資産運用サービスの1つであるファンドラップは、投資の手間を軽減しつつ長期で安定的な資産形成を目指せるとして人気の商品だ。時間のない人や投資初心者でも資産運用を始めやすいが、手数料には注意したい。

ファンドラップとは

ファンドラップとは?メリットデメリットから申込手順まで徹底解説
(画像=Sergey/stock.adobe.com)

ファンドラップとは、銀行や証券会社といった金融機関が、投資家に代わって資産の運用管理を行う「投資一任口座による資産運用サービス」だ。取引する金融機関にファンドラップ口座を開設して委任契約を結ぶことで、口座に預けた資金の運用を一任することができる。専門家が投資スタイルやリスク許容度などについて投資家の希望を反映してポートフォリオを構築し、運用提案を行うため、それぞれの投資家に最適な資産運用ができる点が特徴だ。

株や債券、投資信託などの金融商品で資産運用を行う場合、値動きや運用状況の定期的な確認およびコスト管理が不可欠である。投資経験が豊富で時間に余裕がある投資家なら、これらの作業は当たり前かもしれない。しかし、投資初心者や投資にかける時間が少ない人は負担に感じることもあるだろう。投資一任契約を結んだ金融機関がこれらの作業を行うことで、投資家の負担を減らし資産運用をスムーズに進められることがファンドラップの大きな魅力である。

ファンドラップのメリット/デメリット

ファンドラップを利用するにあたっては、メリットとデメリットを押さえておく必要がある。また、ファンドラップと似た仕組みを持つ「投資信託」との違いも併せて確認しよう。

ファンドラップのメリット

ファンドラップの主なメリットには、以下の3つが挙げられる。

▽ファンドラップの3つのメリット
1.運用の専門家が投資家ごとに最適なポートフォリオを提案してくれる
2.複利運用を活用した、資金効率がよい運用を目指せる
3.さまざまなオプションサービスがある

・メリット1:運用の専門家が投資家ごとに最適なポートフォリオを提案してくれる

ファンドラップでは、運用の専門家が投資家ごとに最適なポートフォリオを提案してくれる。ポートフォリオとは、投資する金融商品の組み合わせのことだ。戦略的な資産運用を進めるには、投資方針に合った効果的なポートフォリオの構築が重要になる。

ポートフォリオの構築は、気になった商品をただ組み合わせればいいわけではない。各商品の特徴やリスク、コストなどを比較し、十分に検討したうえで、投資する銘柄をピックアップすることが重要だ。適切な商品に分散投資を行うことで、価格の変動により資産の価値が減少する可能性を軽減できる。

適切なポートフォリオ構築のためには幅広い商品知識やリサーチ力、投資経験が必要になる。投資初心者や投資にかける時間が取れない人にとっては、ハードルが高いと感じることもあるだろう。

ファンドラップを利用すれば、投資の専門家が投資方針やリスク許容度を確認したうえで、最適なポートフォリオの構築を行ってくれる。これにより、投資開始時の手間が減り速やかな資産運用のスタートを実現できる。

・メリット2:複利運用を活用した、資金効率がよい運用を目指せる

複利運用を活用した資金効率がよい運用を目指せるのもファンドラップを利用するメリットの1つだ。複利効果とは、利息や分配金を元本に組み込むことで利息に対しても利息が生まれ、雪だるま式に利益が積み上がっていくことをいう。複利効果は時間をかけるほど有効なため、通常長期で運用を行うファンドラップには資金効率がよい運用が期待できる。

では、運用期間によって複利運用の結果にどのくらいの差が生まれるのだろうか。たとえば、10万円の資金を毎年3%の利回りで複利運用したとしよう。運用年数別の運用結果は以下のとおりだ。

▽運用年数による複利運用の結果の違い(税金および手数料などは考慮しない)

運用年数元利合計
1年10万3,000円
5年11万5,927円
10年13万4,392円
15年15万5,797円
20年18万611円
※筆者作成

このように複利での運用は、時間をかけるほど大きな効果を生む。長期的な資産形成を目指すなら、ファンドラップはぜひ検討したいサービスだ。

・メリット3:さまざまなオプションサービスがある

金融機関によっては、オプションサービスが充実しているのもファンドラップの魅力だろう。ファンドラップでは、おもに以下のサービスが提供される。

▽ファンドラップで受けられるおもなサービス
・運用状況の定期報告
・リバランス
・定期払戻および利益払出
・プロフィットロック
・ロスカット

ファンドラップの基本サービスとして挙げられるのは、運用状況の定期報告とリバランスだ。リバランスとは、資産配分が崩れてしまった場合に、資産を売買して調整を行うことをいう。定期的にリバランスを行うことで、投資家が希望する投資方針や許容できるリスクを維持したまま運用を続けることができる。

オプションサービスとして挙げられるのは、投資資産の定期払戻や利益の払い出しだ。あらかじめ指定した基準の利益が出たときに自動的に利益が確定されるプロフィットロックや、指定した基準で損失が発生したときに自動的に損切り売却が行われるロスカット機能を備えたファンドラップもある。

どのようなサービスを受けられるかは、ファンドラップによって異なる。希望するサービスがある場合には、契約前にあらかじめ確認することが重要だ。

ファンドラップのデメリット

ファンドラップのデメリットとしては、以下の2つが挙げられる。

▽ファンドラップの2つのデメリット
1.最低投資額がある
2.手数料がかかる

・デメリット1:最低投資額がある

ファンドラップでは、それぞれ最低投資額が設定されている。金額は商品によってさまざまで、10万円程度の小額から始められるものもあれば、数百~数千万円が必要な場合もある。ファンドラップを選ぶ際にはまず投資の予算を確認し、無理のない範囲で始められるものを選択しよう。

