない」が42.5%と、賛成票が上回った。近頃のマスク氏については、米大手メディアの記者のTwitterアカウントを停止するなど、批判が集まっていた。
マスク氏は「私はこの投票結果に従う」と記しており、辞任する可能性が高まったことで、同氏との関わりが深いドージコインの売りにつながった。
また、日本銀行は20日、金融政策決定会合でイールドカーブ・コントロール(長短金利操作:YCC)の運用の一部見直しを決定した。国債買い入れ額を大幅に増額しつつ、長期金利の許容変動幅を従来の上下0.25%程度から上下0.5%程度に拡大する。
事実上の利上げを行うこととなり、黒田東彦総裁のもとで約10年に渡り実施されてきた異次元の金融緩和政策が修正されることとなる。日本銀行は今回の措置を通じて金融緩和の持続性を高めるとともに、2%の物価安定目標の実現を目指すとしている。
黒田総裁は金融緩和政策の修正について「市場機能の改善をはかる」と理由を述べた。具体的には、現在の状況が続くことで企業の起債など金融環境に悪影響を及ぼす恐れがあるとし、今回の措置に至ったと説明している。
日本銀行のサプライズとも言える金融緩和縮小に伴い、ドル円は137円から一気に132円まで円高となった。
また、日経平均は一時800円安の2万6,416円91銭まで下落。アジア株や米株価指数先物なども下落し、広く影響は波及した。
暗号資産市場においては、金融緩和縮小が明らかになったタイミングに合わせてビットコインが一時1万6800ドル(約224万円)から1万7300ドル(約230万円)まで上昇したものの、その後は1万6700ドル(約223万円)ほどまで急落。日米の株価指数が下落したことでリスクを回避する動きが強まった。
記事執筆時点で、ビットコインは1万6800ドル、イーサリアムは1200ドル(約16万円)ほどで推移している。(提供:月刊暗号資産)