本記事は、塚本亮氏の著書『努力が「報われる人」と「報われない人」の習慣』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

100点
(画像=yoshikatsu/stock.adobe.com)

努力が報われる人は70点でいいやと考え、報われない人は100点満点を目指す。

あなたは100点満点が好きでしょうか。

私は大好きです。

でも、完璧を目指そうとして、自分を追い込むのはイヤです。

自分に求める基準を高くし過ぎて自分を苦しめることに、意味はありませんから。

たとえば勉強。70点を取るための戦略と、100点取るための戦略は違います。

70点でいいのなら、点数UPを考えつつも、どこを捨てるかを考える余地があります。

でも、100点満点を取るのならば、捨てる余地がありません。稀に出るような問題もしっかりと勉強しておかないと落としてしまうので、抜かりない準備が必要となります。

完璧主義の人は自分に高い目標を課す一方で、間違いを過剰に恐れます。完璧ではない自分を低く評価して、絶えず強いストレスにさらされるのでメンタルを崩しがちです。

人間は誰しも完璧にはなれません。

人間は失敗をする生き物であり、またその失敗から学ぶことで成長できます。

でも完璧主義であると、失敗を避けようとしたり、失敗を認めなくなったり、勝ちゲームしか挑まなくなったりします。そして結果的に、失敗から学ぶ機会が得られなくなってしまうのです。

アメリカの心理学者スティーブン・ベルグラスとエドワード・ジョーンズによって提唱された「セルフ・ハンディキャッピング」という言葉があります。

「忙しいから落ち着くまでは無理」だとか「最近体調が悪くて」などと、やらない理由を探す。目標の達成に努力するのでなく、「自我防衛」に懸命になっているわけですね。

完璧を目指そうとがんばってしまうと、こういった心理が強く働くようになります。

英単語を覚えるとしましょう。

がんばり屋さんはひとつの単語の和訳をすべて完璧に覚えようとしがちです。たとえば、monstrous。形を見ればモンスター(monster)に似ていますよね。辞書を引けば、「異常に大きい、非常に醜い、恐ろしい、途方もない」のような和訳がヒットします。いかにもモンスターっぽいですよね。

単語は単体で使われることはなくて文中で他の単語との組み合わせで使われるので、だいたいのイメージをつかんでおけば、実は和訳を細々とすべて覚える必要はありません。

monstrous crimeであればcrimeは犯罪という意味ですから「モンスターみたいな犯罪」といえば恐ろしい犯罪と解釈できます。monstrous iceberg のicebergは氷山という意味なので「(モンスターみたいに)巨大な氷山」となります。monstrous lieのlieはウソですから、誰も「かわいいウソ」だとは思いませんよね。「とんでもないウソ」というイメージは持てると思います。

つまり、すべての意味を完全に覚える必要なんてないのに、がんばり屋さんは覚えようとしてしまいます。そしてひとつの単語にこだわり過ぎて学習が進まないのです。

こういう人が行き詰まっているとき、

「言葉は文脈で意味が変わるものだから、70%くらいで『こんなイメージ』というのを持っておけばいいですよ」
と伝えることにしています。

日々のスケジュールだってそうです。

今日はアレをしよう、これをしようとしっかりとした計画を立てたところで、突発的なことが起こって、たいてい思うようにはいきません。

Facebook(メタ)最高執行責任者であったシェリル・サンドバーグは、「なにもかもすべてやろうとしたり、すべてが正しく行われることを期待していたりすると、いつか失望する羽目になります、完璧主義は敵です」と言いましたが、まさにそうですよね。

完璧であることへの期待感が失望を生み出すのならば、最初から100点なんか手放してしまえばいい。

「本当に100点を目指さないといけないのか」と自分の胸に問いかけてみましょう。

誰だって完璧だと気分がいいもの。でも、人命に関わること以外のほとんどの場合は、100点である必要はないはずです。

上手に手放しましょう。

努力が「報われる人」と「報われない人」の習慣
塚本 亮(つかもと・りょう)
1984年京都生まれ。同志社大学卒業後、ケンブリッジ大学大学院修士課程修了(専攻は心理学)。
偏差値30台、退学寸前の問題児から一念発起して、同志社大学経済学部に現役合格。その後ケンブリッジ大学で心理学を学び、帰国後、京都でグローバルリーダー育成を専門とした「ジーエルアカデミア」を設立。心理学に基づいた指導法が注目され、国内外の教育機関などから指導依頼が殺到。これまでのべ6,000人に対して、世界に通用する人材の育成・指導、IELTSやTOEICの指導を行い、多くの受講生がケンブリッジ大学やロンドン大学などの世界トップ大学への合格を果たす。また、外資系や上場企業でビジネス英語研修を行い、資格試験からビジネス英語まで幅広く英語を指導している。
『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』(旺文社)の監修をはじめ、『「すぐやる人」と「やれない人」の習慣』(明日香出版社)、『ネイティブなら12歳までに覚える 80パターンで英語が止まらない!』(高橋書店)、『世界のエリートを唸らせる 話すビジネス英語』『解くだけで思いのままに英語が話せる! ~ゼッタイ覚えたい英会話フレーズ100』(三修社)など著書累計100万部を突破。

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