本記事は、塚本亮氏の著書『努力が「報われる人」と「報われない人」の習慣』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。
努力が報われる人はまず聞き、報われない人はまず話す。
上司や取引先などは、あなたに何を期待して仕事を依頼したのか。
それを理解する努力は、いい仕事をする上で欠かせません。そうでないと思い込みで仕事を進めてしまう可能性が高くなり、相手の期待にこたえることが難しくなるからです。
ドラッカーは『創造する経営者』(ダイヤモンド社)で「顧客と市場を知っているのはただひとり、顧客本人である」と言っています。相手が何を求めているのかは相手しか知らないということではないでしょうか。
相手の要望や意向を的確に理解して段取りを組む。
そうしないと、段取りの方向性がズレてしまっては相手のニーズを満たせません。
だから、仕事での努力が報われる人は、聞き上手なのです。
相手の話をしっかりと聞き、的確な質問をしながら、相手が抱えている課題を見付けていきます。課題が明確になるからソリューションを提供できるようになります。
一方で、努力が報われない人は、打ち合わせなどでも自分が話すことばかりに意識がいってしまって、相手が何を求めているのかを聞き出すチャンスを失いがちです。
それで自分なりに解釈して、がむしゃらに努力しても成果にはつながりません。
実は私自身も、かつては聞くことの大切さを理解していませんでした。
話し方や伝え方の本は、たくさん買っていました。もちろん話し方や伝え方も仕事においてはとても大切なスキルなのですが、だからと言って自分の話ばかりをすればうまくいくかとそうではありませんよね。
あまり上達の実感が湧かず話し方教室に通ったのですが、そこで出合ったのが「聞き方」でした。会話が上手な人は聞き方がうまいというのです。目から鱗でしたね。
相手の話をしっかりと聞いて相手が何を求めているかを理解する。
そして、相手が抱いている問題に対して解決案を伝える。この順番が大事です。
あなたが何かを伝えようとしている途中で
「あぁ、知ってますよ。以前私もね……」
「これってアレのことですよね」
と口を挟まれたり、話を途中で奪って自分のものにされたりすると、(もういいか……)と伝えるのを途中であきらめてしまいませんか。
もうこの時点でその人は自分の勝手な解釈で、あなたのことを理解した〝つもり〞になってしまっているんです。本当にあなたが伝えたいことを理解できていないのに。またあなたを不快な気分にしていることに気付きもせずに。
一方、聞き上手になると、相手は徐々に心を開き、一歩踏み込んだ話もしてくれるようになります。いくらビジネスの場とはいえ、みんなそれ以前にひとりの人間ですから、「この人はちゃんと話を聞いてくれる」と感じたいものです。
相手がどういう意図や気持ちを持って話しているのかを理解し、共感する。
相手の話をさえぎらず、話し終わってから、
「なぜ〇〇されているのですか」
「一番改善したいポイントはどこでしょうか」
などと、適切な質問を投げかける。そうすると相手からも信頼されやすくなります。
話を聞くことがうまくなると、初めて会う人とでも仕事を超えた話ができるようになったりと、いい関係をつくれるようになります。
いい関係づくりができると、ちょっとした疑問も質問しやすくなる。
相手もあなたに遠慮せずに要望を伝えやすくもなります。
相手の話を聞くから、これからするべきことやその仕事の方向性が明確になり、いい関係を築けるから細部もきちんと詰めていけます。
相手のニーズからズレたところでがんばっていませんか。
「そうじゃなくてこうしてほしいんだけど」と相手が伝えてくれるならば方向性を修正できますが、(それズレてるんだよなぁ……)と思いながらも(面倒だし言わなくてもいいか……)と相手があきらめてしまっていたとしたら……
しっかりと相手の話を聞き、相手の要望やニーズを聞き出せる関係を築きましょう。
偏差値30台、退学寸前の問題児から一念発起して、同志社大学経済学部に現役合格。その後ケンブリッジ大学で心理学を学び、帰国後、京都でグローバルリーダー育成を専門とした「ジーエルアカデミア」を設立。心理学に基づいた指導法が注目され、国内外の教育機関などから指導依頼が殺到。これまでのべ6,000人に対して、世界に通用する人材の育成・指導、IELTSやTOEICの指導を行い、多くの受講生がケンブリッジ大学やロンドン大学などの世界トップ大学への合格を果たす。また、外資系や上場企業でビジネス英語研修を行い、資格試験からビジネス英語まで幅広く英語を指導している。
『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』(旺文社)の監修をはじめ、『「すぐやる人」と「やれない人」の習慣』(明日香出版社)、『ネイティブなら12歳までに覚える 80パターンで英語が止まらない!』(高橋書店)、『世界のエリートを唸らせる 話すビジネス英語』『解くだけで思いのままに英語が話せる! ~ゼッタイ覚えたい英会話フレーズ100』(三修社)など著書累計100万部を突破。※画像をクリックするとAmazonに飛びます