本記事は、野沢琢磨氏の著書『年商3億円稼ぐ高校中退社長の 事業計画書のいらない起業法』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています
年商3億円の経営者がやっていないと想像できる作業は人に任せる
事業を大きくしていこうと思ったら、1人では絶対に無理です。人の力を借りる必要があります。
それは、上場企業などの大手企業がたくさんの人を雇用していることからも、自明です。
とはいえ、会社を大きくするために人に任せようと思っても、何から人に任せて良いのかわからない方もいるかと思います。
人に任せるとはどういう考え方なのか、ということからお話ししていきますね。
まずは想像してみてください。あなたの会社は、もうすでに自分が将来なりたい事業規模の会社になっているとします。
そのときにあなたは、どんな仕事をしていると思いますか? 例えば、売上を上げるための営業を自分でやっていますか? 経理や請求書発行などの事務作業はやっていると思いますか? 社員やアルバイトの給与計算や振込は?
会社が大きくなったときにやっていないと思われることは、今から自分でやらずに人にやってもらうようにしましょう。
なぜかというと、会社が大きくなったときにやっていないことに自分の時間と労力を割いていたら、会社が大きくならないからです。
これは会社が大きくなったから自分の仕事が変わるのか、自分の仕事が変わるから会社が大きくなるのかという、鶏が先か卵が先かみたいな話に思えるかもしれません。
しかし、この答えは確実に、自分の仕事を変えるから会社が大きくなる、という順番で間違いないです。
例えば、自分1人で仕事をしていて、営業から事務作業まで全部自分でやっていたとします。1日に16時間働いて月の利益が50万円だったとして、何ヶ月も同じ状態が続いたときに、これ以上の利益を上げるには、どうしたら良いと思いますか?
働く時間を増やすにしても限界はありますし、今と同じことをやっていたら、同じ結果しか出ないのです。
それならば、自分の理想の状態になったときにやっていないことは、今からやらずに他の人にやってもらいましょう。
そうやって今の仕事との違いを作っていくからこそ、会社は大きくなっていくのです。
私は会社を作ってから一度も、自分で請求書を作ったことも、給与計算をしたことも、振込をしたこともありません。
それは、理想的な将来の会社の状態を考えたときに、自分がやっている仕事ではないと思ったからです。最初から人に依頼してやってもらっています。
事務作業は、アルバイトでも良いので事務員さんを1人雇えば良いですし、給与計算は社労士と契約してやってもらえば、自分の時間を空けることができます。
この自分の時間を空けるということが非常に重要で、時間が空けば肉体的にも思考的にも余裕ができます。余裕ができれば、さらに会社を成長させるために考えたり行動したりすることができるようになるのです。
人に仕事を依頼するということは、そこに費用が発生します。
しかし、そこにかけるお金をケチっていては、いつまでも事業規模は大きくならないのです。
利益が出たら最初にお金を使うべきは、自分の時間を増やすために人の力を借りる人件費です。自分が欲しいものを買ったり、美味しいものを食べたりして贅沢することではありません。
そうやって人の力を使うことができるようになると、事業が大きくなるスピードは1人でやっていたときの何倍も速くなり、自分の理想に近づいていきます。
自分じゃなくてもできる作業から人に任せて自分の時間を作る
どのような仕事から人に任せたら良いかというお話をしていきます。まずは自分にしかできない仕事と、自分じゃなくてもできる仕事に分別しましょう。
最初に少し私の例をお話しします。
ネットショップの仕事は、最初から1人ではなく、3人で始めました。
1人はネットショップなどの小売業を10年以上やっていて、販売のノウハウを持っている磯部、もう1人は元々アフィリエイトなどの仕事をやっていてパソコン作業に長けている西野、そして3人でやろうと言い出した、言い出しっぺの私です。
今はこの2人は弊社の役員ですが、最初は会社でもなく、2人を雇用するほどの資金もありませんでした。そこで私が最初に2人にした提案は、出た利益を3人で分けるというものでした。始めたときに使った資金は、商品の仕入れに使うお金50万円くらいだったと思います。
