本記事は、野沢琢磨氏の著書『年商3億円稼ぐ高校中退社長の 事業計画書のいらない起業法』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

年商3億の会社1つより、1億の事業3つの方がメリットが大きい

メリット
(画像=Dzmitry/stock.adobe.com)

さて、ここからは事業を複数化して、より広げていくためのお話をしていきます。まず前提として、1つの事業で3億円の売上を上げるよりも、1億円の売上の事業を3つ作る方が簡単だということです。

例えば、10人の組織を管理するのと30人の組織を管理するのだったら、どっちが簡単だと思いますか?

もちろん人数が少ない10人の方が全体に目が行き渡りますし、簡単ですよね?

売上を上げるのも同じです。

売上が多くなれば基本的には人数が多くなりますし、管理も複雑になりますので、最初は少人数の組織を作る方が簡単です。

事業を複数作る場合は、会社も複数に分けた方が良いでしょう。

なぜならば、1つの会社で大きな利益を出すよりも、法人を複数に分けた方が税金的にもメリットがあるからです。

仮に1つの会社で2,400万円の利益が出たとすると、法人税率が491.2万円かかります。

しかし、800万円の利益の会社が3つだった場合、1社につき120万円の税金になるので、合計で360万円になります。その差額は131.2万円ですね。

これは、法人税が資本金1億円以下の中小企業の場合、利益800万円までは15%で、800万円を超えた分は23.2%と定められているからです。

これ以外にも、法人事業税も各都道府県によって、利益が少ない会社は軽減税率が適用されるので、ご自身のお住まいの都道府県のものを調べてみてくださいね。

他にも税制上のメリットは多く、例えば接待交際費を多く使うことができる、少額減価償却資産の特例を使うことができる、などが挙げられます。

中小企業の交際費は年間800万円までと決められていて、それ以上の金額は経費にできません。しかし、これも会社が複数あれば、800万円×会社の数だけ使えます。

交際費とは、取引先との会食や接待、お土産や贈り物などの贈答品にかかる費用のことです。

少額減価償却資産の特例も同じです。

通常、機械や備品などの固定資産は取得した年度に全て経費計上できる訳ではなく、法定の対応年数によって毎年減価償却していきます。

しかし、年間合計300万円までは取得金額30万円未満の物については、その年度に全額、経費計上することが可能です。

これも会社が複数あれば300万円×会社の数だけ使えますね。

パソコンや携帯電話などの機械類はもちろん、中古車であっても車両価格が30万円以内であれば使うことができます。

他にも最大2年間は消費税免税など、挙げたらキリがないくらいのメリットがあるのですが、もちろんデメリットもあります。

それは、経理などの事務作業や社会保険の手続きなども、会社の数だけ必要になることです。そのために人を増やす必要があり、人件費は増加します。当然、税理士や社労士などへ払う報酬も増加します。

このようなメリットとデメリットを踏まえた上で、私は、同じ事業で2つの会社に分けるというようなことはお勧めしません。

しかし、事業内容が分かれている場合には、会社も分けた方がメリットは大きいです。

実際に私は現在4つの会社を経営していますが、先ほどお話ししたような税制的なメリットはまだ、そこまで大きくありません。税制的なメリットが大きくなってくるのは、もっと会社が成長していくこれから先のことでしょう。

しかし、人員的なメリットは大きく感じています。

あなただったら、大きな会社の1つの部門を任されているのと、会社の事業の根幹を任されているのでは、どちらが責任感を持って仕事をしますか?

多くの人は後者ではないでしょうか?

弊社では、基本的に1つの事業が1つの会社になっています。

そうすると、実質的に、その事業の責任者=その会社の責任者となります。

もちろん、実際の会社の責任者は社長である私ですが、私が複数のことをやっているのはみんなわかっているので、自分が責任者である自覚を持って仕事に取り組んでくれるのです。

昔から「立場が人を作る」という言葉がありますが、まさにその通りだと思います。会社を大きくしていくにあたり、人の成長は重要だと思っていますが、会社を分けることで、より成長を促すことができると感じています。

