ポテンシャルあふれる『アダニ・グループ』


創業30年に満たない『アダニ・グループ』は、創業者のゴータム・アダ二氏(Gautam Adani)本人が、「我々の成功の背景には、インドの中流層の成長がある」と述べているように、サクセス・ストーリーを絵に描いたような新興財閥だ。注目の度合いは、インドの経済紙『エコノミック・タイムズ(Economic Times)』が、「2014年に最も成長が約束された企業(Best Emerging Company of the year ET Awards 2014)」に選出したほどだ。モディ・インド首相の故郷グジャラート州に本拠地を置くことから、首相との関係も深いと言われる。特に、「インド政府がペースを乱したせいで民間企業に貢献のチャンスが巡ってきた」とアダニ氏が言うように、エネルギーやインフラ整備、石炭の採掘、貨物の取り扱いや発電事業への参入は、『アダニ・グループ』の更なる飛躍を可能にする。収益はうなぎ上りで、2013年には87億ドルに達した。

今やグローバル企業『バールティ・エンタープライズ』

2013年のジェトロの報告書によると『バールティ・エンタープライズ』は、『インドの新興財閥として最も注目を集める』グループである。スニル・バールティ・ミッタル氏(Sunil Bharti Mittal)が30数年前に創業したとき、『バールティ・エンタープライズ』は、自転車部品を製造する会社にすぎなかった。ところが、その後その事業の多角化を行い、1995年にデリーで携帯電話事業を立ち上げ、テレコム・サービスを開始。傘下の『バールティ・エアテル(Bharti Airtel)』は、今ではアジア・アフリカの20か国で事業展開する世界的企業にまで成長した。「インドの恵まれない子供たちや若者たちの可能性を伸ばすこと」を企業理念に掲げ、『バールティ財団(Bharti Foundation)』を通して、政府などと共同で教育プログラムも提供する。創業者で会長のミッタル氏は、貿易・工業の分野で首相の諮問委員を務めるなど、インドの政治・産業の分野で存在感を高めている。

攻めの姿勢を崩さないインド新興財閥

サイクルの極端に短いテクノロジーの分野などで世界的な競争に晒されるインド企業にとって、新興財閥といえども安住の地はない。旧財閥の多くがそうであったように、今後の世代交代の折には、財閥の分裂などの危機も想定されよう。しかし、たった30年程で、一から巨大企業を築き上げたインドの新世代の創業家たちの活躍は、中流階級の若者のポテンシャルをも引き出し、同時にアグレッシブかつ持続可能な財閥の新たな姿を模索していく。

(ZUU online)