本記事は、渡部清二氏の著書『会社四季報の達人が全力で選んだ 10倍・100倍になる!超優良株ベスト30』(SBクリエイティブ)の中から一部を抜粋・編集しています。
紙とオンラインの二刀流で、四季報からテンバガーの兆しをつかめ!
日本株の中には、過去にも現在にもテンバガーになる銘柄がいくつも存在していることがおわかりいただけたことでしょう。
では、どうすればそのような銘柄を見つけることができるのでしょうか。
答えは明快です。「四季報を読み、そこからめぼしい銘柄をピックアップすればいい」のです。
もちろん、四季報すべてのページにくまなく目を通すのは難しいことです。長年読破を継続してきた私ですら、四季報を読み通すには2〜3日はかかります。ただ、ポ イントだけを押さえて読むことは誰でも簡単にできます。
また、四季報には移動中でもチェック可能なオンライン版もあるので、そちらを利用するのもいいでしょう。オンライン版では、株価の上昇率、業績予想、決算情報などで条件指定を行い、銘柄をスクリーニングすることもできます。お目当ての株がきっと見つかることでしょう。
その他にも、独自の連載記事や四季報誌面をデジタルデータで閲覧できる「四季報アーカイブ」など、お役立ちコンテンツがつまっています。私も「四季報読破邁進中」と銘打った連載を行っていますので、ご興味のある方はぜひ一度読んでいただけるとうれしいです。
◯約120人の記者の英知がつまっている
四季報には独自の来期予想の他、記者オリジナルのコメントが書かれています。これは記者が取材を繰り返し、文字数の制限範囲内で練りに練って書いたものです。
四季報の取材・執筆には120名以上の記者が関わっているそうで、1人1人が時間をかけて取材をし、あらゆる情報の中から一番大切なものを凝縮して四季報に載せているわけです。
つまり、四季報を1冊読めば、約120人分の英知をもらうことができるということです。これは本当にすごいことです。
考えてみてください。私が1人でこの作業をしようとしたら1年に1社記事にする場合、120年ほどかかるということなのです。
ちなみに、四季報の価格は税込みで2,300円(2022年秋号)です。
1年間に4冊購入したとしても、
2,300円×4冊=9,200円
にしかなりません。
1万円を切る価格で株式投資に関する取材・執筆に長じたプロフェッショナルの英知が買えるのですから、これを使わない手はないでしょう。
◯私も最初は嫌だった「四季報読破」
今でこそ四季報についての熱い語りが止まらない私ですが、最初から四季報の熱烈なファンだったわけではありません。
私は新卒で野村證券株式会社に入社し、新入社員研修の際に「四季報を読むように」と指導されたのですが、研修期間中は嫌々ながら読むふりをしていても、研修が終わった後は私も含めて、同期の誰も読まなくなりました。
当時の私にとって、四季報は文字と数字の羅列が延々と続くだけで、読むべきポイントがわからないのはもちろん、読まなければいけない必要性も全く理解できていませんでした。
そんな私に転機が訪れたのは、入社7年目を迎えた1997年のことです。四季報読破を実践していた厳しい上司に「四季報を読め!」と厳命されたのです。
当時の野村證券は体育会系の社風で、上司の命令は絶対でした。半ば強制されて読み始めたわけですが、実は私の心の中に「もっとしっかり勉強して、企業分析ができるようになってお客様のお役に立ちたい」という切実な思いがありました。
だからこそ、上司のこの言葉に荷の重さを感じつつも、受け入れることができたのだと思います。
◯四季報読破「1冊目の壁」を越えた先に見える景色
私はこうして四季報を習慣的に読むようになったわけですが、当初はかなり大変でした。日中はお客様回りをしなければならないので、四季報読みに充てられる時間は限られます。
まずは1冊読み通してみようと考え、必死に取り組みました。すると、ちゃんと終わりが来たのです。「絶対に無理だと思っていたけれども、意外に読めるものなのだな」と思いました。最初の1冊を1週間で読み切ったので、1冊2,000ページとして1日あたり300ページ弱を読んだことになります。
最初のうちはすべてのページに目を通すことに主眼を置いていたので、中身にまで意識が回りませんでした。しかし、回数を重ねるうちに社名や個々の会社の歴史が印象に残るようになっていきました。
街で看板を見て「ああ、あの会社だ。これが本社なのか」と思ったり、設立年月日に反応して「こんなに古い時代から組織として活動していたのか!」と驚いたり……それまでの人生で想像したこともない世界に触れ、自分自身が豊かになっていく実感がありました。
積み重ねというのはすごいもので、1年間で計4冊を読み終えたとき、明らかに自分が変化しているのを感じました。四季報に掲載されている社名を目にすると、会社の所在地や業種、会社の特色、直近の業績など、その会社に関連したデータが自然に思い出せるようになったのです。
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