長引く新型コロナウイルス禍も徐々に正常化の兆しを見せ始め、企業活動も活発化してきている。景気回復というと、基本的には東京をはじめとした都市部にある大企業が先に実感し、追って地方の中小企業に波及しがちだ。地方企業はこの時間差を利用して、次なる反転攻勢に向けて社内外の態勢を整えておきたい。
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地方企業が抱えている課題
地方へ波及するのに時間差があるのは、都市部は企業活動が盛んになる条件がそろっているからだ。それでは都市部と地方では何が異なるのか。
1つには、企業の大きさや数、マーケット規模が圧倒的に違う。例えば、上場企業のうち4社に3社は東京都と大阪府、神奈川県、愛知県、埼玉県の5都府県に本店を置いている。一般論として、企業規模が大きかったり、数が多かったり、マーケットが大きかったりすると、その分ビジネスチャンスは多くなる。
また、地方では人材の採用も難しい。地方では特に若者の人口が少ないために採用候補者の母数が形成しにくく、思うように優秀な人材を集められないことも多い。国立大学は全国各地に配置されているが、特に優秀な学校は都市部にある。私立大学はその流れがより顕著だ。
このように、地方企業は市場環境や人材面などに起因し、大都市部の企業と比べて収益力が劣ることも少なくない。これは地方でビジネスを展開する上で、ある程度は仕方のないことだ。
収益力を高めるために必要な視点
自社の収益力を高める方法はさまざまあるものの、大きく分けて2つの視点が必要である。第一に、既存の製品やサービスを「売る相手を増やす」「売る層を広げる」というものだ。
これは自社が提供する製品やサービスは従来から変わっていないにもかかわらず、売り方やPRの方法を工夫することで新たな顧客を獲得し、売上や利益を増やす方法である。もちろん、労力やコストはそれなりにかかるが、次に紹介する方法と比べれば手軽と言える。
次に、もっと本格的で規模の大きな方法は、新たな事業を展開することだ。こちらは具体的にどんな方法をとるかによって、必要な時間やコストが大きく異なる。
例えば、新製品の研究開発には数年の期間を要することもある。場合によっては新たに人材を採用し、育成しなければならないかもしれない。また、新サービスに乗り出すなら、企画するだけでなく、事前の準備やテストマーケティング、広報などさまざまなフローを経て実現に向かうことになる。
以下で、これらについて、より具体的に紹介する。