10月23日、東急リバブルが香港のコンボイ・インターナショナル・プロパティー・コンサルティング・カンパニーリミテッド(以下CIPC社)との間で、香港投資家による対日不動産投資に関する協業の実施に合意したと発表。CIPC社が投資家発掘、東急リバブルが各種アドバイス及び媒介業務を担当し、香港市場からの対日不動産投資促進を図っていくとのことだ。
割安な日本の不動産
近年、日本を除くアジアの大都市では不動産価格の上昇が続いている。特に中国では、2008年のリーマンショック以降、2011-2013年の欧州危機による停滞はあったものの、新築住宅価格の上昇は続いていた。しかし2014年4月以降、住宅価格は一転して下落を続けており、投資対象としての魅力は急激に低下している。
一方、日本の不動産は、2013年下期以降価格上昇傾向が見られるものの、2014年9月時点での東証住宅価格指数は81.95(首都圏総合/2000年1月を100とする)と低い水準にとどまっていた。
しかし近年では、「Global Housing Watch」による住宅価格の、対賃料および対収入比率の比較で東京の不動産価格が調査対象の24か国中最も低い水準であると示されるなど、日本の不動産は割安という認識が広まっている。さらに安倍政権の法人実効税率の低減表明により、今後外資系企業のオフィス設置の増加が期待されており、オフィスビルへの投資増加をつうじた不動産価格の上昇が期待されている。
このような背景に加え、近年の円安による更なる割安感の増勢もあり、近年アジアの富裕層による日本の不動産、特に高級マンションへの投資が急増しているのである。
アジアの富裕層を取り込むことが成長のカギ
東急リバブルといえば、山口智充さんを起用したCMをご覧になった方も多いだろう。あのCMの中で東急リバブルは「日本で三本の指に入る」不動産販売業者であると紹介されている。実際に、2014年度の不動産業統計集によると、不動産販売の仲介件数では1位:三井不動産(三井不動産リアルティネットワーク)、2位:住友不動産販売、そして3位が東急リバブルとなっている。ただ2014年3月期の仲介件数では、三井不動産の42,550件、住友不動産販売の35,455件に対し東急リバブル19,435件と大きく水を空けられている。
東急リバブルは今後、日本の不動産への関心が高まるアジアの富裕層向けの高級マンション投資促進により、販売の拡大につなげたい見通しだ。
今回と同様に、割安な日本の不動産に対する海外富裕層からの投資が行われるケースは近年増加している。直近では10月21日にシンガポール政府投資公社(GIC)が「パシフィックセンチュリープレイス(PCP)丸の内」のオフィス部分を取得。また、2013年秋には、大京が台湾投資家向けに日本の住宅を試験的に販売したところ500件の問い合わせがあったため、2014年6月より販売を開始するなど、海外富裕層向けの不動産販売はますます盛り上がりを見せている。
アジアを中心とした海外富裕層からの投資により、日本の不動産市場は今後さらに活況を呈すると想定される。この海外富裕層の購買力をどれだけ取り込めるかが、日本の不動産業界にとっての成長のカギとなることは間違いない。
(提供:不動産 online)
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