本記事は、南祐貴氏の著書『未来がヤバい日本でお金を稼ぐとっておきの方法』(ダイヤモンド社)の中から一部を抜粋・編集しています。
日本にいても損をするだけ? 値上げラッシュの理由
なぜ格差は広がるのか?
キーワードは円安・インフレ。ここから先は、なぜ円安(円高)・インフレが起こるのか? そもそも物価とは何か?を解説する。
金利・金融緩和・中央銀行・
ぜひ一緒にお金の知識をアップデートしよう。
円安で苦しくなる私たちの生活
結論、日本の未来がヤバい。直近で急速な円安が進行した。なんと32年ぶりの水準だ。円の価値が落ちるということは、外国から買うモノやサービスの値段が上がる。つまり私たちの生活費が上がる。給料は上がらないのに、生活費が上がるなら、生活が苦しくなるのは当然だ。
実は世界中で生活必需品の値上げラッシュが起きている。「食品・日用品・外食費・ガソリン代・電気代、すべて値上げ…!」「iPhoneが20万円に?!」という声も聞こえる。前述の通り、値上げはまだ序章にすぎない。私たちの家計を直撃する前に、正しいインフレ対策・知識という武器をお配りしよう。
物価とは何か?
そもそも物価(モノやサービスの価格)はどう決まるか?
キレイなダイヤモンドの価値が高い理由は2つだ。
(1)[供給]小↓:ダイヤの数はわずか。
(2)[需要]大↑:キレイだからたくさんの人が欲しい。
欲しい人が多ければ値段が上がる。需要&供給によって価格が決まる。
世界中の原材料費が値上がりしている理由は「R国によるU国への侵略」「コロナ後の欧米の供給不足・需要超過」だ。原油(≒石油)・液化天然ガス(LNG)の奪い合いが続くと考えられている。欲しい人が多いと値上げしても売れる。限られたモノを奪い合えば価格は上がる。
※ 「需要」と「供給」とは? 需要はモノやお金をほしいと思う側(買い手・借り手)で、供給はほしいと思う人にモノやお金を与える側(売り手・貸し手)のこと。需要と供給のバランスが変動すると、価格が上下する。
同じ商品を3倍の値段で売る方法
Q 全く同じソバを「3倍の値段」で売る方法はあるのか?
「アツアツのソバ」を想像してほしい。12月31日の
では逆に真夏は? 外はうだるような暑さで全身の汗が止まらない。そんな状況ではアツアツのソバを300円に値下げしても売れない。
全く同じ商品でも3倍以上の値段の差がつく。要は需要(人気)次第だ。これで物価(モノの価格)をご理解いただけただろう。
為替(かわせ)とは何か?
次は為替の話。アツアツのソバと同じで、通貨の価値も需要&供給で決まる。日本は資源国ではないので、発電と自動車のために、原油(≒石油&ガソリン)や液化天然ガス(LNG)が必須だ。世界の基準通貨はアメリカ・ドルであり、原油等を買うには円→ドルの為替取引が必要だ。為替=通貨の交換と理解すればOK。
円安とは何か?
円安になると私たちの生活にどんな影響があるのか?1台1,000ドルのiPhoneは、円安時と円高時では日本円で5万円も変わる(上図)。円安は海外からモノを買うとき日本人が不利になるからだ。簡単に理解すると以下。
- 円安:円の価値↓down=円弱よわ…
- 円高:円の価値↑up=円強つよ!
小学生でも円安・円高が理解しやすくなる裏ワザを伝授しよう。
極端に考えて1ドルを10円 or 1,000円と想像する。
- 1ドル=1,000円:円をたくさん使って1ドルだけゲット。円が弱い(→円安)
- 1ドル=10円:円を少し使って1ドルをゲットできる。円が強い(→円高)
なぜ円安になっているのか?
日本で32年ぶりの円安となった原因は? 答えは金利差だ。
要するに人気の差だ。もし羽田空港にTWICEとセカニチが同時に到着したら、どちらに人気の行列ができるかは明白だ。
Q 金利とは何か?
元金に対する利子の比率を金利という。例えば100万円を年利3%で預けたら1年後の利子は3万円(現在価値100万円・将来価値103万円)。1年以内の短期金利を決めるのは各国の中央銀行だ。
円安・円高は常に“相対的”な価値であり、他国の通貨(ドル、ユーロなど)と比較して表される。もしあなたが100万円持っているとして、
①年間3万円もらえる「ドル」
②金利がほぼゼロでお金が増えない「日本円」
どちらが欲しいと感じるか? たくさんお金がもらえるドルのほうが嬉しいだろう。この状況ではドルが人気になるのは当然。金利差が開いているのはアメリカの物価上昇率が高く、日本の物価上昇率が低い、つまり日本の方が経済成長率が低いためだ。アメリカは金利を上げても崩れないが、経済成長率の低い日本は金融緩和無しでは倒れるだろう。
Q 金融
ニュースでよく聞く「ゼロ金利」「マイナス金利」「量的緩和」などもその一環だ。
金融緩和=水道の蛇口をゆるめて金融市場にお金をばらまくイメージ。
金融引き締め=掃除機で吸い上げて金融市場のお金を回収するイメージ。
(緩和:Easing、引き締め:Tightening)
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