上方修正する企業の特徴は?

上半期の企業の決算が出始めて来た。どうやら上方修正しがちな企業には共通の特徴があるようだ。日経NEEDSのまとめによれば、過去10年間の中間決算時点の上方修正回数が8回の14社では、中間時点の予想を期末実績が上回った回数が平均 7.4 回。これらの企業は”常連企業”といえる。

中間決算時点で業績予想を上方修正した回数が8回以上の ”常連企業”は、以下の16社だ。大日本住友製薬 <4506> 、神戸製鋼所 <5406> 、大和工業 <5444> 、DOWAホールディングス <5714> 、日本製鋼所 <5631> 、豊田自動織機 <6201> 、デンソー <6902> 、いすゞ自動車 <7202> 、ケーヒン <7251> 、ダイハツ工業 <7262> 、東京急行電鉄 <9005>、豊田通商 <8015> 、エイチ・ツー・オー <8242> 、横浜銀行 <8332> 、静岡銀行 <8355> 、山陰合同銀行 <8381> 。

証券取引所に上場している企業の多くは、決算発表の際、次期の業績について予想を発表する。その後、その発表した業績予想と実際の数値に乖離が生じると、修正発表を行うわけだが、日経NEEDSのまとめによれば、過去10年間のデータにおいて、中間決算時点で頻繁に上方修正している企業ほど、期末業績がその中間予想さえも上回る傾向にあるという。つまり、保守的な企業はとことん保守的だということだ。

企業が上方修正を行うと、今後の期待感から株価上昇の可能性が高い。この情報を予めつかむことができれば、株価に反映済みか注意が必要ではあるものの、今後の株式投資に役立つだろう。


低く見積もる経営者の心理

業績以外でも、「良いものと言われていたのが、実際には想定よりひどかった」というよりも、「大したものではないと言われていたのが、実際には想定より良かった」の方が好印象であろう。経営者の心理も同じである。ニッセイ基礎研究所のレポート『経営者の心理から読み解く株価の行方』によれば、「企業を取り巻く経営環境は変化が激しくなっており、向こう1年に何が起きるか分からないといっても過言ではない。こうした不確実性が高い中、約1年先の決算見通しを強気に出すのは危険が大きい割に大したメリットが無いと考えるのは自然だろう。むしろリスク要因で割り引いた控えめの業績予想こそが企業側のホンネだろうか。」とのことだ。


先行き不透明な業界ほど保守的な傾向

冒頭に挙げた、”常連企業”には鉄鋼・非鉄、自動車・輸送機といった業種が多い。これらの業種は、原料調達価格変動リスクや為替リスクを踏まえた上で業績予想を保守的に見積もるため、結果上方修正が起こりやすいのではないかとされている。
また、地方銀行に常連が多いことについても、既に先日上方修正を発表した百十四銀行 <8386> (当期利益35億円→49億円)や百五銀行 <8368> (当期利益43億円→61億円)のように、与信関連費用を多めに見積もり、結果的に中間決算にて上方修正となることが多いためと見ている。


企業の上方修正予想する方法は?

上方修正しやすい企業の特徴は、会社四季報のコメント欄やYahoo!ファイナンスでも確認できる。会社四季報のコメント欄では、企業側が保守的な予想を発表した際に「保守的」「過小」「上振れ余地」といった表現があれば、後に上方修正の可能性が高い。また、Yahoo!ファイナンスでは、業績予報タブにて、棒グラフで過去の予想値と実績値、次期の予想値が掲載されている。過去の予想値と実績値に乖離がある企業は、要チェックだ。

(ZUU online)

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