この記事は2023年1月10日に青潮出版株式会社の株主手帳で公開された「フォーバル【8275・プライム】中小企業向けに経営課題解決をサポート 「アイコンサービス」4万2000社が導入」を一部編集し、転載したものです。


中小・小規模企業向けに、経営課題解決のソリューションを提供しているフォーバル。2023年3月期第2四半期の売上高は前年同期比17.5%増の275億2,600万円。2023年3月通期は売上高前期比4.8%増の540億円、営業利益は同4.2%増の28億円を見込んでいる。

現在、多くの企業ではDX化が大きな課題となっており、同社の存在感がますます高まっている。

▼中島 將典社長

フォーバル【8275・プライム】中小企業向けに経営課題解決をサポート 「アイコンサービス」4万2000社が導入
(画像=株主手帳)

主力事業の「アイコンサービス」
DX・GX化の波に乗り拡大

現在、同社は「フォーバルビジネスグループ」「フォーバルテレコムビジネスグループ」「総合環境コンサルティングビジネスグループ」「その他事業グループ」の4つのセグメントで展開している。「当社の事業ドメインは、中小規模事業の経営に着目し、業績が上がることを1つのゴールとして支援し続けること」(中島將典社長)だという。

全売上高48.8%、セグメント利益55.4%を占める「フォーバルビジネスグループ」の主力となっている「アイコンサービス」は、2008年よりスタート。経営コンサルティングやネットワーク構築・管理から機器販売まで幅広いサービスを提供する。

現在の同サービスの顧客数は大都市圏を中心に、2022年3月末時点で4万1,946件。顧客の多くはいわゆる日本の典型的な中小・小規模企業で、従業員は20人以下、年商10億円程度。近年はパートナーの販売会社によるOEM獲得が増加し、半数以上の2万5,738件にも及ぶ。

サービス開始当初は、月額3,500円からスタートしたが、現在は3万円。以前より継続している事業所もあるため、平均は約2万円。サポートする内容によっては100万以上のケースもあるという。

現在、DX(デジタルトランスフォーメーション)化が国家の経済政策の目玉として打ち出されており、企業経営のアナログからデジタルへの転換を促す。

国策に合わせ同社は、中小・小規模企業に対し、従来の経営手法から、世の中がDX社会になった時に向けて、ビジネス手法を変化させられるよう、アドバイスをし続けている。

同社は「1顧客1戦略」を標榜し、1アドバイス先ごと、個別のDX化へのロードマップを作成し提供する。山積の課題を整理し、優先順位をつけ、その課題をタイムスケジュールに合わせ解決手段を提示する。

「当社の特徴は、あるひとつの課題について3カ月間をメドに解決していきます。そして3カ月後に必ず効果測定をする。それを繰り返していくのです」(同氏)

課題解決に当たっては、ハードはもちろん、クラウド会計ソフトなどデジタルツールが必要になる。傘下にある20社ものグループ会社は、中小・小規模企業が取り組める商材を持っている。アイコンサービスを入り口に、顧客に対して様々な提案がワンストップで可能になるのだ。

専門人材の確保と育成に注力
経営者目線でのアドバイス

経営課題の解決に当たり、同社にとって重要になるのは、専門人材の確保だ。

同社の「アイコンサービス」では、スタッフ1名が担当するのは40社から50社。1顧客に対し3人から4人でチームを組む。「フロントに立ってアドバイスする人間、課題を発見する人間、バックヤードチームの人間、それぞれ人間の役目が分かれていて、1社1社はチームで取り組んでいきます」(同氏)という。

同社は毎年、70名前後の新入社員がいるが、1年間にわたり研修期間を設け、必要な専門知識やスキルを学んでいく。

「経営者にアドバイスをするためには、経営者視点で話ができないといけません。経営の基本は財務ですから、BSとかPLいわゆる財務データを一定程度相手にアドバイスができる能力がないとこの仕事は難しい。基本的には中小企業診断士の初期的なノウハウは持ち合わせてなくてはいけません。例えばITに関わる個人情報保護士という個人情報の専門資格がありますが、それは7割の社員が持っており、日本で最大の保有率です」(同氏)

自治体等との連携で
地方活性化にも寄与

同社では今後、こうした中小・小規模企業支援を全国に波及させていく計画だ。同社のビジネスはこれまで、東名阪を中心とした、政令指定都市を中心に展開してきた。もともとは情報通信ツール販売会社だったため、より多く売ることに集中していたことに起因する。現在は、全国ほぼ全ての企業、法人を対象としている。

その戦略の一つとして、同社は「中小企業のGDX化の伴走型アドバイザーとして確固たる地位を確立」させていく計画。具体的には全国的に地域の自治体や企業、教育機関などとの連携で推進していく。

同時に、地元に根差すアドバイザー職を広く募集し地域活性化につなげていく考え。現状では地方の大学を卒業した学生の多くは、東京や大阪などの大都市圏に就職してしまう。同社独自の「GDXアドバイザー」という職種を広く認知してもらうことで、若い優秀な人材が地元にとどまる仕組みを作っていくという構想だ。

「地元の企業はGDX化が遅れている。そこで自治体が率先して遅れている企業と、地元で生まれ育った若いGDXアドバイザーとマッチングする仕組みを作れば地元に残る。地元の企業は地元の若者にアドバイスを受けながら、これから生き残っているいくためのフォーメーションチェンジができる可能性がある。こうした仕組みを作っていきたい」(同氏) 


新戦略のキーワードは「GDX」
同社が標榜している「GDX(グリーンデジタルトランスフォーメーション)」とは、「GX(グリーントランスフォーメーション)」と「DX」を合わせた独自の造語だ。

その背景には、2021年3月に政府が取りまとめた「経済財政運営と改革の基本方針2021」(骨太方針2021)がある。これは日本を取り巻く環境変化に合わせて、構造改革を戦略的に進めていこうというもの。

中小・小規模事業者には、取り組む必要性の認識や、情報、人材、資金、時間などが不足しており、日本の99.7%を占める中小事業者がこうした取り組みを進めていかなければ、立ち行かない。そのためには、これら事業所に伴走した支援が不可欠だ。

フォーバルは、こうした国策に合わせてサポートを推進。「GDXアドバイザー」という専門家を育成し、新たな収益の柱としていく計画だ。


2022年3月期 連結業績

売上高515億3,500万円前期比 3.5%増
営業利益26億8,500万円同 2.6%増
経常利益28億5,500万円同 15.0%増
当期純利益18億3,600万円同 35.3%増

2023年3月期 連結業績予想

売上高540億円前期比 4.8%増
営業利益28億円同 4.2%増
経常利益30億円同 5.1%増
当期純利益19億円同 3.4%増

*株主手帳1月号発売日時点

中島 將典社長
プロフィール◉中島 將典(なかじま・まさのり)社長
1964年福岡県生まれ。1987年3月千葉商科大学商経学部卒業。同年4月新日本工販(現フォーバル)入社。1995年4月OA営業本部長、1998年常務取締役OA営業本部長、2002年フォーバルテレコム代表取締役社長、2005年フォーバル取締役上席副社長、2007年代表取締役副社長、2008年代表取締役副社長兼事業推進本部長、2010年代表取締役社長就任。