本記事は、高橋慶行氏の著書『月10万円を稼ぐ トレード1年目の教科書』(自由国民社)の中から一部を抜粋・編集しています。

株
(画像=Kiattisak/stock.adobe.com)

放置していても株が上がる3条件とその終焉

高橋 慶行
高橋 慶行
投資の学校プレミアム創業者。株式会社ファイナンシャルインテリジェンス代表取締役。 宮城県仙台市で教師一家に生まれる。成蹊大学経済学部卒業。 大学時代に学生起業、インターンシップ等に明け暮れ、特に税理士、会計士に接する日々を送り税金対策の重要性を知る。その経験から、「学校では学ばないけれど、日本で豊かに歩むためには大切だと思われる教育事業をやる」と決める。 社会人になりリクルート社の新卒斡旋サービスで営業に従事し、No.1表彰を受けたのちに2008年に独立起業。事業を継続する傍ら、「投資利益の課税が約2割」という税制面と自由度の高い収入源候補としての「投資」に関心を持つ。 2013年に、投資のエキスパート集団とともに投資の学校事業を創業するべく、株式会社ファイナンシャルインテリジェンスを設立。自らも投資家として活動する傍ら、投資教育事業と並行し、約10年で2万時間以上を費やし、安定的な利益が得られるようになる。主に退職直前、退職後のシニア層や空いた時間に自宅にいながら投資で生活の糧となる月収を作りたい会社員、主婦層が学び、2023年には、のべ15万人以上が受講する投資の学校事業へと成長する。 親が子供や孫のために正しく伝えるべき、お金や投資、自立のための総合的な教養を広めることがライフワーク。 著書に「12万人が学んだ投資1年目の教科書」「投資の学校」(いずれも、かんき出版)がある。

FXだけをやっている人たちの中には、株が上がる3条件の話など興味がないという方もおられるかもしれませんが、次の3条件はまず金利の動きと直接的に関係がある話ですから、必須の教養として覚えておいて損はありません。

どんな国でも個別銘柄を探す前に「3条件」に注目

株は上がる時もあれば下がる時もありますが、次の3条件が「その市場」で揃っている時には、ある意味で株を買って放置していても株式市場全体が上昇基調になり、勝手に利益は伸びていきます。

しかし、この3条件が崩れてしまった場合には、放置したままだと大損してしまう可能性があるので、早めに売って手仕舞いを考えるなどの注意が必要になります。

放置していても株が上がる3条件
(1)金融緩和─中央銀行の量的緩和政策により、市場に資金が溢れている
(2)超低金利─中央銀行の超低金利政策により、金利がとても低い
(3)経済成長─政治がうまく機能し、経済成長(人口成長)が持続している

この3条件が揃っていて、まさに放置していても株価が上がっていたのが2008年9月のリーマン・ショック以降から2021年末までの米国市場です。この期間に米国株を買って放置していた人たちの中には、その後びっくりするほど利益が上がった人が多いと思います

日本も、1989年末のバブル経済のピークまでは、経済成長(人口成長)の条件と、円高対策のための低金利政策で銀行やノンバンクによる過剰融資などカネ余り状態が整って株が上がりやすく、また2013年頃からはアベノミクスによる金融緩和が行われるなど、3条件までは整っていませんが、株価の上下とこの3条件は密接に関わります。

この3条件について知らない人の中には、2020年から2021年あたりにコロナ禍やSNSなどの影響で米国株を始めた人がたくさんいますが、2022年の年初からびっくりするほどの急落に巻き込まれて、含み損を抱えたまま投資をやめてしまった人も同じようにたくさんいると思います。

世界的なインフレ傾向で各国が利上げに転換

この3条件が崩れる合図は何だったのかというと、米国の中央銀行に当たるFRBが、インフレ懸念として「利上げをする」と決定したことです。米国でもコロナ禍への経済対策として事実上ゼロ金利政策を取っていましたが、2021年11月には量的金融緩和の縮小が開始され、2022年には大幅な利上げをすることがほぼ決定していました

この3条件を理解している投資家であれば、2022年に株式市場が急落して割安になるタイミングを見極めてから、中長期保有する株を仕込むなど、より堅実な選択ができたと思います。

ちなみに日本は、長らく経済が成長していないので、この先も3条件が揃うことは長期的に見てもなさそうです。3条件のうちの2条件である金融緩和と超低金利政策が日本銀行によって行われ、株価が保たれているのが実情です。

世界の政治経済の中心は米国ですから、米国においてこの3条件がどういう状況にあるかが、日本人にとっても大切です。日経平均株価も米国経済の影響を大きく受けるからです。

