本記事は、福山敦士氏の著書『イマドキ部下を伸ばす 7つの技術』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

無闇に褒めない

ビジネスマン
(画像=polkadot/stock.adobe.com)

感情や感覚で褒めない

上司が部下を褒めることは重要ですが、他方で、手当たり次第に褒めればいいわけではありません。あくまでも、正当に評価することが大事です。

裏を返すと、無闇に部下を褒めないことです。

とくに注意すべきなのが、感情や感覚で褒めてしまうことです。感情や感覚で褒めてしまうと、その場の勢いだけで評価することとなり、信頼を失いかねません。

褒めるときはあくまでもロジックや理由があり、正しく評価できるときにしましょう。

時折、〝部下のご機嫌取り〞のために部下を褒めている上司がいますが、そうした空気感を、部下側も敏感に察知します。

「この上司は成果を見た上で評価してくれたのではなく、こちらの機嫌をとっているだけ」

部下にそう思われてしまうと、やはり信頼関係を構築することはできません。

昔、こんなことがありました。当時、経営メンバーが全員20代の若い組織だったのですが、あるメンバーが1件受注しただけで、社長が「よくやった! 素晴らしい! 初受注だから飲みに行こう!」と感情的に大げさに褒めてしまったのです。

当初は本人もまんざらでもない様子だったのですが、2回目以降はあまり褒められることがなく、そのギャップを面白くないと感じていたようでした。

このように過剰な称賛、適切ではないタイミングでの称賛は、部下に良い影響を与えません。むしろ、コミュニケーションのギャップが生じてしまいます。

一律に、基準を定めて褒める

もちろん、褒めることによって部下が成長することも多いです。だからこそ、上手に褒める工夫をしましょう。

重要なのは、できるだけ差を設けないこと。あらかじめ文面や言葉も決めておき、なるべく一律に、結果に基づいて褒めるのがコツです。

そうすれば、部下としてもきちんと評価されていると認識しつつ、それ以上を求めなくなります。また組織全体としてもフェアな評価が可能です。評価基準は会社としての在り方でもあります。

明確な評価基準に基づき、それに応じて相手を褒めてあげれば問題ありません。成果を褒めれば、それは贔屓ひいきにならず、結果に対する称賛になります。

部下は、そういった上司の対応を見て「きちんとした結果を出すことが称賛の対象になるんだ」と学びます。そして、基準に沿った結果を追求できるようになるのです。

また最近では、LINEでスタンプなどを使う上司もいるかと思います。

しかし、それが部下を過剰に褒めていたり、感情で称賛したりしている可能性も考えるべきです。ぜひ、それらの使い方を見直し、適切かつ効果的な称賛を目指しましょう。

Point
適切な評価が信頼を生む。
=イマドキ部下を伸ばす 7つの技術
福山敦士
キャリア教育研究家
DORIRU株式会社(旧ギグセールス)代表取締役
慶應義塾高校 講師(ビジネス実践講座) 
1989年横浜生まれ。 大学卒業後、サイバーエージェントに入社。会社員生活になじめず成績が上がらない日々を過ごすものの一念発起し、仕事の仕方を変えたところ、25歳でグループ会社(シロク)の取締役営業本部長に就任。27歳で独立起業。複数企業/事業を立ち上げ4度のM&A(売却)をすべて上場企業相手に実行。ショーケース社へのM&A時、同社取締役に就任。人事本部長として、採用育成、人事制度設計、マネジメント研修などに従事。2020年、ギグセールス社にM&Aにて参画、2022年から代表取締役就任。
慶應義塾高校、代々木ゼミナール教育総合研究所などで学生にビジネスを教える講師を務めている。
著書累計12万部超。学生時代は野球ひと筋16年。甲子園ベスト8。3児のパパ。

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