本記事は、塚本亮氏の著書『努力が「報われる人」と「報われない人」の習慣』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

積み上げた木を持ち上げる一生懸命な男の人の白背景のウッドキューブ
(画像=KIKORI/stock.adobe.com)

努力が報われる人は努力を手段に過ぎないと考え、報われない人は努力を正義だと考える。

がんばる姿は美しい。これには何の異論もありません。

ただ、今あなたがしている努力が正しいかどうかは、別途、検討の余地がありそうです。正しいか正しくないかの定義は何でしょうか。

努力をしている姿を誰かに見せること?

成果を出すこと?

目的によって、そもそも努力しないといけないのか、から考える必要がありそうです

〝努力すること〞自体が目的化してしまっている人をたくさん見ます。

「とにかく努力しなければ」「努力すればうまくいく」と考え、自分を追い込んでいるのです。そのような人ほど、「がんばっている」自分に酔って、〝努力している〞という事実に満足感を持ってしまいがちです。

あなたは今、何のために努力しているのでしょうか。

がんばっている人は美しいですが、がむしゃらに努力すればいいわけではありません。

「自分が何をしたいのか」「そのためにはどうすればいいのか」を整理した上で、努力がその手段として必要であれば、努力する意味があるのではないでしょうか。

たとえば以前、「市販品の離乳食を子どもに食べさせている」と公言した人に反対意見がたくさん出て、大炎上したことがありました。Twitterでは、「冷凍食品を食卓に出したところ『手抜き』といわれた」という投稿が議論を呼びました。

私は、イギリスに留学しているときに耳にした、こんなジョークを思い出しました。

「イギリスのお母さんの味は電子レンジの味」。

イギリスは日本ほど料理をする文化がありません。イギリスに住んで驚いたのは、スーパーにおける冷凍庫が占める割合。ほぼ半分じゃないかと思ったほどです。

それでも、イギリス人の友人たちは問題なく成長していました。

時間やエネルギーは有限です。

仕事や子育てなどをがんばって疲れている人に、料理までがんばれという意味はあるのでしょうか。ごはんを毎日手作りする努力が、果たして正しいものなのでしょうか。

あれもこれもがんばらないと、というストレスから親の心の健康が保たれなくなっては、子どもの健康に配慮もできなくなってしまいます。

また、自分が経験した苦労を誰かにもさせないと気が済まない人がいます。

でも、それでは時代は前に進みませんね。

たとえばお金を正確に数えたいなら、人が1枚2枚と数えるよりも、自動紙幣計算機を使った方が速いし、正確。機械で数えたからといって、「お前はお金を大切に扱っていない」だなんて誰も思わないでしょう。

たとえば私たちが学生の頃は、辞典をめくって言葉の意味を調べるよう指導されましたが、あなたは日常で今もそうしていますか?スマホで調べた方が速いのだから、分厚い辞書から素早く調べる技術を磨くより、その時間を他に使った方が有意義ですよね。

これからの時代は、「人ががんばってやっていたこと」がどんどんロボットに取られていくでしょう。

そもそも何のためにそういうものが世に出てくるかといえば、世の中を便利にする、安全にするためです。AIが行う方がミスなく速いならば、その仕事はAIに任せて、人間にしかできないことをやっていく。何もそれは手抜きではありません。

目的を考えていないと、がんばることが正義だと思ってしまいます。

でもそもそも自分がやらなくていいこと、自分ではどうにもできないことにまで時間と労力を費やすのは「正しい努力」とはいえません。自分ですべてやる必要はないのだから、テクノロジーを活用したり、周りにいる人にお願いをしたりしてやってもらう方が生産的ですよね。

つまり、努力は手段に過ぎないのです。

努力しなくても目標を達成できるのであれば、それでいい。

ムダな努力は捨てて、今あなたにしかできない部分に注力することで、目標の達成に近づくことができることでしょう。

努力が「報われる人」と「報われない人」の習慣
塚本 亮(つかもと・りょう)
1984年京都生まれ。同志社大学卒業後、ケンブリッジ大学大学院修士課程修了(専攻は心理学)。
偏差値30台、退学寸前の問題児から一念発起して、同志社大学経済学部に現役合格。その後ケンブリッジ大学で心理学を学び、帰国後、京都でグローバルリーダー育成を専門とした「ジーエルアカデミア」を設立。心理学に基づいた指導法が注目され、国内外の教育機関などから指導依頼が殺到。これまでのべ6,000人に対して、世界に通用する人材の育成・指導、IELTSやTOEICの指導を行い、多くの受講生がケンブリッジ大学やロンドン大学などの世界トップ大学への合格を果たす。また、外資系や上場企業でビジネス英語研修を行い、資格試験からビジネス英語まで幅広く英語を指導している。
『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』(旺文社)の監修をはじめ、『「すぐやる人」と「やれない人」の習慣』(明日香出版社)、『ネイティブなら12歳までに覚える 80パターンで英語が止まらない!』(高橋書店)、『世界のエリートを唸らせる 話すビジネス英語』『解くだけで思いのままに英語が話せる! ~ゼッタイ覚えたい英会話フレーズ100』(三修社)など著書累計100万部を突破。

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