ですから、あなたがお読みになるタイミングで、この3条件がどのようになっているかを、ぜひ確認するようにしてください。

放置の時代から見極めの時代へ

株が放っておいても上がる3条件が崩れている時期には、投資をしない方が良いのかといえば、そうでもありません。投資スタイルを時代に合わせてシフトしていくことで、かえって大きな利益を得ることもできます。

利益確定売りのタイミングが収益につながる

3条件が整っている時期でも、大震災や政変、戦争といった地政学的リスクというものがあります。投資をする上では常にリスク管理や最低限の経済知識は必要ですが、この時代は「保有してじっと我慢し、値上がりを待つ」という投資スタイルでも利益を出せることは多いでしょう。

一方で3条件が崩れた時には、たとえファンダメンタルズ面で優れた株であっても、いつでも急落する可能性があります。急落したら、すぐに反転して急騰するかといえばそういうわけでもなく、低迷が長引く場合も多いので、手放すタイミングを見極めることが大変重要になります。そんなこと本当に初心者にできるの? という疑問を持たれる方もいるかもしれませんが、本書はその技術に特化して学べる本です。

また、放置したまま持っていたいという人にとっては、細かく気にかけなくてはならない点で面倒に感じられるかもしれませんが、見極めの時代は「値動きが大きくなる」という特徴もあります。値動きは利益の源泉ですから、値動きが大きくなるのはチャンスでもあるのです。

●利益の公式

投資の利益は、長期投資であれ短期投資であれ、最終的には以下の公式で決まります。

利益=保有数量×値幅

例えば、株価1,000円の銘柄を10万円で100株買って、2,000円の時に売却したとしたら、利益は10万円となります。計算としては「100株×1,000円幅=10万円」となります(図表3)。

月10万円を稼ぐ トレード1年目の教科書
(画像=月10万円を稼ぐ トレード1年目の教科書)

一方で、株価1,000円の銘柄を100万円で1,000株買って、1,100円の時に売却したら、これも利益は10万円です。計算としては「1,000株×100円幅=10万円」という具合です。

値幅と利益が取れた例

例えば、半導体関連装置で有名なレーザーテック(6920)は、2020年の春には4,000円ほどの株価でしたが、2021年末には3万6,000円近くまで上昇しました。このタイミングで決済していれば大きな利益を得られましたが、そこがピークでした。2022年に入ると断続的に売られ、3月には1万6,000円台まで下落しました(図表4)。

月10万円を稼ぐ トレード1年目の教科書
(画像=月10万円を稼ぐ トレード1年目の教科書)

上昇しているからと放置するのではなく、手仕舞いのタイミングが大事だという事例です。そのほか、INPEX(1605)武田薬品工業(4502)なども、チャートを見ていただくとわかりますが、中長期保有でなく、短期的な買いと売りのタイミングを的確にとらえることで、毎月数万円〜10万円程度の利益は狙えます(図表5)。

月10万円を稼ぐ トレード1年目の教科書
(画像=月10万円を稼ぐ トレード1年目の教科書)

これからの時代の投資スタイルは「放置」ではなく「見極め」です。買いのタイミングと利益を確定して決済するタイミングを学ぶことで、その技術は老若男女に関わらず、堅実に身につけることができます。

月10万円を稼ぐ トレード1年目の教科書
高橋慶行
投資の学校プレミアム創業者。株式会社ファイナンシャルインテリジェンス代表取締役。
宮城県仙台市で教師一家に生まれる。成蹊大学経済学部卒業。
大学時代に学生起業、インターンシップ等に明け暮れ、特に税理士、会計士に接する日々を送り税金対策の重要性を知る。その経験から、「学校では学ばないけれど、日本で豊かに歩むためには大切だと思われる教育事業をやる」と決める。
社会人になりリクルート社の新卒斡旋サービスで営業に従事し、No.1表彰を受けたのちに2008年に独立起業。事業を継続する傍ら、「投資利益の課税が約2割」という税制面と自由度の高い収入源候補としての「投資」に関心を持つ。
2013年に、投資のエキスパート集団とともに投資の学校事業を創業するべく、株式会社ファイナンシャルインテリジェンスを設立。自らも投資家として活動する傍ら、投資教育事業と並行し、約10年で2万時間以上を費やし、安定的な利益が得られるようになる。主に退職直前、退職後のシニア層や空いた時間に自宅にいながら投資で生活の糧となる月収を作りたい会社員、主婦層が学び、2023年には、のべ15万人以上が受講する投資の学校事業へと成長する。
親が子供や孫のために正しく伝えるべき、お金や投資、自立のための総合的な教養を広めることがライフワーク。
著書に「12万人が学んだ投資1年目の教科書」「投資の学校」(いずれも、かんき出版)がある。

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