廃業を回避するための4つの方法

ここでは、廃業を回避するための方法として4つ紹介する。

1.後継者探しを成功させるための選択肢は?

経営者としての資質があると思える親族や従業員がいなければ、後継者探しは簡単なことではないだろう。そのような場合は、国が47都道府県に設置している事業承継・引継ぎ支援センターの利用を検討してみるのも一つの方法だ。

同センターは「後継者人材バンク」を運営しており、後継者になりたいと考えている起業家と後継者を探している中小企業の求めに応じて適任者をマッチングしている。

公的機関である同センターへの相談は無料で、地域の行政機関や商工団体、金融機関などが連携して中小企業の事業承継を支援しているのも強みだ。同バンクに登録した後継希望者は累計5,617者を数え、2021年までに187件が成約にこぎつけている。

後継者人材バンクで適任者が見つからない場合も、すぐに諦める必要はない。民間の後継者求人マッチングサイトを利用すれば、専用のサイトで全国から後継者を募集できる。希望する条件をあらかじめ設定し、条件に見合う後継者を選べるサイトも充実している。

2.利益率を高めるための選択肢は?

もちろん、優秀な後継者に出会いたいと希望するなら、自社の事業を「ぜひ引き継ぎたい」と思ってもらえるように魅力を高めておく観点も不可欠だ。自社が直面する課題を洗い出し、将来に向けて必要な施策を実行しなければならない。

とりわけ、地方の中小企業にとって深刻な問題は、歯止めの掛からない人口減少が人手不足とマーケットの縮小に直結するということだろう。

これらの問題への対処を怠れば、大都市との経済格差が顕著な地方でこそ大きな効果を期待できるデジタルトランスフォーメーション(DX)などへの適応が遅れ、事業の収益性がますます低下するという悪循環に陥りかねない。

3.事業再構築、新規事業模索も効果的

中小企業が限られた経営資源を生かして利益率を高めるためには、独自の技術やサービスが持つ優位性を発揮できる事業にフォーカスしなければならない。場合によっては、事業を再構築したり新規事業を模索したりして、既存事業への販路の活用などにも役立てるべきだ。

2022年版中小企業白書によると、コロナ禍の中で事業を再構築した企業の34.9%は「すでに効果が出始めている」と答えた。「効果が出る見込み」を合わせると、96.0%が一定の手応えを実感している。

さらに、事業再構築による売り上げ面以外の効果についても、38.5%が「既存事業とのシナジー効果」を挙げた。「従業員の意欲・能力向上」(26.7%)、「技術力・製品開発力の向上」(22.5%)にも波及していることが分かる。

4.M&Aという選択肢を真剣に考えるのもあり

後継者が身近にいない場合は、M&A(企業買収)を真剣に検討してみるのも良いだろう。M&Aと聞くと大企業のプロジェクトというイメージがあるかもしれないが、近年は中小企業でも盛んに取り入れられている。

中小企業庁によると、国内の中小企業M&Aの実施件数は右肩上がりだ。2021年度の件数は事業承継・引継ぎ支援センターが1,514件、中小M&A仲介大手5社の合計は899件に上った。

中小企業庁「中小M&A推進計画」の主な取組状況~補足資料~
出典:中小企業庁「中小M&A推進計画」の主な取組状況~補足資料~

中小企業庁も補助金や税制優遇などを通し、第三者への円滑な事業承継を支援している。2022年度は、第三者承継を契機とした事業の再編や統合などを助ける事業承継、引継ぎ補助金の対象を年4回にわたり公募した。最大600万円の経費を国が支援する同補助金は、2023年度当初予算にも計上される見通しだ。

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