後継者がいない企業にとって、会社存続は頭を悩ませる問題である。最近ではM&Aで解決をするケースが多く見られるが、中小企業や地方企業でも難しくない方法なのだろうか。本記事では後継者がいない会社の選択肢や、M&Aの有効性などを解説する。

後継者がいない会社の5つの選択肢──中小企業でもM&Aは難しくないのか?
(画像=琢也栂/stock.adobe.com)

目次

  1. 後継者がいない中小企業の選択肢は5つ
  2. 後継者は「身内・社内・社外」の誰を選ぶべきか?
    1. 後継者選びに失敗するとどうなる?
  3. 会社存続と創業者利益を重視するならM&Aが有効
  4. 今はM&Aを選びやすい時代に!最短6ヵ月で完了するケースも
    1. 売り手側がM&Aを実施する流れ
  5. M&Aにおける企業価値の調べ方
  6. M&Aを選ぶ場合は早めの行動を
  7. 事業承継・M&Aをご検討中の経営者さまへ

後継者がいない中小企業の選択肢は5つ

後継者がいない中小企業には、大きく分けて5つの選択肢がある。

○後継者がいない中小企業の選択肢
・親族への承継
・社員への承継
・M&A
・廃業
・株式公開(IPO)

身内に財産を残すことや従業員への影響を考えると、多くの場合は「親族への承継」が望ましいだろう。しかし、いずれの選択肢にもメリット・デメリットがあるため、今後の方針は安易に決めるべきではない。

後継者がいない会社の5つの選択肢──中小企業でもM&Aは難しくないのか?

親族への承継は無難に思えるが、後継者のスキル不足による経営悪化や、後継者争いなどのリスクがある。また、M&AやIPOのような売却益は手に入らないため、状況次第では損をする選択になってしまうだろう。

また、親族・社員への承継では、「誰を後継者にするべきか」も慎重に考える必要がある。

後継者は「身内・社内・社外」の誰を選ぶべきか?

廃業以外の方法では、「身内・社内・社外」から後継者を選ぶ必要がある。後継者についてもそれぞれメリット・デメリットがあるため、以下で違いを確認しておこう。

後継者がいない会社の5つの選択肢──中小企業でもM&Aは難しくないのか?

身内への承継で最も注意したいのは、後継者に経営スキルがあるとは限らない点だ。親族に財産を残せる点は魅力だが、スキルに乏しいと経営が傾いてしまい、莫大な債務を抱えるようなリスクもある。

一方、社外への承継は優秀な人材を選びやすいが、個人保証の引き継ぎや周囲からの理解といったハードルがある。

後継者選びに失敗するとどうなる?

では、事業承継で後継者選びに失敗すると、どのようなリスクが顕在化するだろうか。

分かりやすい例としては、従業員の連鎖的な離職が挙げられる。後継者に経営スキルがなかったり、異なる企業文化を押しつけられたりすると、多くの従業員は将来への不安から離職を考え始めるだろう。

ほかにも、後継者選びの失敗には以下のようなリスクがある。

○後継者選びに失敗するリスク
・社内で争いが起き、一体感や連帯感がなくなる
・業務効率が下がることで業績が悪化する
・従業員が経営者の指示を聞かなくなる
・従業員がストレスや不安を抱え込む
・本来は望んでいない方向で会社が成長する など

仮に会社が成長しても、企業理念とは異なる方向性や、従業員に負担がかかる成長の仕方は望ましくないはずだ。会社を守ることは重要だが、本来あるべき姿をしっかりと実現できるように、具体的なイメージを固めておく必要がある。