本記事は、高橋慶行氏の著書『月10万円を稼ぐ トレード1年目の教科書』(自由国民社)の中から一部を抜粋・編集しています。
ダウ理論の法則を知る
ローソク足が織りなす価格の動きには、模範的な一定の法則があります。それらの法則の中で最も有名な1つが、「NYダウ」にその名を残す米国のチャールズ・ダウ氏が考案した「ダウ理論」です。ダウ理論は6つの法則から成り立つといわれています。
ダウ理論の6つの基本法則
●法則1 ―― 価格はすべての事象を織り込む
私たちは、ネット証券やスマホ証券に口座を持ち、スマホやタブレット、PCでログインしてチャートを見ながら売買タイミングを計ります。必ず「現在の時点の最新の価格」というものがチャートの右端に表示されるわけですが、その時点で世の中に起こっている「様々な思惑や期待」などは、すべて現在の価格に織り込まれているという考え方があります。
私たちが知らない早耳情報も、これから発表される重要なニュースや新商品などへの期待も、様々なファンダメンタルズ情報も、「現在の価格」に織り込まれていると考えます。
この法則があるので、テクニカル分析だけでも勝ち続けているトレード投資家が数多くいるわけです。
●法則2 ―― トレンドには3種類がある
2つ目の法則は、「トレンドには3種類がある」ということ。その3つは、1年から数年続く「長期トレンド」と、3週間から3カ月程度継続する「中期トレンド」。そして、3週間未満の「短期トレンド」です。
トレンドとは、上げ下げを繰り返しながら上昇したり、下降したりするものですが、「波動」という、1つのトレンドを構成している波のようなもっと短い考え方も紹介しています。
●法則3 ―― 主要トレンドには3段階がある
3つ目の法則は、主要(長期)トレンドには3段階があるということです。
まずは、「先行期」といいます。
例えば、下降トレンドが上昇に転じる場合などは、一般の投資家がまだまだ下げに恐怖を感じているような時期ですが、先陣を切って買い注文をする投資家が発生する時期です。主に機関投資家やプロのトレーダーがここに参入します。
この場合、先行期が始まると価格は上昇に転じてきます。ここに追随する形で、多くの投資家が買い注文を入れるようになり、値動きも活発になる時期です。これを「追随期」といいます。
3段階目ですが、上昇トレンドが発生してから時間が経過し、先行期に注文した投資家たちが十分に含み益を手に入れた頃に、「利食い期」が到来します。
株であれば、普段株をやっていない人も株を買い始めるような株価が上がりきった時期や、トレンドが発生してからだいぶ時間が経つと生じるタイミングであり、この後で株価は急落することが多く、注意を要します。
上図は、作業服チェーンのワークマン(7564)の例です。2019年9月から買われ始めて人気化し、急上昇しました。
10月半ばの9,000円越えからいったんは売られて下がりましたが、8,000円割れからの「押し目買い」で再度買われ、12月半ばには1万円越えまで上昇しました。
しかし、2020年に入ると利食いから断続的に売られ、コロナ禍も加わり3半ばには6,000円を割るまで下落しました。
● 法則4 ―― 価格は相互に確認されねばならない/法則5 ―― トレンドは出来高でも確認されねばならない
4つ目、5つ目の法則については、少し専門的な解説になりますが、「より高い精度でトレンドをとらえるには、複数業種や異なる時間軸でも、同じように上昇を示す」ことなどが確認されなければならないことや、「本格的なトレンドが発生する時には出来高も大きくなり、出来高増が伴わない上昇は失速する可能性が高い」ということです。これらも覚えておきましょう。
●法則6 ―― トレンドは明確な転換サインが出るまで継続する
最後の6つ目の法則は、トレンドは一度発生すると継続するもので、その終わりには「明確な転換サイン」が生じるというものです。
まず、上昇トレンドが継続する場合、ローソク足の更新とともに、上がり下がりをしながらではありますが、それまでの高値と安値を明確に切り上げて(高値を更新し安値を切り下げず)いきます。
そして、上昇トレンドの終了は、明らかに直近の安値を切り上げずに切り下げるという明確な価格の動きが生じること(転換サイン)が出るまでは無く、上昇トレンドは継続中だと見るわけです。
つまりは、仮に高値をいったん切り下げたとしても、安値を切り下げない限りは、上昇トレンドはまだ継続していると解釈するわけです。
次に、下降トレンドが継続する場合、それまでの安値と高値を明確に切り下げて(安値を更新し高値を切り上げず)いきます。
そして、下降トレンドの終了は、明らかに直近の高値を切り下げずに切り上げるという明確な価格の動きが生じること(転換サイン)が出るまでは無く、下降トレンドは継続中だと見るわけです。
時に、急落や暴落があることで、トレンド終了のサインとなることもあります。
ダウ理論は今もチャート分析の基本
ダウ理論のように、値動きには模範的な動きがあるということを覚えておくと、「それに反する動きをした時に注意する」ようになります。
模範的な値動きを把握しておくことで、トレードのルールが確立され、より安定した利益につながります。現在でも十分通用する相場の教養として、このような理論に触れることも大切です。
宮城県仙台市で教師一家に生まれる。成蹊大学経済学部卒業。
大学時代に学生起業、インターンシップ等に明け暮れ、特に税理士、会計士に接する日々を送り税金対策の重要性を知る。その経験から、「学校では学ばないけれど、日本で豊かに歩むためには大切だと思われる教育事業をやる」と決める。
社会人になりリクルート社の新卒斡旋サービスで営業に従事し、No.1表彰を受けたのちに2008年に独立起業。事業を継続する傍ら、「投資利益の課税が約2割」という税制面と自由度の高い収入源候補としての「投資」に関心を持つ。
2013年に、投資のエキスパート集団とともに投資の学校事業を創業するべく、株式会社ファイナンシャルインテリジェンスを設立。自らも投資家として活動する傍ら、投資教育事業と並行し、約10年で2万時間以上を費やし、安定的な利益が得られるようになる。主に退職直前、退職後のシニア層や空いた時間に自宅にいながら投資で生活の糧となる月収を作りたい会社員、主婦層が学び、2023年には、のべ15万人以上が受講する投資の学校事業へと成長する。
親が子供や孫のために正しく伝えるべき、お金や投資、自立のための総合的な教養を広めることがライフワーク。
著書に「12万人が学んだ投資1年目の教科書」「投資の学校」(いずれも、かんき出版)がある。 ※画像をクリックするとAmazonに飛びます