本記事は、塚本亮氏の著書『努力が「報われる人」と「報われない人」の習慣』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

木製のブロックと木製の人形が階段を上って、人形が立ってビジネスの成功のコンセプト
(画像=ArLawKa/stock.adobe.com)

努力が報われる人はマネを厭わず、報われない人は自分らしさを追い求める。

私は大学やその他の教育機関で英語を教えています。

英語で表現するのに、よく「これがお手本です。ぜひ徹底してパクってくださいね。特にこういうところはそのまま使えばそれでいいです」と伝えています。

でも、面白いことにパクってはいけないと思っている人がめちゃくちゃ多いのです。

それ以上に問題なのは、お手本をしっかり見てマネして取り組んでくださいと伝えてあるのに、我流を入れてしまう人が多いことです。

自分らしさをいきなり出そうとしてしまう。でも結局めちゃくちゃなことをやってしまうから、何も習得できていません。

お手本通りにやることに、真っすぐ取り組めない人が、なんでこんなにも多いのだろうと感じます。

落合博満さんは『采配』(ダイヤモンド社)においてこう語っています。

「自分がいいと思う物を模倣し、反復練習で自分の形にしていくのが技術と言う物ではないか。模倣とはまさに、一流選手になる第一歩なのだ。大切なのは誰が最初に行ったかではなく、誰がその方法で成功を収めたかだ」

技術や知識を身につけようと思ったら、お手本を見付けてマネをすることが重要。

心理学の本では「モデリング」というふうに説明されていますが、お手本をマネることが成長の近道です。

お手本を見付けたら、考え方や行動をしっかりと観察をします。考え方は外から見ただけではつかめないこともあるので、お手本となる人に質問してみてもいいですね。

そして、自分の中に取り入れたいものを徹底的にマネする。

まずはマネをすることに全力を注ぐのです。

「守破離」という言葉を聞いたことがあるでしょう。千利休が茶道を通して体得したと言われている、人がある道を究めるステップのことです。

「守」とは習ったことを徹底してマネる段階。モデリングするということです。

「破」とは「守」において型を習得していったものに、自分ならこうするという思いを加えて型にアレンジを加えていくこと。

「離」とは、オリジナルを確立していく段階のことです。

努力が報われない人は誰かのマネをしてはいけないと考えてしまう傾向があります。

いきなりオリジナリティを出そうと、ゼロから考えようとし過ぎるあまり、どうしていいかわからなくなってしまう。素直にマネをして、もう無意識的にもそれができるレベルまでまずは持っていけばいいのに。

ジブリ作品で有名な宮崎駿監督といえば、非常にクリエイティビティあふれた印象を社会に与えています。

でも彼でさえ、若いころは映画監督の故・高畑勲さんの下につき、考え方や立ち居振る舞い、話し方、そして、字の書き方までを徹底的にマネをしていた時代があったそうです。その経験を通して表現者としての基礎を築いていったと言います。

アカデミー名誉賞を受賞し、クリエイティビティで世界をあっと言わせている人ですら、まずは守破離の「守」を徹底するところから始めているのです。

何かを始めるときは、ゼロから考えない。

まずはいいお手本を探すことに努力する。

うまくいっている人には、その理由が必ずあるはずなのです。

いきなりオリジナリティを出そうとがんばらなくていいんです。

オリジナリティは手段でしかありません。

仕事で問われているのは、手段が何かではなく、目的の達成です。

いったん自分らしさは横に置いて、お手本を徹底的にマネすることに取り組んでみませんか。

努力が「報われる人」と「報われない人」の習慣
塚本 亮(つかもと・りょう)
1984年京都生まれ。同志社大学卒業後、ケンブリッジ大学大学院修士課程修了(専攻は心理学)。
偏差値30台、退学寸前の問題児から一念発起して、同志社大学経済学部に現役合格。その後ケンブリッジ大学で心理学を学び、帰国後、京都でグローバルリーダー育成を専門とした「ジーエルアカデミア」を設立。心理学に基づいた指導法が注目され、国内外の教育機関などから指導依頼が殺到。これまでのべ6,000人に対して、世界に通用する人材の育成・指導、IELTSやTOEICの指導を行い、多くの受講生がケンブリッジ大学やロンドン大学などの世界トップ大学への合格を果たす。また、外資系や上場企業でビジネス英語研修を行い、資格試験からビジネス英語まで幅広く英語を指導している。
『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』(旺文社)の監修をはじめ、『「すぐやる人」と「やれない人」の習慣』(明日香出版社)、『ネイティブなら12歳までに覚える 80パターンで英語が止まらない!』(高橋書店)、『世界のエリートを唸らせる 話すビジネス英語』『解くだけで思いのままに英語が話せる! ~ゼッタイ覚えたい英会話フレーズ100』(三修社)など著書累計100万部を突破。

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