本記事は、塚本亮氏の著書『努力が「報われる人」と「報われない人」の習慣』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

難易度レベルアップイメージ
(画像=akasu/stock.adobe.com)

努力が報われる人は自分に甘い目標を掲げ、報われない人は自分に厳しい目標を掲げる。

「やらなきゃいけないとわかっているけど、エンジンがかからない」。

気分が乗っているときは何でもサクサク進むでしょうが、疲れが溜まっていたり、気分が乗らないときはエンジンをかけようと思っても難しいですよね。

これは仕方がないことなのだと思いますし、まずはそれを受け入れましょう。

その上で、行動までの心理的なハードルを高めていないかを確認してみましょう。

アルフレッド・アドラーは「高過ぎる目標はやる気を損なう要因となる」と考えました。確かに、あまりに高い目標を立てたがために、やる前から(これは大変だなぁ……)(ちょっと今日は天気も悪いし……)と尻込みしてしまうことはないでしょうか。

たとえば「1日1冊本を読む」と思っていても、(今日は少し疲れが溜まっているからな……)と先送りする。「毎日ジョギングを10キロしよう」と思っていても(そろそろ雨が降りそうだしやめておく方がいいんじゃないか……)と取りやめる。そういう気持ちになることって、度々あると思います。

自分で自分を追い込んでしまうことで、物事が前に進まない状態になっているわけですよね。やる気に満ち溢れているときは、そんなことは考えずにグイグイやります。雨が降っていても、「ここでがんばるから意味があるんだ」だなんて思いながら、心地よく走ります。

思うように気分が乗ってこないとき。そんなときこそ心理的なハードルを自分で高くしないことが大事。むしろハードルを下げる工夫をするのです。

跳び箱だっていきなり「10段跳んでください」とか言われたら怖いですよね。最初は跳べそうなところまで落として、少しずつ段を増やしていくでしょう。

人間は、やりたくないと思っていることでも、いったん始めてしまうと、なんだかんだ気分が乗ってきて、その行動を続けてしまうもの。

作業興奮」という言葉がありますが、作業に手をつけると、やる気は後から出てくるのです。たとえば掃除。「大掃除するぞ」というときは少し気が遠くなる思いがするのに、身の回りのものを2つ、3つ片付け始めて、気が付いてみたら数時間片付けしていただなんてことがありますよね。「断捨離だー」とか言って、片付ける予定のなかった古い服まで袋に詰めだしたりするアレです。

努力が報われる人は、気分が乗らないときにも、自分を上手にコントロールできます。だから、行動目標を立てるときは、まずは小さく行動することを目指すわけです。

私は原稿を書くときにも「さぁ今日は20ページ分書くぞ。10日続けたら1冊完成だ!」という目標を立てると(そんなに書けないかも……)(アイデアが出てこなさそう……)とか言い訳を考え始める自分がうっすら見えてしまいます。

だからむしろ「とりあえず2、3文だけ思いついたものを言葉にしてみよう」くらいに行動目標を落とします。そうして書き始めると、「そういえばあれもあるな」「こういうのも書いておこう」みたいになって、気付いたら数時間書いているんですよね。

勘違いしてはいけないのは「来年までにあの難関資格を取る」とか「半年で10キロ痩せる」などの高い目標を持つこと自体は何も悪くない、ということです。

ただそれらを達成するためには日々の行動目標が必要ですよね。願っていれば勝手に叶うというものではありませんから。

目標を立てるときは、それを達成した自分をイメージしているので、モチベーションは高いものです。そうなると日々の行動目標を「毎日3時間勉強する」だとか「毎日ジムに1時間通う」とかモチベーションが高くないとできないレベルで設定してしまいます。

ここに落とし穴があります。挫折してしまう人は、これを理解していないことが問題なのです。そしてがんばれていない自分をダメな自分だと思い込んで、余計にマイナスのスパイラルに陥ってしまいます。

「千里の道も一歩から」。大きな目標を達成するにも日々の積み重ねが必要です。

目標に押し潰されてしまっては本末転倒。日々の行動目標は甘く設定してみましょう。

確実に前進する。一歩でも前に足を進めたらそれでいい。その程度に構えて、自分のエンジンを上手にかけましょう。

努力が「報われる人」と「報われない人」の習慣
塚本 亮(つかもと・りょう)
1984年京都生まれ。同志社大学卒業後、ケンブリッジ大学大学院修士課程修了(専攻は心理学)。
偏差値30台、退学寸前の問題児から一念発起して、同志社大学経済学部に現役合格。その後ケンブリッジ大学で心理学を学び、帰国後、京都でグローバルリーダー育成を専門とした「ジーエルアカデミア」を設立。心理学に基づいた指導法が注目され、国内外の教育機関などから指導依頼が殺到。これまでのべ6,000人に対して、世界に通用する人材の育成・指導、IELTSやTOEICの指導を行い、多くの受講生がケンブリッジ大学やロンドン大学などの世界トップ大学への合格を果たす。また、外資系や上場企業でビジネス英語研修を行い、資格試験からビジネス英語まで幅広く英語を指導している。
『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』(旺文社)の監修をはじめ、『「すぐやる人」と「やれない人」の習慣』(明日香出版社)、『ネイティブなら12歳までに覚える 80パターンで英語が止まらない!』(高橋書店)、『世界のエリートを唸らせる 話すビジネス英語』『解くだけで思いのままに英語が話せる! ~ゼッタイ覚えたい英会話フレーズ100』(三修社)など著書累計100万部を突破。

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