今でもそうですが、私はパソコンに向かって何かやるということが苦手です。
ずっとパソコンの前に座っていると、すぐに動きたくなってしまいます。
それなので、ノウハウを持っている磯部がパソコンスキルに長けている西野に教えて、西野が作業をするという形からスタートしました。
最初は、ショップの構築だけでなく、売れた商品の梱包、発送作業なども西野が1人でやっていました。
ネットショップの構築や販売する商品のリサーチ作業、梱包発送作業も、私はやったことがありません。
開始数ヶ月で順調に売上は伸びていき、月商が400万円くらいになったとき、西野1人では仕事が回らなくなりそうだったので、ここで1人雇いました。ショップ構築や梱包、発送などの西野と同じ仕事をやってもらいました。
その頃、売上もまだまだ伸びそうだったので法人化した方が良いと思い、会社を設立したのですが、会社を作ることも自分ではやらずに司法書士にお願いしました。
自分で会社の登記をした方が費用は安く上がりますが、その分、時間と労力がかかります。ですので、そこも人にやってもらいました。
会社ができたら、その次にやったのは税理士を探すことでした。個人事業や会社規模が小さいうちは、会社の経理や税務などを自分でやる方もいますが、これも自分ではなくてもできるので、最初から人にやってもらいました。
知り合いに税理士を紹介してもらったのですが、まだお金もあまりなかったので、利益が出たら2年目からは報酬を増やす約束で、1年目は安くしてもらいました。
会社を作ると、その次は銀行口座を作ったり、会計帳簿をつけたりする作業が増えます。そこで、事務作業をやってくれる人を雇用して、それらの作業や税理士とのやりとり、お金の振込などをやってもらいました。
次は、より売上を大きくするために仕入れを増やそうと考えました。その資金を借りるために税理士に銀行の融資担当者を紹介してもらい、融資のお願いをしました。
銀行に行ってお金を借りる交渉は、自分でやりました。なぜならば、銀行は社長に会わずにお金を貸してくれることはないからです。これは自分でないとできない仕事ですね。
このようにして、私は最初から、自分でなくてもできる仕事は人にやってもらうようにしていました。なので、最初は利益が出ても人件費がかさみ、会社設立初年度の私の役員報酬は毎月10万円と、非常に少ないものでした。
しかし、多くの人の力を借りることによって、スピード感を持って事業を成長させることができました。1年が経つ頃には月商1,500万円を超えて、1年目の決算では年商1億円を超えたのです。
経営の神様と言われた京セラ創業者の稲盛和夫さんが「組織はトップの器以上には大きくならない」ということを言われていましたが、本当にその通りだと思います。
会社は社長が決めた方向に進み、社長が決めたことで社内が変わっていくのです。
最初から全部の作業を人にやってもらうというのは難しいかもしれません。しかし、最初は自分でやったとしても、どのタイミングで人にやってもらうかは考えておいた方が良いと思います。そうしないと、事業が大きくなるにつれて自分の仕事が増えて、時間がなくなるからです。
経営者自身が目の前の作業に追われていると、この先何をやっていくかを考えたり、新しいことを生み出したりする時間が作れなくなります。
私の場合は、自分が空いている時間で人に会ったり情報収集をしたりして、新たなことを生み出す時間に使うことが多いです。
また、自分の得意なことに時間を使うタイプの方もいます。
私が昔からお世話になっている先輩の経営者は、普段、年間120回くらいゴルフに行き、夜はほぼ毎日、経営者仲間とお酒を飲みに繁華街に繰り出しています。
それは、ただ単に遊び歩いているのではなく、多くの人と会ってコミュニケーションを取ることで、仕事をもらってきているのです。
つまりは営業活動です。驚くことに、この先輩の経営する会社には、営業社員がいません。社長1人で新規の仕事を取ってきて、それをスタッフが作業して納品するという構図です。
この方は、経営者の仕事である意思決定の仕事はもちろん、それ以外に自分の得意な営業をやっているということですね。
ちなみに、私も人と会う機会が多いので、意図的に営業している訳ではないですが、自分で仕事をもらってくることもあります。去年はネットショップコンサルの仕事を9件ほどご契約いただきました。この契約件数は社内で一番多かったです。
※画像をクリックするとAmazonに飛びます