事業を複数化することでリスク分散ができる

事業を分けることでリスクを分散できるとはどういうことか、ご説明します。

どんな事業であっても、創業から毎年、右肩上がりに売上が伸び続けて利益が出続ける。そんなことが実現すれば理想的ですし、もっとも望ましいと思います。

しかし現実には、1つの業種で利益を出し続けるというのは難しいことです。どんな大手企業でも赤字になる年もあります。

なかにはニトリホールディングスのように35期連続で増収増益なんて会社もありますが、そんな会社はごく稀であり、なかなかそうはならないでしょう。

したがって、事業を複数持つメリットは、1つの業種の業績が悪くなったとしても、他の事業で補えることにあります。

大手の上場企業などは、1つの業態ではなく複数の事業を持っている会社がたくさんあります。

例えば、トヨタ自動車は、主な事業は自動車関連ですが、子会社にトヨタホームという住宅関連の企業や、東和不動産という不動産関連の会社を持っています。

その他にも、楽天は楽天市場というECモールを主な事業として始めた会社ですが、途中から楽天銀行や楽天証券、楽天カードなどの金融事業にも進出して、今ではECと金融の2つが事業の大きな柱となっています。

それ以外にも、複数の業態で利益を出している会社はたくさんあります。

最初から複数同時に始めるというのは難しいと思いますが、1つの事業が軌道に乗ってきたら、2つ目、3つ目と広げるイメージを持ちながら、進めていくのが良いでしょう。

私も最初はネットショップの事業から始めましたが、2つ目に始めたのは障害者就労の事業でした。

障害者就労の事業を始めた理由は、ネットショップの事業との相性がよかったからです。

ネットショップで売れた商品を梱包して、発送するという業務があるのですが、これを障害者雇用で行うことで、収益を生み出せるのです。

それまでは梱包、発送の業務は、アルバイトを雇って行っていました。アルバイトを雇うということは、人件費が発生します。人件費が発生するということは、その工程だけで考えたら利益はマイナスになる訳です。

しかしその工程を許認可の障害者就労施設で行うことで、元々はマイナスだった物を利益に変えることができる訳です。

私のこの例は、2つ目の事業を作った過程としてはとても理想的で、1つ目の事業から派生して2つ目の事業ができたということです。

さらに、その次は、障害者就労施設向けに、施設でネットショップを運営するというビジネスモデルのコンサルティングを始めました。

障害者就労施設を運営している会社は、多くが仕事を外注で受けており、自社で仕事を持っていないために売上が安定しません。そういう施設向けに、ネットショップを開業し、自社で仕事を作ることを教えるというものです。

そして、それぞれの事業が単体でも運営ができるような状態を作っておくことで、1つの事業の業績が悪化し、立て直すのに時間とお金がかかるときでも、他の事業の収益で補うことができます。

万が一どれかの事業の運営が難しくなったとしても、最悪のリスクである会社の倒産を免れて、事業を継続することができます。

実際に私も、コロナが流行り始めて最初の緊急事態宣言が出た頃は、障害者就労では新しく働きにくる人が増えず、売上が伸び悩みました。

しかし、ネットショップ事業の売上がバブル的に伸びたため、それを補完することができました。

また、ネットショップの売上が伸び悩んだときは、コンサル事業で補ったりしたこともありました。

年商3億円稼ぐ高校中退社長の 事業計画書のいらない起業法
野沢琢磨(のざわ・たくま)
NOZAWAグループホールディングス株式会社代表取締役。シリアルアントレプレナー(連続起業家)。1979年生。新潟県柏崎市出身。高校中退後、さまざまなアルバイトを経験。21歳で年収1,000万円を達成するも、若さゆえの失敗が重なり、1,000万円もの借金を抱えることになる。25歳頃から少しずつ始めていた株、投資信託や先物取引などの投資がある程度成功を収め、資産が1,000万円ほどになったが、その一方で、FX系投資ファンドにて500万円以上の損失も経験。27歳で海外移住サポートの仕事につく。32歳で会社を退職し独立。その後、中国上海での飲食事業などを皮切りに自分自身のビジネスを開始。思いついたら次々に事業を立ち上げる、いわゆる“シリアルアントレプレナー(連続起業家)”としての才能に目覚め快進撃が始まる。起業から3年の現在、年商3億円を超え、3社の会社の代表を務め、従業員数は40名以上。手がけている事業は、飲食店、小売業、ネットビジネスコンサルティング業、障害者福祉事業、商品開発企画製造業等。複数の事業を立ち上げグループ企業運営を行っている。最近は自社ビルも購入。

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