税務対策、あるいは相続対策を目的とした不動産投資をおこなう上で投資妙味があるのはどこだろうか。国内・海外の両方からみていく。
節税対策を目的とした不動産投資
日本の居住者は日本の税法の影響を受けることになる。日本の税法では法定耐用年数が決められており、木造・合成樹脂造のアパートは20年、木骨モルタル造のアパートは22年と決められている。
中古の物件を購入した場合の耐用年数の計算に関しては、
購入時点が法定耐用年数未満の場合には、
「耐用年数 = 法定耐用年数 - 経過年数 × 0.8 」という式で耐用年数が計算される。
また、購入時点が法定耐用年数を超えている場合には、
「耐用年数 = 法定耐用年数 × 0.2」という式で計算される。
従って、木造の築20年超、木骨モルタル造の築22年超のアパートを購入した場合の耐用年数(減価償却期間)は4年となる。日本でも築20年超のアパートは数多くあるが、日本では耐用年数を過ぎた上物は、価値が殆ど無いとして計算される。従って4年で減価償却するにしても、減価償却費は殆ど取れずに、節税対策にはならない。ただし、アメリカの収益物件の評価は、収益還元法で計算されるのが一般的で、40万ドルの賃料を生み出すアパートがあり、投資利回りを8%と考えると、物件価格は50万ドルと評価され、土地の価格は日本に比べて格段に安いので、土地の価格を15万ドルとすると、建物価格が35万ドルと評価されることになる。
実際のアメリカのアパートを見ると日本の税法の法定耐用年数を超えた、木造造り、木骨モルタル造のアパートの上物価格がアパート全体価格の80%を越えるような物件が多く存在する。そのような物件を購入すれば、大きな減価償却が取れて大いに節税対策となる。
相続対策で投資妙味があるのは
日本の不動産は、上物については、時価と固定資産税評価額というものがあり、土地についても時価と相続路線価という一物二価となっているので、相続対策として大いに活用ができるが、海外不動産については、基本的には時価ないしは購入価格という概念しか無く、一般的には相続対策には使えない。超富裕層の資産管理会社の評価下げには使うことができるが、それは別の機会に詳しく話してみたい。
一般的に日本では、2020年の東京オリンピック関連エリア及び、品川と田町間にできる山手線の新駅周辺(グローバル・イノベーション特区の中心の1つ)が面白いと考えている。
(提供:不動産online)
深井 豊(ふかい・ゆたか)CFP、証券アナリスト、宅地建物取引主任者
ウェルスプランニング株式会社代表取締役、住宅ローンFP相談センター代表。ドイツ銀行で日本株PFをグローバルに提供、またヘッジファンド等で日本株の運用に従事。その後UBSで超富裕層に対するコンサルタント経て、ウェルスプランニング株式会社を設立。
会社URL:
http://www.weplan.co.jp/