先週発表された米国経済指標の結果は概ね市場予想以内に留まり、ドル・円相場は米国長期金利上昇に伴って一時137.09の高値を付けたが、137.30近辺に存在する200日移動平均線(下のチャートのオレンジ色の線)がレジスタンス(上値抵抗線)となって137円台は長続きせず、長期金利低下に伴って135円台に下落して週を終えた。
チャートと言えば、134円近辺で20日移動平均線(青い線)が80日移動平均線(緑の線)を上切れて、短期的には上を目指すと言う意見も出だしてここら辺が当面のサポート(下値支持線)となる可能性が高いのかも知れない。
だが何と言っても現在一番ドル・円相場に影響を与えるであろう要因は日米金融当局の出方である。
一時ハト派的となって利上げペースのスローダウンが期待されたFRB.のスタンスも、続けざまに出た強い経済指標で再びタカ派的なムードになったが、FRB.内でもタカ派と目されるボスティック米アトランタ連銀総裁が、“FRB.による利上げの影響が本格的に発現するのは今春以降となる可能性があり、この点が当面は 0.25%の緩やかな利上げを行う根拠になる。と発言して再びハト派的ムードが高まり、一時4%を超えていた10年債利回りが再び3.95%へと下落してドルはつれ安となって、株価は大きく上昇した。
金利低下=ドル下落=株価上昇と先週とは逆の動きとなった訳である。
今週金曜日には一旦台頭したハト派的ムードから一転してタカ派的ムードへと戻ることになる引き金となった2月の米国雇用統計の発表が有り、来週は同じく2月の米国消費者物価指数(CPI.)の発表が控えている。
そして今週はパウエルFRB.議長の議会証言が予定されており、その発言がタカ派的か、
それともハト派的か、大いに注目される。
それにより、ドル・円相場の行方は大いに左右されるであろう。
さて、どうするFRB.?
同じく今週は黒田総裁の元での最後の日銀政策決定会合が開催される。
市場の大方の予想は波乱無しを予想するが、一部ではサプライズのイールド・カーブ・コントロール(YCC.)の幅の0.75%への変更も有り得ると読んでいる。
日本10年債(JGB.)利回りはこのところ0.50%の上限に張り付いたままで債券市場ではYCC.幅の変更を催促し続けている。
YCC.の変更は植田次期総裁が望む、“市場との対話”で行われるものではない。
前回12月10日もそうであったが、突然の変更でなければ投機筋を喜ばせるだけであることは誰もが知っている。
YCC.の変更の有無で、ドル・円相場の行方は大いに左右されるであろう。
さて、どうする日銀?
ところで、永らくドルの買い持ちを保持していた我が国個人投資家は、ついにそのポジションを閉じて、取り敢えずスクエアー(ポジションを持たない。)に転じた。
逆張り(短期トレンドに逆らうポジションを取る。)が得意な我が国個人投資家は137円台に近付けばドルの売り持ちに、逆に134円台に近付けばドルの買い持ちに転じる可能性は大であろうか?
今週のテクニカル分析の見立ては137円台を一度トライした為、買われ過ぎ感は落ち着いた。
134.50~137.50のレンジを予想するが、上下何れかがブレークしたら各々133円台へ、そして逆に139円台への視野も入って来る。
今週は日米金融当局の政策スタンス変更の有無が焦点になろうか?