本記事は、野沢琢磨氏の著書『年商3億円稼ぐ高校中退社長の 事業計画書のいらない起業法』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

社員それぞれに「自分にできない得意分野」を探して任せる

得意分野
(画像=Shirley/stock.adobe.com)

人に仕事を任せるとき、適材適所の配置をして、その人の能力を最大限に発揮できるような環境を作ることも大切です。

社長とは、野球で例えるなら監督です。

チームが成果を出すために、どうしたら個人の力を最大限に発揮できる環境を作れるか、考える必要があります。

私がプロ野球の監督で最も尊敬しているのは、ヤクルト、阪神、楽天で監督を務めた野村克也さんです。

彼は監督時代に「野村再生工場」と言われ、他の球団で成果が出なかった選手や、加齢による衰えによって成績が下がった選手などを再生して、また活躍させることを得意としていました。野村監督の著書には、一流の選手を育てるのに一番大切なことは「人間教育」だと書いてありました。どんなに野球がうまかろうと、ちゃんとした人格形成ができていなければ、息の長い選手にはならない、ということです。

私がその本を読んだのは20代の頃ですが、当時の私には、野球技術よりも人格形成が大切というのはとても衝撃的で、記憶に残っています。

私の目指す経営者像は、野村監督が野球界でやったようなことを経営でやることです。

したがって私も、弊社で働いてくれている人たちには、どこに出しても通用する人になってもらいたいと常々思っています。

そのために必要なことは、従業員と接するときに、その人の将来を本気で考えることだと思っています。

言うならば子供の将来を考える親のような感覚です。

人が能力を発揮できる環境を作るには、そういう人間関係を作ることがスタートというか、大前提だと思います。

経営者は従業員を、会社のために雇っていると思っているかもしれませんが、働いている人からすれば、まずは自分のために働いています。

しかし、自分のために仕事をしている延長線上に、会社のためということを考えてくれる人もいるのです。

したがって、経営者と従業員は役割が違うだけで、対等な立場にあるということだけは、忘れてはいけません。

その上で、個人の能力を活かす仕事を与えるには、まずその人に「どんな仕事がやりたいか聞く」ということが有効です。

これは、新規採用の面接で必ず聞くのですが、まず相手がやりたいことと、こちらがやって欲しいこととが合っていなかったら、元も子もないですよね。

その次に聞くのが、その人の「将来の夢」です。

大人になって、そんなことを聞かれる機会は滅多にないと思います。しかし、その人が将来どうなりたいかがわかると、どんなことをやりたいかも見えてくることが多いです。

例えば、弊社には、先ほどもお話しした西野という人がいます。

西野の夢は「パソコン1台でどこででも仕事ができるようになりたい」でした。

人と関わることはあまり好きではなく、日常生活でもインドア派。家に篭ってYouTubeを見たり、ゲームをしたりするのが好きな人です。

私がネットショップの仕事を始めるとき、商品リサーチや店舗構築などのパソコン作業が得意分野ではなかったので、西野に声を掛けて始めました。彼は自分の好きな分野だったので、時間も忘れて仕事に没頭していました。

本人がやりたいことや好きなことを仕事でやってもらうと、良い結果が出ます。

逆に能力が発揮できない仕事を与えると、全く成果が出ないこともあります。

この西野ですが、売上を上げて利益を出すので、さらに売上を上げるために新入社員を入れて、そのマネジメントをやってもらったことがありました。ところが、これは失敗でした。

好調だった本人の売上は、マネジメントに時間を割かれて低下していき、さらにチームとしての売上もそこまで増えない、という結果になってしまったのです。

これは完全に私のミスで、西野は最初から、人と関わるよりもパソコンに向かっている方が好きだと言っていたのに、本人のやりたいことではない仕事を私が与えてしまったのです。

しかし一方、本人が好きではなくても向いていることや、まだやったことがないだけで、やらせてみたら凄い能力を発揮することもあります。

弊社の河邑という女性は、障害者就労の仕事に関わりたいと言って、面接に来ました。将来の夢は「子供食堂をやりたい」と言っていました。ご主人が自営業で飲食店を経営しており、前は一緒に働いていたけれど、お店が移転したのを機に、別々に働き始めたということでした。

この河邑には、最初のうちは障害者就労施設の指導員という、働きに来られる障害者のサポートをする仕事をやってもらっていました。しかし、とても仕事が細やかで丁寧であるだけでなく、視野が広く全体を見ることが得意だったので、あるときから経理などの事務仕事もやってもらうことにしました。

それは、彼女の仕事ぶりが信用に値すると思ったからです。経理などの仕事はお金に関わるので、やったことがあるかないかよりも、まずはその人の仕事ぶりが信用できるかというところが一番大切だと私は考えています。

最初は慣れない仕事で大変だったと思いますが、今ではとても活躍してくれて、弊社に必要不可欠なポジションを担ってくれています。

このように、好きなことや得意なことを任せたり、その人の能力を見極めて適材適所の人員配置を行ったりできれば、何も言わなくても結果を出してくれます。

もちろん会社にはさまざまな役割があるので、必ずしも全員がやりたい仕事ができるとは限らないのですが、その中でも向いている仕事をやってもらうことが大切です。

年商3億円稼ぐ高校中退社長の 事業計画書のいらない起業法
野沢琢磨(のざわ・たくま)
NOZAWAグループホールディングス株式会社代表取締役。シリアルアントレプレナー(連続起業家)。1979年生。新潟県柏崎市出身。高校中退後、さまざまなアルバイトを経験。21歳で年収1,000万円を達成するも、若さゆえの失敗が重なり、1,000万円もの借金を抱えることになる。25歳頃から少しずつ始めていた株、投資信託や先物取引などの投資がある程度成功を収め、資産が1,000万円ほどになったが、その一方で、FX系投資ファンドにて500万円以上の損失も経験。27歳で海外移住サポートの仕事につく。32歳で会社を退職し独立。その後、中国上海での飲食事業などを皮切りに自分自身のビジネスを開始。思いついたら次々に事業を立ち上げる、いわゆる“シリアルアントレプレナー(連続起業家)”としての才能に目覚め快進撃が始まる。起業から3年の現在、年商3億円を超え、3社の会社の代表を務め、従業員数は40名以上。手がけている事業は、飲食店、小売業、ネットビジネスコンサルティング業、障害者福祉事業、商品開発企画製造業等。複数の事業を立ち上げグループ企業運営を行っている。最近は自社ビルも購入。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます
ZUU online library
(※画像をクリックするとZUU online libraryに飛びます)