総括
FX「GDP、経常収支が悪化、格付け見通し引き下げ」南アランド見通し
「通貨最下位、株価8位」
「予想レンジ 南アランド7.1-7.6」
(ポイント)
*年初来最弱通貨
*4Q・GDP、経常収支が悪化
*格付見通し引き下げ
*電力大臣ポストが新設
*ランドが売られる要因は停電とマネロン
*南アの最大貿易相手国は輸出入ともに中国
*中国PMI改善でランドが上昇
*最近の経済指標はマチマチ
*インフレは低下傾向
*電力不足で国家的な「災害事態」を宣言
*経済成長率について、中銀は2023年は0.3%、24年は0.7%になると予想
*政策金利は利上げ減速で0.25%引き上げ
*インフレ率は23年は5.4%、24年は4.8%と予想(中銀)
(依然、最弱通貨)
依然、最弱通貨。ボリバン2σ下限で下げ止まり一時ボリバン2σ近くまで上昇も、週末はボリバン再びボリバン下位へ沈みこんだ。
(GDP、経常収支が悪化)
先週発表された弱い2022年4Q・GDPも不安要因。4Q・GDPは前期比1.3%減。予想は0.4%減だった。2022年秋から深刻化した停電が経済活動の足を幅広く引っ張り、2四半期ぶりのマイナス成長となった。4Q経常収支は1740億ランドの赤字となった。1月貿易収支も230.05億ランドの赤字に転じているので、資源国のメリットがなくなっている。
(格付見通し引き下げ)
S&Pは、南アの格付け見通しを「ポジティブ」から「安定的」に引き下げた。深刻な電力不足がインフラに影響し、経済成長への圧力が増していると指摘した。外貨建てソブリン格付けは「BB-」に据え置いたが、電力危機に対処するために政府が計画通り改革を進めなければ、格下げする可能性があるとした。南アでは昨年停電が200日を超え、今年に入ってからも1日当たり最長10時間の輪番停電がほぼ毎日続いている。
(電力大臣のポストが新設)
ラマポーザ大統領は内閣改造を行い、新たに電力担当相を任命した。慢性的な電力不足に悩む同国では連日の停電が経済にも影響をきたしている。人事刷新で事態の改善を目指すが、根深い汚職体質に阻まれ、電力改革の行方は見通せない。新ポストの電力相には、首都プレトリアを含むツワネ市都市圏の市長を務めたラモクゴパ氏をあてた。ラマポーザ氏は演説で「電力相は電力危機に対応するため、諸機関との調整役を果たす」と説明した。
テクニカル分析(ランド/円)
ボリバン下位
日足、ボリバン2σ上限から下限へ反落。3月9日-10日の上昇ラインがサポート。3月3日-10日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。20日線上向き。
週足、雲の下、4週ぶり陰線。2月13日週-3月6日週の上昇ラインがサポート。2月27週-3月6日週の下降ラインが上値抵抗。5週、20週線下向き。
月足、4か月連続陰線も3月もここまで陰線。雲中、21年11月-23年2月の上昇ラインがサポート。22年11月-12月の下降ラインが上値抵抗。
年足、21年、22年は短い陽線。23年は陰転。20年-22年の上昇ラインがサポート。08年-22年の下降ラインが上値抵抗。
喜望峰
西側に未同調のインドと南ア、ロシアから離れつつある
米国のブリンケン国務長官は、西側諸国に同調してロシアのウクライナ侵攻を非難していないインドや南アフリカのような国について、ロシアとの連携から離れつつある軌道にあるよう見えるとしながらも、変化は一夜にして起こらないとの見通しを示した。
南アについては、アパルトヘイト政策を実施した過去の政権に対する米国の対応に遺憾を示した上で、南アとロシアとの結びつきの理由は理解できると指摘。「旧ソ連は南アの自由主義勢力を支援していたが、残念なことに米国はアパルトヘイト政策を実施した政権にあまりにも同情的だった。歴史は一夜にして消し去ることができるものではない」と述べた。