それでも廃業を選ぶときのポイントは?大きなリスクへの対策

廃業以外の選択肢がない場合は、事前にリスク対策をしておく必要がある。ここからは、廃業で想定される主なリスクと対策を解説する。

就職先を斡旋して従業員の生活を守る

従業員をないがしろにすると、法的トラブルや経営者個人の悪評につながるリスクがある。この状態では新たなチャレンジが難しくなるので、従業員の生活を守るためのプランが必要だ。

具体策としては、転職先のあっせんが挙げられる。また、転職活動には労力やコストがかかるため、廃業前に活動できる時間を与えたり、十分な退職金を支払ったりといった配慮も考えたい。

事務手続きや賃金の支払いはとにかく迅速に

廃業時には、多くの従業員が不安を抱えることが想定される。特に事務手続きや賃金支給の遅れはトラブルになりやすいため、迅速な作業を心がけたい。

賃金や退職金の資金がない場合は、「未払賃金立替制度」の利用もひとつの手だ。労働基準監督署などの窓口で申請すると、未払い賃金の一部を国に立て替えてもらえる。

情報やノウハウの漏えい対策を徹底する

廃業後に再チャレンジを目指す場合は、情報やノウハウの漏えいにも注意したい。例えば、これまでの経営で培った技術が漏えいすると、競合他社が力をつけることになるため、再チャレンジの成功率が下がってしまう。

情報・ノウハウの漏えい対策としては、以下のような方法が有効だ。

○情報・ノウハウの漏えい対策
・機密情報を普段から厳重に保管する
・アクセスできる範囲に制限をかける
・入退室やパソコンの使用履歴をデータ化する
・従業員に秘密保持誓約書を提出させる
・従業員と競合避止義務契約を締結する

上記のほか、漏えいが発覚したときに内容証明郵便を出すなど、被害を食い止める対策も重要になる。情報・ノウハウはどこから流出するのか分からないため、あらゆるケースを想定して万全の対策を考えておこう。

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前向きな廃業は再チャレンジにつながる

周囲に遺恨がなく、経営者個人の活動に制限がかからない形であれば、廃業は前向きな選択肢になり得る。手元に資金がある状態なら、短期間で新しいビジネスを始めることもできるだろう。

ただし、経営が悪化した中小企業は多くの債務を抱えやすいため、経営者の個人保証には注意が必要である。個人保証がある状態で返済が滞ると、個人情報がブラックリスト(信用情報)や官報に掲載されるため、再チャレンジが難しくなってしまう。

そのため、債務を残した状態で廃業する場合は、国の「経営者保証に関するガイドライン」を活用しながら整理することが重要だ。個人破産を防ぐためにも、正しい知識やルール、流れを理解した上で、廃業に向けた準備を進めよう。

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