本記事は、福山敦士氏の著書『イマドキ部下を伸ばす 7つの技術』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

褒めてから注意する

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(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

できている部分を認めて伝える

部下を注意しなければならないときは、先に褒めてから本題に入ると相手が素直に言葉を受け取り、対応してくれやすくなります。

心の状態が整い、その後に伝えられる問題点を受け入れやすくなるためです。

いきなり「あなたのここが課題ですよ」と切り出してしまうと、たとえその通りだったとしても、これ以上傷つきたくないと防衛反応が働いてしまいます。拒絶とまではいかなくとも、つい言い訳をしたくなってしまうのです。

たとえば、最初に「君、今月は目標未達でしたね」と言うと、「いえ、今月達成できなかったのは、天候が悪く、お客さんがうちの会社に来られなかったからです」などと、つい反応してしまいます。

必ず、まずは相手を褒めるようにしましょう。

具体的には、冒頭で「この間の接客は本当に素晴らしかったね」「あのお客さんを開拓したのはあなたが初めてだよ」などと伝えておくのです。

そのような褒め言葉を最初に伝えることで「自分のことを見てくれている、分かってくれている」と理解した上で話を聞くことになるので、「ただ、目標まではあと一歩足りていないね」「すみません。数字の上でも達成に向けて努力します」というように、課題を受け入れてもらいやすくなります。

部下としても、自分ができている部分はきちんと認めてもらっているので、「もっと役割分担を明確にします」「他のメンバーにも協力してもらいます」など、課題に向けた自発的なアクションも浮かびやすくなるのです。

あるいは「そこでぜひ、課長にも協力してもらいたいのですが……」など、ポジティブな提案を引き出せるかもしれません。

部下が自発的に動いてくれるようになるために

部下が自発的に動くよう促すためには、「KPT」も理解しておきましょう。

これは「Keep」「Problem」「Try」の頭文字をとったもので、継続、課題、改善という3つの要素から、振り返りと次のアクションを実現していくものです。

振り返りで現状の良い点と課題を抽出した上で、さらに次のアクションを定めておくと、「行動→改善→行動」のサイクルができます。

それを上司と部下ですり合わせていくのです。

よくあるのが、現状と課題をもとに「もっと予算を増やそう」「もっと行動を増やそう」などと決めるだけで、誰が何をやるのかを明確にせず、実行が伴わないケースです。

実行力のない組織は、優秀な若手が辞めてしまう恐れがあります。

退職時に、「私は提案しました。けれど会社はそれを実行しなかった」と述べて去っていくのはその典型です。

上司としては、そのような事態に陥らないよう、部下と共に継続、課題、改善の3つを明確にし、業務を進めていくことが求められます。

何より重要なのは、改善です。

その点を具体化し、日々の業務に落とし込んでこそ、部下は自発的に動いてくれるようになります。

Point
まず承認・評価するべき
ポイントを見つけるのが上司の仕事。
=イマドキ部下を伸ばす 7つの技術
福山敦士
キャリア教育研究家
DORIRU株式会社(旧ギグセールス)代表取締役
慶應義塾高校 講師(ビジネス実践講座) 
1989年横浜生まれ。 大学卒業後、サイバーエージェントに入社。会社員生活になじめず成績が上がらない日々を過ごすものの一念発起し、仕事の仕方を変えたところ、25歳でグループ会社(シロク)の取締役営業本部長に就任。27歳で独立起業。複数企業/事業を立ち上げ4度のM&A(売却)をすべて上場企業相手に実行。ショーケース社へのM&A時、同社取締役に就任。人事本部長として、採用育成、人事制度設計、マネジメント研修などに従事。2020年、ギグセールス社にM&Aにて参画、2022年から代表取締役就任。
慶應義塾高校、代々木ゼミナール教育総合研究所などで学生にビジネスを教える講師を務めている。
著書累計12万部超。学生時代は野球ひと筋16年。甲子園ベスト8。3児のパパ。

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