本記事は、塚本亮氏の著書『努力が「報われる人」と「報われない人」の習慣』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

正論
(画像=BBuilder/stock.adobe.com)

努力が報われる人は相手の気持ちを聞き、報われない人は正論を振りかざす。

「どう考えてもAよりBの方が絶対にいい」

「そんなことを考えるなんて一体どういうこと?」

「どう考えても君は間違えているだろう」

他人を説得しようと一生懸命働きかけをしてみるものの、相手が考えを変えてくれない。相手がうんと言ってくれないということをあなたも経験したことがありますよね。

なんでわかってくれないんだ!とストレスを感じてしまいます。

努力が報われる人は「正論で人は動かない」ことを知っています。だから、闇雲に正論を振りかざすようなことをしません。

ムダな努力であることをわかっているのです。

結局のところ、正論で相手を追い詰め、ねじ伏せたとして、相手は嫌々それに従うかもしれませんが納得しているとは到底思えませんよね。

むしろ心理的に追い詰められているわけですから、追い詰めた人に対して反発すら覚えるでしょう。最近ではロジハラ、つまりロジカルハラスメントという言葉も耳にするようになりました。正論を振りかざして相手を心理的に追い詰めるのは、セクハラやパワハラと同じく、ハラスメントのひとつとして問題視されています。

私たちは日々理性を働かせ、論理的に考えて生きているように思いますが、実は感情を優先していることって結構あります。

たとえば、帰宅したら勉強しようと思っていても、昼間に嫌なことがあって、そんな気分になれない。

夕飯をつくらなきゃいけないのはわかっているけど、今日だけはやりたくない。

駅から家までの道のり、節約しようと決めていたのに、今日は仕事をいつも以上にがんばったし雨が降ってきたから今日くらいタクシーに乗ってもいいでしょ、となる。

そういう、論理と感情の間で思いが揺れたとき、感情が上回ることが多いものです。

だから、人に動いてもらおうと思ったら、正しいだけではダメ。

「頭ではわかっているけど心が納得しない」ということはたくさんあるでしょう。

「なんでこんなことしたんだ。誰がどう考えてもこんなことするなんておかしいだろ!」などと言われると、論理的に考えたら確かにそうかもしれないけど、心がザラザラして、(この人、私の気持ちなんて全然わかってくれてない。聞こうともしてくれない)とむしろ反発心を覚えるもの。

私もかつては、「これはこうしないとダメだよ」「それは間違ってますよ。なぜなら……」と相手の間違いやミスを厳しく指摘し、正論でもって相手の行動変容を促そうとしていました。

でも「言われていることが正しいんだろうなとはわかるんですが……」という反応を示す人が少なくなかったのです。

自分自身を振り返り、正論では人の心はつかめないと理解しました。

人を動かすには、正論を振りかざすよりも、相手の話に耳を傾けることが大事。

目に見えている事象について正しいとか間違っているということを考えるのではなくて、「なぜそうなったのか」「どういう考えでそうしたのか」に目を向ける。

そこを聞き出した上で、どうすれば良くなるのか一緒に考えることが大事なのだと。

こうした努力が、相手と長期的な信頼関係を築くことにつながります。

信頼関係がないと、こちらの話を聞こうとしてくれません。

まずは自分が相手の話を聞く。

そして正論を振りかざすよりも相手の心の声にも耳を向ける。

感情に耳を傾ける。

そもそも、そのコミュニケーションの目的とは一体何でしょうか。

もし相手を打ち負かすことならば、正論を振りかざすことに終始すればいいでしょう。

でも、もしそれが、チームのメンバーの努力をいい方向に向けてチームとしてより良い成果を出したい、相手とこれからより良い関係性を築いていきたい、ということであれば、話は別。

目の前で起こっていることにあぁだこうだ言うのではなく、なぜそうなっているのかに一緒に目を向けて、一緒に解決することに努力の矛先を向けたいものですね。

努力が「報われる人」と「報われない人」の習慣
塚本 亮(つかもと・りょう)
1984年京都生まれ。同志社大学卒業後、ケンブリッジ大学大学院修士課程修了(専攻は心理学)。
偏差値30台、退学寸前の問題児から一念発起して、同志社大学経済学部に現役合格。その後ケンブリッジ大学で心理学を学び、帰国後、京都でグローバルリーダー育成を専門とした「ジーエルアカデミア」を設立。心理学に基づいた指導法が注目され、国内外の教育機関などから指導依頼が殺到。これまでのべ6,000人に対して、世界に通用する人材の育成・指導、IELTSやTOEICの指導を行い、多くの受講生がケンブリッジ大学やロンドン大学などの世界トップ大学への合格を果たす。また、外資系や上場企業でビジネス英語研修を行い、資格試験からビジネス英語まで幅広く英語を指導している。
『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』(旺文社)の監修をはじめ、『「すぐやる人」と「やれない人」の習慣』(明日香出版社)、『ネイティブなら12歳までに覚える 80パターンで英語が止まらない!』(高橋書店)、『世界のエリートを唸らせる 話すビジネス英語』『解くだけで思いのままに英語が話せる! ~ゼッタイ覚えたい英会話フレーズ100』(三修社)など著書累計100万部を突破。

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