・デメリット2:手数料がかかる

手数料がかかる点も気を付けるべきポイントだ。ファンドラップでは、投資するファンドの運用に必要な手数料に加え、投資一任報酬や口座管理手数料が発生する。手数料は投資におけるコストとなり、運用成績に影響するため、契約前にしっかりと確認したい。

参考:ファンドラップと投資信託の違い

ファンドラップと投資信託はどちらも投資の専門家に資産の運用を依頼し、投資から得た利益の還元を受ける商品だ。似ている点もあるが、商品内容は大きく異なる。相違点を以下で確認しよう。

▽ファンドラップと投資信託の相違点

ファンドラップ投資信託
手数料・ファンドラップ手数料(口座管理手数料)
・投資一任報酬
・信託報酬
・信託財産留保額
・買付時手数料
・信託報酬
・信託財産留保額
運用方針投資家の投資スタイルやリスク許容度、資産状況によって決定するファンドマネージャーが決定する
最低投資額十万~数千万円100円~
※筆者作成

ファンドラップは、投資一任契約を結んだ投資家の資金を、投資家の投資方針などに則り運用する。そのためそれぞれの投資家に合った資産運用ができるが、手数料がやや高く最低投資額も高めに設定される。

投資信託は多くの投資家から資金を集めるため少額から投資が可能で、ファンドラップに比べると手数料が低い。ただし、運用方針はファンドマネージャーが決定するため、投資家の意向が反映されることはない。投資信託を選ぶなら、投資家の投資方針に合ったファンドを選べるかがポイントとなるだろう。

ファンドラップの手数料体系

資産運用を成功させるには、利益の積み上げと併せてコスト管理が重要になる。ここでは、ファンドラップの手数料について詳しくみていこう。ファンドラップで必要なおもな手数料は、以下のとおりだ。

▽ファンドラップで必要な主な手数料
・信託報酬
・信託財産留保額
・ファンドラップ手数料(口座管理手数料)
・投資一任報酬

ファンドラップでは、投資するファンドの運用に必要な信託報酬および信託財産留保額のほか、ファンドラップの口座管理手数料や投資一任報酬がかかる。野村證券を例に、以下で確認しよう。

▽野村証券のファンドラップで必要な手数料

手数料の種類詳細(税込み/年)
ファンドラップ報酬最大で運用資産の1.32%
投資一任報酬【固定報酬制】
最大で運用資産の0.418%
【実績報酬併用制】
最大で運用資産の0.209%+運用益の積上額の11%
※出典:野村證券

多くのファンドラップでは、投資一任報酬において固定報酬制と実績報酬制を設けている。大きな利益を得た場合には固定報酬制の方が手数料を抑えられるが、利益が少ない場合には実績報酬制の方が手数料を低く抑えられるケースもある。どちらを選ぶかは、契約時にしっかりと比較検討しよう。

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ファンドラップを利用するまでの手順

ここでは、ファンドラップの契約に必要な4つの手順を見ていこう。

手順1:金融機関の担当者と運用方針などについて相談する

ファンドラップの利用を検討するならまず、金融機関の担当者に運用方針などの相談をしよう。投資の予算や想定する運用期間、投資経験、リスク許容度などをしっかりと伝えることで、投資家の希望に合ったポートフォリオ提案を受けることができる。

手順2:ポートフォリオの提案を受ける

次に、手順1で聴取した投資家の希望をもとに金融機関の担当者が作成した、ポートフォリオの提案を受ける。ここで決まったポートフォリオに沿って運用が進められるため、不明点や不安に感じる点はしっかりと確認しておこう。投資にかかるコストについても、ここで必ずチェックしたい。

手順3:投資一任契約を結ぶ

ポートフォリオやコストについて納得したら、投資一任契約を結ぶ。投資一任契約の締結は、運用の専門家に投資家自身のお金を預け、資産運用の判断を一任することを意味する。「こんなはずではなかった」と後悔することがないよう、契約締結にあたっては再度契約内容を確認し、不明点をクリアにした状態で手続きを進めよう。

手順4:運用開始

投資一任契約を結んだら、いよいよ運用がスタートする。資産の運用管理は担当者が行うが、定期的に投資家に送られる運用報告はきちんと確認しよう。

ファンドラップの契約は、一般的に10年以上の長期に渡ることが多い。運用に疑問が生じたり、ライフステージの変化により資金状況が変わったりしたら、速やかに担当者に相談することも重要だ。

ファンドラップを利用する際に注意すべきポイント

ファンドラップを利用するにあたっては、運用を金融機関に丸投げするのではなく、担当者のアドバイスを受けながら投資家自身でも行う意識を持つことが重要だ。資産の運用、管理を専門家に一任できるファンドラップでは、運用状況の確認が疎かになる投資家も少なくない。しかし、値動きのある商品に投資を行うファンドラップでは、当然のことながら日々資産が増減する。後悔の無い運用を実現するには、資産状況をある程度把握しておくことがとても重要なポイントになる。

まとめ

ファンドラップは、投資一任口座による資産運用サービスだ。ポートフォリオの構築やリバランスなどの負担を軽減しながら長期的に資産形成ができるサービスとして人気だが、投資一任報酬などのコストがかかったり、担当者によって提案内容に差が出たりする点には注意が必要だろう。

ファンドラップを始めるにはまず、銀行や証券会社などの金融機関に相談をしよう。担当者をより横断的に探したいなら、資産アドバイザーに無料で相談を行えるマッチングサービスであるZUU Advisorsの利用も検討しよう。より自分に合った専門家を探すことで、投資プランの構築もよりスムーズに進められるはずだ。

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