小さい会社が人材採用のために必要なアピールすべき情報

小さい会社の採用が難しい大きな理由が、「人から知られていない」「就職・転職することにリスクを感じられている」という点である。

具体的な採用活動を行う前に、これらの課題を払拭する必要があり、そのためには自社についての情報を求職者に伝えることが欠かせない。ここでは、人材採用に必要なアピールすべき情報をいくつか紹介する。

経営者についての情報

小さい会社が必ずアピールしなければならないのは、経営者についての情報だ。

企業規模が小さいほど経営者と社員の距離は近くなるため、求職者側は「この経営者と働きたい」と思わない限り、求人に応募してくることはないだろう。

経営者の情報については、経歴だけでなく人柄や会社への想い、社員とどう関わっているかなど、「経営者の人となり」がイメージできるような情報が必要だ。

自社事業の目標や今後の展望

自社事業の数値目標や今後の展望など、会社の歴史や現状だけでなく、将来的な目標を共有することも欠かせない。求職者は、会社の具体的な未来が見えないと自分が働く姿を想像できないため、応募につなげることは難しいだろう。

事業目標に限らず、それに伴う社員の雇用数の目標や人材育成計画など、経営者の理想でもいいので、まず発信することが肝要だ。

自社で働くことのメリットやデメリット

大企業や中堅企業にはない、自社のメリットやデメリットも発信する必要がある。

近畿経済産業局の調べによると、就職活動を行う学生が中小企業に持つ魅力には「雰囲気がよさそう」「自分の能力や強みが発揮できそう」「人間関係がよさそう」などが上位に入っている。

近畿掲載産業局『学生に響く中小企業の魅力発信』
引用:近畿掲載産業局『学生に響く中小企業の魅力発信』P.2

これらの魅力が自社にあるのかを振り返った上で、仕事内容や職場の雰囲気はもちろん、独自の福利厚生や育成の制度などをアピールすることが大切だ。

自社のデメリットはそのまま伝えて終わるのではなく、それ故に得られるメリットも示すことを忘れてはいけない。

「人数が少ないので業務負荷がかかる」ならば、「その分だけスキルアップできる」「人数が少ないからこそ迅速にサポートを受けられる」などのメリットも伝えよう。もちろん、メリットが嘘にならないように注意が必要だ。

社員が感じているやりがいや楽しさ

経営者側から見たメリットだけでなく、実際に働いている社員が感じている仕事のやりがいや自社で働く楽しさもアピールできると、求職者の興味や関心を引きやすいだろう。

従業員満足度調査の一環として社員の声を集めれば、裁量権の高さや売上への直接的貢献度の実感、家族的な雰囲気など、さまざまなやりがいや楽しさにつながっている言葉が出てくるかもしれない。

自社で描けるキャリアパスについて

自社に入社することでどのような「キャリアパス(蓄積できる経験や昇進のルートなど)」が描けるかを示すと、求職者は就職や転職した後の将来的な展望を描きやすい。

自社で生き生きと働いて成果を出している社員のこれまでの行動事例(ロールモデル)を、入社から現在に至るまでの役職や担当業務の推移などと共に伝えるとイメージしやすいだろう。

創業して間もない会社ではロールモデルの提示は難しいかもしれないが、想定される昇進や昇級のスピードや習得できる経験、スキルなどは開示すべきだ。