本記事は、野沢琢磨氏の著書『年商3億円稼ぐ高校中退社長の 事業計画書のいらない起業法』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています
銀行融資は「借金」ではない! 信用を作るためにお金を返す
さて、ここからは会社を大きくするために必要不可欠である、資金繰りについてのお話をしていきます。
資金繰りに関しては、まず銀行などの金融機関からお金を借りることをお勧めしています。
「借金は嫌だ!」という方もいらっしゃいますが、個人で借入をするのと会社で借入をするのとでは、大きく意味合いが違います。
個人で借入をする場合、多くはお金がなくて買えない物を買うための借入であり、お金を産みません。
例えば、ローンを組んで家や車を買う方は、よくいらっしゃると思います。どちらも、先に銀行などの金融機関に立て替えてもらい、長い年月をかけて返しながらその分の金利を払っていく、という考え方です。
その買い物は消費です。その借入をしたことによって、金銭的な利益が産まれることはなく、むしろ金利という、買った物の値段以上のお金を払う必要があるのです。
ただ、家を買うお金を貯めてから買おうと思ったら、何十年もかかるかもしれません。その間に住むところを借りる家賃を考えたら、お金を借りて買った方がいいと考え、住宅ローンを組まれる方が多いのだと思います。
その考え方が良いとか悪いとかいう話ではなく、個人の借入は基本的に消費になることが圧倒的に多いということです。
一方、会社での借入は、お金を産むためのものにすることができます。
これは借入の種類というよりも、使い方の話なのですが、会社の場合は運転資金や設備資金に充てる場合にも、金融機関はお金を貸してくれます。
運転資金とは、日々会社を運営する上でかかる費用のことです。創業時などの資金力が乏しいときに金融機関からお金を借りて、会社を運営するための資金にしたりします。
設備資金とは、新しく機材を導入するなど、さらに売上を上げるために、必要な物を買うときにかかる費用のことです。
例えば私は、創業した頃、運転資金として政策金融公庫から300万円ほどのお金を借りました。
政策金融公庫とは、国が100%出資する公的金融機関です。創業支援や中小企業の事業支援などを行っていて、創業時などでもお金を貸してくれやすい金融機関です。
私はその300万円をネットショップで販売する商品の仕入れに使いました。
当時の弊社では、ネットショップでの利益率は15%くらいだったと思います。
ネットショップは、商品を仕入れてそれを販売する訳ですから、仕入れないことには欠品して売れません。
仮に1,000万円の売上を上げようと思ったら、利益率15%だとすると、850万円の商品を先に仕入れる必要があります。
その資金を金融機関から借入して潤沢にすることで、今よりも利益が出しやすくなるのです。
最初に借りた300万円を仕入れに使って15%の利益を出したとすると、毎月45万円の利益が出る計算になります。
単純計算でそれが1年続けば、1年で540万円の利益が出るため、借りた金額は利益でまるまる返済できてしまうことになります。
もちろん、単純計算とは多少は変わってきますが、個人の消費のための借入とは違って、お金を産むための借入ができるのが会社だということです。
これは運転資金だけでなく設備資金で借りる場合も同じです。
私は昨年、会社で銀行から6,000万円の融資を受けて、2階建ての小さなビルを買いました。
このビルを賃貸に出しているのですが、家賃収入が毎月50万円ほどで、銀行への返済は35万円くらいです。
すると、その差額の15万円が利益となる訳です。
もちろん、修繕積立金などでお金を残しておく必要があるので、利益を全部使える訳ではありません。
しかし、自分のお金ではなく人から借りたお金でビルを買い、人に払ってもらった家賃で返済をして、借入金を完済したときには、ビルは自分のお金を使わずに手に入れたことになります。
会社での借入はお金を産む使い方ができるので、上場企業などの大手企業のほとんどは金融機関からお金を借りています。
日本のトップ企業であるトヨタ自動車はもちろん、ソフトバンクグループは日本一借入が多い企業としても有名です。
会社が大きくなる過程で資金繰りというのは非常に重要です。
私の会社でも現在は2億円以上の借入をしていますが、最初は300万円しか借りられませんでした。
ではなぜ300万円しか借りられなかったものが、今は2億円も借りられるようになったのかというと、金融機関の信用を積み重ねたからです。
金融機関の信用とは、当たり前のことですが、借りたお金を毎月ちゃんと返すということです。
したがって、創業したら、100万円でも良いので金融機関からお金を借りておきましょう。仮に資金の必要がなかったとしても、いずれ必要となる未来に向けて、信用を積み重ねておくのです。
必要もないのにお金を借りるのは、金利がかかるから嫌だと思う方もいるかもしれませんが、その払った金利以上の利益を産むための投資だと思ってください。
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