FXトレードにおいて、含み損は付き物です。最終的に利益が出たトレードであっても一時的に含み損を抱えることは決して珍しくなく、含み損との向き合い方がFXトレードのスキルに直結するといってもよいでしょう。

含み損に対する対処としては損切りやナンピンなどさまざまなテクニックがありますが、その中のひとつにマーチンゲール法があります。もともとはギャンブルで確立された手法ですが、FXにも応用できる部分があります。

ただし、マーチンゲール法には特有のリスクもあるので、具体的な方法と併せて、メリットやデメリットを解説します。

FXで含み損が出たら、どうする?

FXのトレードで含み損が出ている時のテクニック「マーチンゲール法」の基礎知識
(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

FXは為替差益を狙うのが基本ですが、そのためにトレードをしていても毎回利益が出るとは限りません。FXに含み損は付き物なので、含み損が出ている時にどう行動するかによって投資家のレベルが決まるといってもよいでしょう。FXで含み損が出た時に取り得る対処法には、以下のようなものがあります。

・塩漬け
含み損が出ている状態を放置して、いつか相場が回復することを願う手法です。

・損切り
含み損がさらに拡大すると見込まれる場合に、損失を最小限に食い止めるために損失覚悟の決済をする手法です。

・両建て
保有しているポジションと逆のポジションをもち、含み損と含み益を相殺することを狙う手法です。買いポジションで含み損が出ている時には売りポジションを建てる、もしくはその逆です。

・ドテン
含み損が出ているポジションを損切り決済した上で、逆のポジションを建てる手法です。相場にトレンドが発生している時に反対のポジションを持っていると含み損が拡大してしまうので、そのポジションを決済して順張りのポジションを建てます。

・マーチンゲール法
1回目のトレードで利益が上がらず損切り決済をしたら負けとして終了し、次は倍のロット(取引量)でポジションを建てる手法です。2回目も負けたら3回目はその倍のロットといったように負ける度にロット数を倍にし続け、勝つまで続けるのがマーチンゲール法です。

含み損対策のひとつ、マーチンゲール法の実践法

FXは相場の上げ下げを利益に結び付けるのが基本なので、いわば「二択」です。相場が上がると思えば買いポジション、下がると思えば売りポジションを建て、勝敗を見極めます。マーチンゲール法では、勝てば1回目のトレードで終了となりますが、負ければ損切り決済をした上で2回目に臨み、ロット数を前回の倍にします。

この場合、2回目以降のポジションは前回のトレードと同じ方向でなくても構いません。前回は買いからのエントリーだったのに対して次回のエントリー時には売りだと判断したのであれば、売りからのエントリーでも構いません。「負けた前回のトレードに対してロット数を倍にする」ということだけがマーチンゲール法の基本ルールです。

もともとはカジノなどの必勝法として広く知られているもので、勝率が5割のギャンブルで有効な必勝法の1つであるとされています。FXも上か下かの「二択」なので、このマーチンゲール法を応用できるというわけです。

なお、マーチンゲール法は上か下かの「二択」で利益を狙うものであれば、株やCFD、仮想通貨などにも応用可能です。

マーチンゲール法のメリット

投資にマーチンゲール法を応用するメリットは、2つあります。

最終的には勝てる

勝つまで続けるのがマーチンゲール法の基本です。そのため、マーチンゲール法を忠実に実践すると最終的に負けることはありません。仮に1,000通貨から始めて5連敗すると、ロット数は以下のようになります。

回数ロット数
1回目1,000通貨
2回目2,000通貨
3回目4,000通貨
4回目8,000通貨
5回目1万6,000通貨

このように4連敗すると5回目のロット数は16倍なので、1万6,000通貨になります。1回目を1万通貨から始めた場合、は5回目には16万通貨になるといった具合です。

ちなみに4連敗する確率は100分の16なので、6.25%です。理論的には5回目までに90%以上の確率で勝てることになります。

方法がシンプルで実践しやすい

マーチンゲール法は、負ければ次のトレードでロット数を倍にするというのが唯一のルールなので、実践する方法はとてもシンプルです。ギャンブル由来の手法に依存することになってしまいますが、FXの知識があまりなくても実践は可能でしょう。

マーチンゲール法のデメリット、リスク

次に、マーチンゲール法のデメリットやリスクについても解説します。

負け続けた場合の損失が大きくなる

負けるごとに次回のロット数を増やしていくのがマーチンゲール法ですが、最初はあまりそのデメリットに気づきにくいものです。というのも、最初は2倍、4倍、8倍といったように1桁の倍数でしかないため、それほどロット数が大きくなっているとは感じない人もいるでしょう。

しかし、5連敗以降は次のロット数が32倍、64倍、128倍と加速度的に増えていくため、負け続けると損失はとても大きくなります。もう後に退けないところで資金が尽きてしまうと、手持ち資金のほとんど失ってしまうことになります。

仮に10連敗すると11回目のロット数は1,024倍になるため、現実問題としてここまでのロット数でエントリーできる人は限られるのではないでしょうか。

リスクが高い割には利益が低い

実践すればいつかは勝てるというのがマーチンゲール法のメリットですが、リスクが高い割には利益が少ないのも大きなデメリットです。常にロット数を倍にしながらエントリーするわけですが、前回までの負けがあるため、どこで勝っても利益は1回目で勝った時と同じです。

リスクが高い割には割に合わないと感じる人が多いのは、このデメリットがあるからです。

資金力がないと実践できない

先ほど、5連敗した次のロット数が1回目に対して32倍になると述べました。この時点で1,000通貨から始めても3万2,000通貨のポジションになるため、かなりの資金力が必要です。

ドル円のレートが130円として3万2,000通貨のポジションを建てるとすると、最大レバレッジの25倍でも必要証拠金は16万6,400円です。さらに6連敗以降も負けるごとに証拠金が倍になっていくので、5連敗以降は一定の資金力がないとマーチンゲール法を実践しきれないでしょう。

マーチンゲール法を実践する場合の注意点

ここまでの解説をお読みになり、マーチンゲール法について理論的には優れているものの、実際にやるとなると微妙だという印象をお持ちの方が多いのではないかと思います。

FXで5連敗をすることは珍しくありません。しかもギャンブル的な手法で勝とうとする人は、FXの知識をあまりもたず上か下かの「二択」を当てるゲームに挑む感覚でしょう。運だけで利益を上げるのは非常に難しいのがFXなので、マーチンゲール法だけで利益を狙うのは無謀と言わざるを得ません。

10連敗しても大きなダメージではないほどの資金がある人であれば実践してもよいかもしれませんが、それだけの資金力がある人にはFXのマーチンゲール法以外にも有効な投資法があるはずです。

負け続けた場合にどこまで許容するのかを資金量に照らし合わせて設定し、その範囲で楽しむのであれば問題ありませんが、マーチンゲール法だけで資金を増やそうと考えるのはおすすめできません。

(提供:Incomepress



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