新規開拓の重要性

新規開拓は重要だが、まったく新しい分野に進出する場合は、大きなリスクを伴うため、自社の強みや特性を活かした新規開拓を行うのがよいだろう。

中小企業にとって新規開拓が必要な理由

中小企業の場合、主要既往取引先からの売上が大きく減少すれば、廃業や倒産という事態を招きかねない。長い間事業を行っていれば、取引先との関係が疎遠になったり取引が解消されたりすることもあるかもしれない。また新型コロナウイルス感染症の影響で多くの企業が苦境に立たされたように、外部要因で事業継続が困難になることもある。

中長期的なビジョンで営業戦略を考えると「一社偏重の取引は避ける」「常に新規開拓により顧客を増やす」「分母を拡大してリスク分散を図る」といったことも考えておく必要がある。営業利益や経常利益を安定させるためには、顧客数を増やして売上を増加させるか、経費を削減して利益率を上げるしか方法がない。

また利益率の低い取引先とばかり商売をしていると事業を維持できなくなるため、既存の顧客の見直しを行い、常に入れ替えていくことも求められる。つまり新規開拓を行うことは、売上や利益の増加をもたらすだけでなくリスク分散を図ることにもつながるのだ。現状の経営状態に問題はなくても「現状維持で良い」と考えていては先行きが尻すぼみとなって、廃業へとつながってしまう危険性がある。

新規開拓は企業の特性や強みを生かす

助成金や補助金を利用して新規開拓や業態転換をするケースもある。しかしまったくの異分野で新規開拓を行うには、業界のトレンド・業界情報、市場規模に関する情報、競業他社の情報を収集し、自社商品・サービスの優位性を分析してから計画を実行しなければならない。これは商品開発から事業開始までに時間がかかるうえにリスクを伴うことになる。

それよりも今ある企業独自のノウハウや地域特性、技術力、人脈など企業の強みを活かして新規開拓を行うのがよいだろう。新規開拓の成功事例で取り上げた企業のように自社の事業特性・技術力・ノウハウを活かした商品やサービスを提供するほうが成功する確率は高くなるのだ。

新規開拓には事業スキームの構築が不可欠

中小企業の場合、特に販路拡大で悩む経営者は多いかもしれない。しかしきっちりとした事業スキームが作成できれば事業改革に沿った営業方法・販売戦略を行えるため、新規開拓はやりやすくなる。中小企業のなかでも新規開拓に力を入れて成功している事例は多いため、新規開拓の成功事例を参考に自社の営業戦略を今一度見直してみてはいかがだろうか。

中小企業の経営体力や経済的な問題を考えると新事業の創出や業態の転換に利用できる補助金や助成金を利用することも検討したい。しかし補助金や助成金は、新規事業や業態転換に必要となる設備資金などの費用の一部を補助するものが多い。また生産性の向上や収益力の改善につながらなければ、設備の維持費や設備資金の返済負担増加などの懸念がある。

補助金や助成金には、こういった特性があることから、かえって中小企業の経営状態を悪化させる可能性もあることは十分に注意したい。

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文・加治直樹(1級FP技能士、社会保険労務士)

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