REITなどの不動産ファンドを保有すると、間接的な形で優良不動産への投資ができるのが特徴です。賃料収入や売却益といった現物不動産投資と同様のメリットが得られます。加えて、不動産という資産の裏付けがあることでREITなどの不動産ファンドが無価値になることは考えにくく、REITをはじめとする不動産ファンドへの投資が注目を集めています。

REITの中でも東証に上場しているJ-REITは、運用の透明性が高く、収益のほとんどを分配する仕組みのため、分配金も安定していることから個人投資家からも人気です。しかし、不動産には多様なジャンルがあり、その時の経済情勢によってジャンルごとの浮き沈みがあります。これは、コロナ禍で商業施設やホテルなどのREITが不調になったことでも改めて証明されました。

そこで本記事では、こうしたジャンルごとの浮き沈みに左右されにくい、不動産の分散投資法をご紹介します。

分散型不動産投資の主役、東証REIT指数とは

日本の優良不動産に分散投資ができ、安定収入を受け取れる投資法とは?
(画像=santiagosilver/stock.adobe.com)

東証に上場しているJ-REITの全銘柄を対象に時価を指数化したものに、東証REIT指数があります。基準日である2003年3月31日の時価総額を1,000とし、現在の時価総額がどれほどかを示す指数です。J-REITにはさまざまなジャンルの不動産を運用している銘柄があるので、それらすべてを対象に指数化している東証REIT指数からは「不動産市場全体の動向」が分かります。

J-REITの全銘柄を対象にしているため、この東証REIT指数に投資することができれば不動産市場全体への分散投資効果が得られることになります。こうした東証REIT指数への投資が可能なETF(上場投資信託)があるので、次項から詳しく解説していきます。

東証REIT指数に投資する簡単な方法

日経平均株価やTOPIXなど主要な株価指数には、それらに連動するように運用されているETFがあります。ETFとは、金融商品取引所に上場している投資信託のことで、運用の透明性が高いといわれています。東証REIT指数と連動するETFもあるので、こうしたETFに投資をすると不動産市場全体への分散投資が可能です。

こちらは、東証に上場している東証REIT指数連動型の主なETF銘柄です。一部のみの紹介なので、実際にはさらに多くの東証REIT指数連動型ETFがあります。

銘柄名信託報酬売買単位
NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信(1343)0.155%10株
上場インデックスファンドJリート(東証REIT指数)隔月分配型(1345)0.3%100株
MAXIS Jリート上場投信(1597)0.145%10株
NZAM 上場投信 東証REIT指数(1595)0.248%10株
iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)0.15%1株

上記のように、同じ東証REIT指数連動型ETFといっても信託報酬や売買単位はさまざまです。時価総額の規模や知名度では一番上の「NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信(1343)」が筆頭ですが、1株単位で投資をしたい人には一番下の「iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)」が適しているといえるでしょう。

これらはすべて東証に上場しているので、一般的な証券会社の口座から手軽に購入することができます。

東証REIT指数の長期チャートをチェック

それでは投資対象であることを意識しつつ、東証REIT指数の変遷を見てみたいと思います。ここでは長期チャートを見ていきます。

TradingView
出典:TradingView

これは2005年から2023年のチャートです。安値は680付近、そして高値は2,600付近であることが見てとれます。長期チャートなので、安値と高値にはかなりの開きがあります。しかし、近年は一度だけ大きく値を下げた局面があるものの、おおむね1,500から2,000より少し上の部分で推移していることが分かります。

ちなみに、近年に起きている大きな下落は、コロナショックによる株価大暴落の影響を受けたもので、2020年3月23日に1,140台の直近安値を付けました。しかし相場は回復し、暴落が起きる前の水準近くに戻っています。これは東証REIT指数自体の推移なので、この指数に連動する各ETFもほぼ同様の値動きとなっています。

東証REIT指数のおすすめ投資法2選

ここからは、東証REIT指数に具体的に投資をするおすすめの方法について解説していきます。

銘柄選びについては信託報酬がより安い銘柄、そして投資規模に応じた最適な売買単位のETF銘柄を選ぶのがおすすめです。知名度や安定感で選ぶなら「NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信(1343)」、購入株数の関係で1株単位の投資がしたい場合は「iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)」が適しているといえるでしょう。

購入する銘柄を決めたら、以下の2つの投資法をご提案します。

毎月や毎週に一定額ずつを買い増していく(ドルコスト平均法)

1つめの投資法は、価格が変動する商品を常に一定金額で定期的に購入するいわゆるドルコスト平均法です。「毎月〇日」「毎週〇曜日」といったように購入のタイミングを決めておいて、その日がくるごとに一定額分ずつを買い増していくことになります。

一定額分ずつ買い増していくので、価格が高い時は購入数が少なくなるため高値掴みを防ぎ、逆に価格が安い時は多く買えるため全体の平均購入価格を下げる効果が期待できます。これを続けていくことで購入価格が平均化され、期間が長くなるほど価格変動のリスクを抑えやすくなります。

あらかじめ決めておいた価格を下回ったら買う

2つめにおすすめなのは、最初にETFの購入価格を決めておいて条件を満たした時にのみ買い増しをする投資法です。毎月購入する金額を決めておいて、あらかじめ決めていた価格を下回った月だけ購入します。

逆に決めておいた価格を下回らなかった月はそのまま購入資金をプールしておきます。そして次に購入したい価格まで下がった月にはプールしている資金全部を使ってETFを購入します。

この投資法を採用すると希望する価格でのみETFを購入するため、含み損を抱えるリスクを軽減できます。ただし、あまり強気の価格を設定するとなかなか購入できるチャンスがやってこないかもしれません。

東証REIT指数の魅力、分配金

東証REIT指数への投資は、ETFを介した間接的な不動産投資です。間接的な形ではあるものの不動産への投資なので、賃料や売却益といった利益が発生します。それは東証REIT指数と連動するETFでも同様なので、ETFを持っているだけで支払われる分配金も東証REIT指数投資の魅力です。

分配金利回りは、おおむね3%台の後半です。例えば、2023年2月22日時点での「NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信(1343)」の分配金利回りは3.74%、「iシェアーズ・コア Jリート ETF(1476)」は3.78%となっています。

近年、若い人たちを中心に注目を集めているFIRE(経済的自立、早期リタイア)」には、4%ルールと呼ばれる概念があります。これは、資産運用の額の4%未満を生活費としていれば、30年以上が経っても資産がゼロになる可能性は限りなく低いというものです。4%ルールはアメリカの大学が研究したもので、投資で得た利益の範囲内で生活をすれば半永久的に生活費を確保できるというわけです。

東証REIT指数投資ではこの4%に近い利回りが得られるので、FIREを目指している方にとってもこれらのETFで得られる利回りは魅力的なはずです。

手軽に始めて、手軽にやめられる分散型不動産投資

東証REIT指数はJ-REIT全銘柄の値動きを示す指数であり、そこに投資をすることで、さまざまなジャンルの不動産物件に分散投資をしているのと同じ効果が得られます。

現物不動産投資だと物件の購入や売却に時間や手間がかかりますが、東証REIT指数連動ETFは証券会社の口座で簡単に購入と売却ができます。手軽に始められて、手軽に終えられるうえに、リスク分散の効果も高いので、まずは少額から「不動産投資」を始めてみたいという方にもおすすめです。

(提供:Incomepress



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